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今、いちばん身につけたい技術 [読書日記]

斉藤英治著『王様の速読術』                                                    ダイヤモンド社、2006年5月


内容(「BOOK」データベースより)
ただ速く読むだけでは、知識として活かせません。大切なのは知識の吸収。重要な2割を読んで8割を獲得する『王様の速読術』。ひたすら目を速く動かすことも、特殊な技能も必要としません。「専門書を短時間で読む」「試験に備える」「資格王になる」「1週間で専門家になる」など、目的別に速読術を使いこなすコツを紹介します。

タイトルはなんだかまがい物のような印象を与えてしまうかもしれないが、なかなか面白い本である。自分を「王様」に見立て、本を「家来」に見立てる。王様は忙しく、各々の家来に謁見できるのは30分が限界である。その30分の間に、大事な知識だけは吸収することが必要である。であればどうすればいいか?与えられた30分の間に、作者の立場をどれだけ理解し、その本がどういう意図の下で書かれているのかを理解する。そして、全体の20%を理解するように務める。必要があればまた「謁見」すればよい。また、知識は得るだけではなくアウトプットも心がけるべき。趣旨としてはそんなところだろう。

昨年、僕はフォトリーディングの短期集中講座を受講したり、独学でマインドマップの勉強を試みたりと、いろいろ挑戦をしてみた。フォトリーディングはそれなりに脳の機能を考えた合理的で効率的な読書法だと思ったが、問題は、「フォトリーディング・ホール・マインド・システム」は5段階から成っていて、肝心のフォトリーディングの前に行う「アファーメーション」や後に行う「アクティベーション」が存在することや、その各段階に入るのにやたらとリラックスが強調されるので、そこまで気持ちを落ち着かせてフォトリーディングに入ると、合計で結構時間がどれくらいかかるのか目安が見えないのが結構難点であるように思えた。また、アクティベーション段階においてマインドマップの作成が推奨されているが、人は本を読むたびにマインドマップの作成などやっていられないのが実情ではないかと思う。マインドマップの合理性自体は否定しないが。

本書では、著者はフォトリーディング・ホール・マインド・システムやマインドマップの原理はそのまま用いているが、前述のように僕が感じた疑問点に、これらのシステムの解釈をより柔軟にする形で答えており、その分、フォトリーディングやマインドマップで一度挫けたことがある読者に再挑戦を考えさせるよいきっかけを提供してくれているように思う。

読書に充てる時間を先ず30分と決めることから始まり、この30分を次の3段階に分ける。

①プレビュー(5分間) :表紙やカバー、帯などを見て、さらに目次を見て、残る時間でパラパラと本文を見て、見出しと図表、写真、イラスト、マンガ等のビジュアルの確認を行ない、著者の意図を理解する。

「本は、著者や編者の視点で書かれている以上、それがどのような視点でまとめられているのか、読者がわかっていなくては、なかなか理解するのがたいへんなようにできている。本を「難しい」と感じる人の多くは、この視点を見逃している。あくまで著者や編者の視点なので、わたしたちの視点と必ずしも一致しているとは限らない。だから、本を読むには、プレビューで多くの手掛かりをつかんで、著者や編者が「この人はこういう見方で、この問題についてこんなやり方で考えて、結論を出そうとしているんだなぁ」と見通せると、よりスピーディーに必要な情報を得ることができるということになる。」(p.69)

②全ページを写真読み(5分間) :見開き2秒で全てのページを同じペースで写真に収めるように読み進める。(ここは、完全にフォトリーディングと同じ。)

③残る20分を使ってスキミング法で読む。 :全部を読むわけではなく、重要なところだけをさっと汲み取る読み方を行う。そのベースになるのは「二八の法則」で、自分の目的にかなった2割を見つけ出し、その2割から本の持つ8割の情報を得る。(本書も、おそらく大事なことが書かれているのは全体の10%程度ではないかと思う。あとは意外と「贅肉」が多いという印象。)

30分内での時間配分は以上の通りだが、著者はさらに、PDCAサイクル上でいう「A(Action:行動)」が必要であるとする。30分読んで得た知識を確認する作業である。30分読んだら次の30分かけてアウトプットしようと著者は述べている。そのメディアが単なるメモということもあるかもしれないが、ブログでもいいという。(言うなれば、僕が今実践していることがその段階に相当する。)

この夏の僕のとてつもなく大きな課題は、結構な量の英文のレポートをある程度の期間内で読み込み、秋頃に自分がまとめようと思っているレポートに反映させることである。こういうニーズに応えるかの如く、著者は英文書籍や資料の読み方として、「トピック・センテンス法」を提唱している。

これは、各段落の第1番目の文章のみを重点的に読んでいく手法である。しかも、いちばん重要なのは、最初の見出しであり、それが次の見出しまでの間の文章で、何が書かれているのかを示しているという。それに呼応して、最初の段落で見出しを補足し、次の段落までにはもう結論が書かれていることが多いという。従って、最初の2つの段落を先ず重視する。次に重要なのは、次の見出しの手前にある段落で、ここには見出しから見出しへ、即ちテーマからテーマへの受け渡しの役割があることが多い。こうした構造は英文の場合に特に顕著であり、これを理解しておけば、スキミングをする際にスピーディーに行なうことができると著者は言う。

本当にそうかは、この夏の自分の読書が証明してくれると思う。今週後半から6日間の夏休みを取るが、その間にも沢山資料は持って帰らなければならない。実際にこの斉藤式を集中的に試すとても良い機会だと思うので、騙されたと思って取り組んでみたい。

資料を読むのに追われて、毎日余裕のある生活が遅れていないのが僕の現状である。これを打破するには、資料を読むのに充てている時間を大幅に短縮することが絶対必要である。そのためにも、今一度、自分の読み方をこの際見直してみたいと思う。


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