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『送り火』 [重松清]

重松清著『送り火』                                                                文藝春秋、2003年11月


内容(「BOOK」データベースより)
鉄道が街をつくり、街に人生が降り積もる。黙々と走る通勤電車が運ぶものは、人々の喜びと哀しみ、そして…。街と人が織りなす、不気味なのにあたたかな、著者初のアーバン・ホラー作品集。

本というのは、その時々に読者が置かれた状況の中で、時には気持ちを高揚させるのに役立ち、また時にはかえって読者を凹ませる。先週末にコミセンの図書室で、通勤途中に少しずつでも読もうかと思い、重松清の短編集にまたもや手を出した。『送り火』 に手を伸ばしたのは全くの偶然であるが、正直言って、この1週間の僕の気疲れを助長する役割を果たしてしまったように思う。

何しろ、自殺は出るは、突然死は出るは、精神的ストレスは出るはである。自分が精神的にまいっている時には読んではいけない本だと思う。登場人物に破綻はないように思ったが、ちょっぴりほっとする程度の終わり方の短編が並んでいる。 著者は本書の短編「送り火」「家路」の中で、通勤帰りの電車の中で気分を悪くし、そのまま帰らぬ人になった父親の話を取り上げているが、これは身につまされる。『その日の前に』でも感じたことなのだが、明日は我が身かもと思ってしまうような年代に僕はさしかかっているのだ。しかも、帰りの車中で意識を失うようなケースは稀ではなく、僕は通勤で時々使う中央線の車中で気分を悪くして四ッ谷駅で救急車を呼んだ通勤客と同じ車両に乗り合わせたことがある。

今の自分の精神状態においては、あまり読んではならない1冊。                                              


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