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アフリカはもっとやれる [仕事が好き]

U2のボノ氏「日本はもっとやれる」アフリカ支援要請

世界的なロックスター、ボノ(45)が、アフリカ貧困の撲滅を目指し、精力的に動いている。

7月初めの主要国首脳会議(グレンイーグルズ・サミット)前の同月2日には、各国の大物スターが参加する大規模な無料コンサート「ライブ8」を東京を含む世界8都市で開き、アピールする予定だ。

ボノは17日、本紙と会見し、日本や米国などがアフリカの貧困撲滅に取り組むのは「慈善ではなく、正義の問題だ」と訴えた。

「毎日6300人がエイズなど予防可能な病気で死んでいる。人口の7割は1日2ドル以下で生活している……」

アフリカの貧困のデータが次々と飛び出す。ボノは、ブッシュ米大統領ら多くの国の指導者に直接会い、こうした実情を訴えてきた。来月のサミットで議長を務めるブレア英首相がアフリカ支援を主要議題に据えたのは、ボノら活動家の猛烈な事前運動があったため、とも言われる。その彼は「次のターゲットは日本の小泉首相だ」と語った。

ボノのアフリカ支援との真剣なかかわりは、20年前にさかのぼる。1985年7月、アフリカ難民救済のための史上最大のチャリティー・ロック・コンサート「ライブ・エイド」に参加し、窮状を知った。以来、抗議行動ではなく、政治家の懐に入って直接訴える独特のスタイルで活動してきた。

「85年は、1億4000万ポンド(約280億円)が観客から集まった。でも、アフリカではたった1週間で債務返済に消える額だと、数年後に知った。結局、政治家が動かないと貧困の構造は変わらない」

ボノが訴えるのは、〈1〉最貧国の債務免除〈2〉援助金の大幅増額〈3〉アフリカの輸出機会を増やすための公正貿易の実現――の3点だ。

日本のアフリカ支援はここ数年、徐々に減り、2003年実績で5億2900万ドルと、ピーク時の約4割にまで落ちた。小泉首相は今年4月、それを今後3年間で倍増すると発表した。

「日本はアフリカでもっとやれる。世界のリーダーである日本の義務だ。コイズミは『アジア』でなく、『世界』を視野に判断できる人物だと思う」

どうやって政治家の懐に入るのか。「政治家はロックスターがただ叫んでも、びくともしない。でも、彼らが気にする有権者や企業などがおれたちの存在を認め始めると、結構相手にするものなんだ。ライブ8はその大きなきっかけ。日本でもそれを狙っている」

トレードマークのサングラスを外し、静かに語る青い目がキラリと光った。
(ロンドン 飯塚恵子、敬称略)

(読売新聞) - 6月18日14時4分更新


 ▲援助の業界でもアフリカは「弱肉強食」

 この引用、6月18日付の新聞記事から持ってきている。それから既に3ヶ月以上が経過しているが、その間、小泉首相がグレンイーグルズ・サミットにおいて対アフリカ援助を今後3年間で倍増するといった構想を披露したりして、アフリカには追い風が吹いているように思う。一時は世界銀行の総裁候補としても(冗談だろうが)名前が挙がっていたボノが仲間のミュージシャンらと計画した「ライブ8」大成功に終わり、巷では、ライブ8と時期を同じくして「ほっとけない世界の貧しさ」キャンペーンが大きくブレークし「ホワイトバンド」を手首につけて街を闊歩する若者の姿を多く見かけるようになった。

思惑は違えど官も民もアフリカの貧しさを放っておけないのは一緒で、アフリカにとってはとても歓迎すべきことであるようにも思える。でも、このお話については別の視点からの見方もあることをご紹介しておきたい。

英国の経済開発シンクタンクであるODI(Overseas Development Institute)が9月中旬に発表したレポートの中で、ODIは、現在高騰を続けている原油価格が2015年(ミレニアム開発目標の最終年として国際社会がターゲットを定めている目標年)まで60㌦台の水準を維持するとしたら、アフリカがミレニアム開発目標の達成に必要とされる資金需要をそれだけで充足してしまうのだそうだ。9月15日付の英国ガーディアン紙がこのレポートについて記事で紹介しているのでここで引用しておく。


Oil windfalls bigger than G8 aid

Larry Elliott
Thursday September 15, 2005
The Guardian


Windfalls from the rising global price of oil and other commodities will be worth more to poor countries in Africa than the doubling of aid promised by the G8 industrial nations, one of Britain's leading development thinktanks said yesterday.

