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『ラジオは脳にきく』 [読書日記]

板倉徹著『ラジオは脳にきく』                                                                                  東洋経済新報社、2006年11月


内容(「BOOK」データベースより)
ラジオを聴いているときや読書の「場面想像」で脳全体が活性化する―など、脳機能低下を防ぎ、頭を良くするカンタンな方法を提案。無理なく継続でき、能力向上、記憶力アップ、脳の若返り、うつ病・アルツハイマー防止などにも効果抜群なシンプル生活のすすめ。

新聞広告を見てピンと来て買ってしまう本が時々ある。本書はその類。このタイトルにうなずくところが大いにあるからだ。本書210頁の全てがこのタイトルと関連する記述であるわけではないが、ラジオが脳にきくというのは実際にラジオを聞いていたことがある人間にはなんとなくわかる気がする。朝散歩をしながらラジオを聴いていた時の方が生活全体に余裕があったと思うし、前向きな気持ちになれた。仕事が忙しくなり、朝散歩をしているような余裕を無くして7時に家を出るようになって、めっきりラジオを聴かなくなった。とたんに思考が悪循環に陥るようになってきた。

本書は基本的には脳の働きに関する解説書である。アルツハイマー症の原因は未だ解明されていないが、普段からこのような生活を心がけたら症状の進行を抑えることができるのではないかという仮説がいくつも並べられている。いずれも今までの経験から、「そうだろう」と頷くところが非常に多い。

幾つか気になった引用――。

「私が、日本人の脳が退化していると思うとき、問題にしているのは(中略)脳の「前頭前野」の働きである。やる気とか思いやりとか、前頭前野が関わることで働きが悪くなると、自己中心的で最悪な人格が出来上がる。その原因をコンピュータゲームに求めるかどうかは別にして、前頭前野が不活性になっていることが問題なのはまちがいない」(p.25)

「もうひとつ、私が気にしているのは、今、日本に増え続けているアルツハイマー病のことである。脳の活性を保つには、つまりいつまでも人間らしさを失わずに生きていくためには、ラジオを聴いたり読書をしたり、繰り返しイメージを喚起するような、脳に対し能動的な刺激を与えていく必要がある。それができていないのではないか。」(p.28)

「ひとつ確実にいえるのは、ふだんから脳を活発に使っていれば「脳はボケにくい」という事実である。ということは、アルツハイマーを予防し、脳を鍛えるには、脳をあまり使わないような生活習慣を改めればよいことになる。あたりまえのことのように思えるこのことが、いちばん肝心なことである。」(p.34)―――そこで筆者が真っ先に勧めるのが、「ラジオを聴くこと」というわけだ。

「脳の状態を見ながら被験者に黙読してもらうと、前頭葉のあたりが活発に活動していることがわかる。ところが、次に同じ文章を音読してもらうと、脳の一部ではなく、全体が活性化してくるのが見えてくる。」(pp.77-78)―――すなわち、「音読のすすめ」ということになる。

「日本人は朝から晩まで金のことを考えて銭勘定に明け暮れ、夜になるとスナックでカラオケで演歌を楽しむ。これでは左脳ばかりを使っており、左脳ばかりが疲れてしまっているのではないか。そして結局は、そのことが少なからず日本人の前頭葉から活力を奪っているのではないかと考えるのだ。さらにうがった見方をすれば、昨今増えているうつ病や、中高年の自殺も、左脳は使い過ぎて疲れ果て、右脳は逆に使われず、脳全体がバランスを崩した結果、引き起こされているのかもしれない。そこでバランスよく右脳もより使うような生活習慣を持つようにすれば、われわれはもっと健全で豊かな生活を送ることができるようになるのではないか。」(p.200)―――著者のお薦めはクラシック音楽や名画の鑑賞である。他には、楽器演奏やジグソーパズル、プラモデル、囲碁、将棋などもよいという。

最後に著者が挙げている実践法をまとめてご紹介しておこう。

  • 散歩、体操
  • 図形、ドリル
  • 声に出して読む
  • 手の体操
  • 書字
  • 楽器演奏
  • ラジオ
  • 日記

この本を読み始めてから、通勤時間にラジオを聴くことを再開することにした。大した時間ではないが、なんとなく気力が充実してくるような気がした。

 


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ハンディクラフト

内職をやっていたときは1日中ラジオを聴いていたがこのところトンと聞いていないこと気がついた。せめて台所に立ったときくらい聞こうと思いました。
by ハンディクラフト (2006-12-06 20:55) 

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