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『100回泣くこと』 [読書日記]

中村航著『100回泣くこと』                                            小学館、2005年12月


出版社 / 著者からの内容紹介
今最注目の野間文芸新人賞作家最新恋愛小説
実家で飼っていた愛犬・ブックが死にそうだ、という連絡を受けた僕は、彼女から「バイクで帰ってあげなよ」といわれる。ブックは、僕の2ストのバイクが吐き出すエンジン音が何より大好きだったのだ。4年近く乗っていなかったバイク。彼女と一緒にキャブレターを分解し、そこで、僕は彼女に「結婚しよう」と告げた。彼女は、1年間(結婚の)練習をしよう、といってくれた。愛犬も一命を取り留めた。愛犬→バイク修理→プロポーズ??。幸せの連続線」はこのままどこまでも続くんだ、と思っていた。ずっとずっと続くんだと思っていた。精緻にしてキュート、清冽で伸びやか。今、最注目の野間文芸新人賞作家が放つ恋愛長編。

告白します。僕は158ページからの数ページで目がウルウルしてきました。

43歳のオヤジが読むのは小恥ずかしいのが恋愛小説だが、著者は1969年生まれなので僕よりも世代が少し下になり、重松清の作品と比べて親近感を持って受け入れることができない小説だった。どう考えても、僕よりも15歳は年下の主人公の話は、世代のギャップを感じる。今どきの若者が恋に落ちるというのはこんなユルユルの感じなのかなと戸惑った。感情の起伏があまりなくて、いつも仲良しの同棲生活(結婚の「練習」)で、一緒に住んでいる相手に対して感情を爆発させて大喧嘩になったりはしないのかなと驚いてしまった。(お互い尖がっていて年中口論が耐えない我が家とはエライ違い…)

でも、泣けることは間違いないと思う。単純にフィクションとして割り切れないものがあるように感じた。

最愛の人が悪性の癌であると宣告を受けたら自分はどうするだろうかとやはり考えた。もっと考えたのは父親としての視点であり、20代になるまで健やかに育った我が子が死の宣告を受けるというのはどういう気持ちなのだろうと思った。

この本、書店に平積みになっている時から表紙がなんだか気になっていた。コミセンの図書室には3月に入庫したが、その後コンスタントに借りられていて、僕も含めて既に9人が借りている。かなりのベストセラーだ。

最後に著者・中村航氏について。本書の前半の舞台は、岐阜の大垣である。主人公が岐阜県出身だという話は本書の中でも度々言及があるが、「赤坂2丁目」という地名に加えて、主人公の苗字が「藤井」だということから、おそらく大垣市赤坂町近辺に土地勘のある作者なのだろうと思う。そう考えると、主人公が予備校生時代に捨て犬を拾った図書館というのは大垣の市立図書館なのだろうなとか、いろいろ想像が膨らんできて面白かった。


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