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恩師、フィリップ・グン先生のご逝去

先週末は慌しかったのでゆっくりと書けませんでしたが、一昨年度私が修士号を取得した日本福祉大学通信制大学院の海外スクーリングで2003年1月にお世話になった、サンパウロ大学のフィリップ・グン教授が3日、心臓発作のためにお亡くなりになったという連絡を、大学院事務室からのメールで知りました。

以下に連絡の内容を転載します。


このほど余語教授に入った連絡によると、サンパウロ大学のフィリップ・グン教授が心臓発作のため急逝されました。

アイルランド出身の同教授は、英国で建築や地域経済論を学んだ後、70年代に中南米に渡り、ブラジル市民となられました。サンパウロの日本人社会ともつながりが深く、最近では、トヨタのミニトラックが南米の地域経済にもたらした影響などについて研究を進めておられました。

古くから余語教授と親交があり、そのために本研究科でも、在外教授として2度にわたるブラジルスクーリングを担当いただく他、来日されるたびに院生の論文へのアドバイスもしていただきました。青年時代からの熱い社会的正義感を感じさせる一方で、常にユーモアを絶やさず、底抜けに暖かい人柄は、誰の心をも和ませるものでした。またスクーリングの折には、その南米についての該博な知識と深い社会的洞察に感銘を受けた方々も多かったことと思います。

突然の悲報に接し、呆然とするばかりですが、これまでのグン先生のご指導と友情に感謝するとともに、心からご冥福をお祈りしたいと思います。


少々ショックでありました。サンパウロで10日間ほどスクーリングで滞在した際には、サンパウロ市内のファベーラ(一種のスラム)とか、近郊の産業クラスターとか、日系人へのインタビューとか、サントス港訪問とか、いろいろアレンジをしていただき、最後にはご自宅にまでお招き下さり、おいしいカイピリーニャで酔わせていただきました。

グン先生は都市計画がご専門で、私の専門とはちょっと異なるのですが、私がファベーラを見学した際になにげなく発した質問(私自身は覚えていないのですが)で先生ご自身も何かしら気付きがあったとのことで、「彼を博士課程に入れたらきっとしっかりした論文を書き上げるだろう」というようなことを大学院の先生のおっしゃっていたそうです。私は、未だ今のところは博士論文を書こうという気持ちにはなっていませんが、グン先生からそのようなご評価をいただいていたことが、ある意味で心の支えになって今までも頑張ってこれたような気がします。いっそ今の仕事を投げ出して博士論文に挑戦してみようかなどと時々考えたりもしていて…。

ブラジルが90年代のハイパーインフレの最中だった頃のエピソードとして、グン先生は、「給料日にはすぐに文房具をまとめ買いした。必要な時に買おうとすると、値段がつり上がっている。」といった具合に実体験を交えてハイパーインフレとはどういうものなのかを教えて下さいました。今の私の会社の若手社員にハイパーインフレと言ってもピンと来る人はそれほどいません。だから、先生のお話をいつも例として使わせていただいていました。

ヒッピーを年寄りにしたような風貌で、話し方もゆったりとしていて、何だか大学の先生らしくない先生でした。でも、視点は鋭いと思いましたし、若き日は熱い社会運動家だったという話も伺っていました。

また南米を訪れる機会があったら、是非サンパウロのグン先生のお宅にも立ち寄りたいなと思っていましたが、残念ながらそれもかなわぬことになってしまいました。とても残念です。

先生のご冥福をお祈りします。合掌…。


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