Research by the Overseas Development Institute found that surpluses generated for the eight biggest oil exporters in Africa would total $35bn (£19bn) a year if crude prices remained at their current high levels. This compares with the doubling of overseas aid to $50bn a year pledged by the G8 at Gleneagles this year.

"Price rises have taken place across the board and look likely to be sustained," said the author of the report, Michael Warner. He added that the price of crude oil had tripled since 2002 as a result of stronger demand while many minerals were close to record levels. The price of nickel has tripled to $15,000 a tonne.

While African countries without valuable natural resources, such as Kenya or Ethiopia, would be hit by rising commodity prices, Mr Warner said 21 nations in sub-Saharan Africa, the world's poorest region, were reaping natural resource windfalls. For some these would be more than enough to fund the millennium development goals the UN has set for 2015.

"For the eight major oil exporters, combined surpluses over immediate MDG financing and recurrent expenditure needs could reach $35bn a year - more, in other words, than the extra aid promised by the G8 to the whole of sub-Saharan Africa.

Mr Warner argued that his research did not undermine the case for more aid, but increased the pressure to rethink how aid might be used to provide a framework within which other windfalls could be better chanelled into development.


原油価格が高止まりしていれば、いずれはアフリカの産油国(ナイジェリアとか、マグレブ諸国とか)は自国の貧困削減を原油輸出の収入で賄っても十分おつりがくるようになるので、その余剰分を他の域内諸国で原油価格の高騰で影響を受けているような国(ケニアとかエチオピアとかが代表例)に再配分するメカニズムさえできれば、域内の資金再配分メカニズムだけでミレニアム開発目標は達成されてしまうのだそうだ。しかも、この原油価格上昇によって生じる経済余剰は、ODAの必要年間供与額よりも大きいというのだから、別に先進国から強制的な資金移転をしなくても、アフリカの問題はアフリカ自身の手で解決が図られればよいということになる。⇒ODIのこのレポートへのリンクはこちらから

勿論、だからといってODAをやめようと言うつもりはないけれども、冷静になって考えれば、小泉首相が言っているような3年間で対アフリカODAを倍増するというような構想、その金額の伸びに体制整備が十分ついていけるとはとうてい思えない。自分達の生活がアフリカとどう結びついているのかもイメージできていない日本の納税者に、このような構想がどのように受け止められるのか、逆に心配でもある。アフリカ援助倍増が国民の生活にどう恩恵をもたらすのかを、もっと明確に説明する必要が政府にはあるように思えてならない。


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mabuchi

こんにちは!久しぶりに拝見し、ご一緒していた職場を懐かしく思い出しながら読みました。心と体は何としても守ってくださいね。
この間、大学院のPublic Speechの授業で、アフリカのHIV/AIDSについてスピーチしました。そのとき色々調べ、とんでもない状況を改めて確認して、アフリカのHIV/AIDS対策に一生をささげるのも良いかもしれないと思いました。
石弘之さんの「子どもたちのアフリカ」、よろしければ読んでみてください。
それから、ホワイトバンドは、Harvard Kennedy Schoolの学生は結構しています。日本のものは星3つのデザインですが、欧米のものは"Make the Poverty History"(だったかな)というメッセージ入りのようです。キャンペーンの当事者も同級生にいます。色々議論があるようですが、途上国援助を本業にする人々にとっては、とても学ぶことの多いキャンペーンだったと思います。
それではどうぞお元気で!!
by mabuchi (2005-10-06 08:04) 

Sanchai

異国にいるといろいろとインスパイアされることが多いようですね。
アフリカでエイズといえば、以前アジ研にいらして現在ジェトロのヨハネスブルグ所長をされている平野先生が、南アで企業従業員向けのエイズ対策プログラムを提唱されているそうです。実際、トヨタの南ア現地法人ではそういう取組みをされています。企業にしてみれば、従業員がエイズでバタバタ倒れるのは大きなリスクですし、行政から見れば、人の移動の激しいアフリカで企業の雇用を受けている従業員に対しては継続的なモニタリングや啓蒙普及活動が行いやすいというメリットもあるらしいです。勿論、一家の大黒柱がエイズで倒れると、家族にとっても大きな負担になりますので、地域社会にとっても歓迎すべき動きということです。
積もる話もありますし、いずれメールします。本日はどうも風邪を引いたらしく、4時過ぎに早退しました。昨夜の残業がこたえました…。
by Sanchai (2005-10-06 18:35) 

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