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『アレの名前を言えますか?』 [読書日記]

アレの名前を言えますか?: 日本人が知らない《呼び名》400! (KAWADE夢文庫)

アレの名前を言えますか?: 日本人が知らない《呼び名》400! (KAWADE夢文庫)

  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2021/02/11
  • メディア: 文庫
内容紹介
レジでお金を置く「トレー」の正式名称は? 上野の西郷さんが連れている犬の名前は? パブロ・ピカソの本名は……? 知ってそうでじつは意外と知らない名前と、その驚きのルーツに迫る!
【MT市立図書館】
「アレ(ARE)」が去年のバズワードになったので、便乗商法かと思ったがさにあらず。本書は刊行が2021年2月で、「アレ」が流行りだすより前だった。

本書も他の本を借りるのに市立図書館に行った際、予約してあった本を借りるのの「チョイ足し」で借りた文庫本だった。図書館の蔵書はたいていの場合は背表紙に貼られたラベルで検索するか、あるいはそこにある本のタイトルと著者を見て借りることになるのだが、本書はなぜだか表紙を前面にして、少し後ろ倒しにして立てかけてあった。(こうした蔵書展示の仕方にも何か決まった名称があるのだろうか。それこそ「アレ」だ。)

文庫本なのに、1頁二段組みになっていて、1つの項目には一段と1/3、つまり見開き2頁で3つの名称が紹介されている。しかも、五十音順には列挙されていないため、事典の索引として利用することは難しい。あくまでも読み物で、記憶力の落ちたオジサンにとっては、読むしなからどんどん抜け落ちて行く、ざるで水をすくっているような感覚にとらわれた。

読み物としては面白かったが、こういう本をどう紹介したらいいのかちょっと悩ましい。現在自分が置かれた状況を考えると、いちばん身につまされた言葉は「獲得的セルフ・ハンディキャッピング」だろう。「大事な用事があるとき、つい別のことをやっちゃう」ことを指す。これ、メチャメチャわかる。やらねばならないことははっきりしているのに、ダラダラと着手するのを先延ばしにして、他のしょうもないことを先に片付けようとしてしまうのである。別の言い方をすると、「現実逃避」とも言える。

そんな、ふだん僕らがよく見かけるけれども正式名称がわからないという名前のオンパレードだが、本書はそれだけで構成されているわけではなく、第4章以降は、有名人のこぼれ話とか、俗語・慣用句の由来とか、逆に僕らがよく知っているイベントや商品名、食品名、料理名等の由来とか、社名の由来とかになっていく。もはや本のタイトルからは大きく逸脱しているが、まあそれはご愛敬ということで。

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会社勤めが苦しかった時期 [仕事は嫌い]

このブログはいつから書き始めたのか―――ふとあることが気になって調べてみたところ、2005年2月23日だというのがわかった。ということは、サンチャイ★ブログは20年目に突入しているということだ。

昨年は本当に書けなかった時期を経験し、自分自身でも存続を危ぶんだけれど、帰国して読書量が増えたことで、なんとか記事にするネタを確保してここまでやってきた。2025年2月23日の「二十歳の誕生日」を目指して、細々とでもブログを続けて行こうと決意を新たにした。

記事を遡ってみたきっかけは、先月末で退職した会社での31年2カ月を振り返り、自分の会社勤めの人生の中で、精神的危機に何度陥ったのかを改めて確認したいと思ったからだ。たぶん「4回」だと思うし、それもブログでの内省や窮状発信がサンチャイ★ブログを続ける原動力になっていたと思うので、当時の精神状態がどれくらいヤバかったのかを確認してみたくなった。

◆◆◆◆◆◆◆◆

「4回」の内訳をご紹介しよう。

①2006年3月~2007年3月:
ピークは2007年2月~3月で、特にこの時期のブログ記事は今読んでも悔しいし悲しい。退職を迎えるにあたって妻と一緒に会社人生を振り返ってみて、この時期が「人生最大の危機」だったというのがコンセンサスであった。一緒に暮らしていた妻から見ても、当時の僕が相当悲惨な状況だった。

②2010年1月~3月:
突如勃発した不祥事に巻き込まれ、その対応に追われた。不祥事の内容は詳述しづらいが、自分が犯した過ちでは決してない。でも、その対応で頭がいっぱいになったせいで、本当はやりたかったこと、この時期にやらねばならなかったことを全部後回しにせざるを得なかった。結果的に、インドにいる間に博士論文をある程度書き上げるというシナリオに狂いが生じ、3年後に博士課程を自主退学する事態に陥るきっかけになった。この影響は、大学教員ポストを応募しても毎回書類審査ではじかれるという形で痛感させられている。

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『フォン・ノイマンの生涯』 [読書日記]

フォン・ノイマンの生涯 (ちくま学芸文庫)

フォン・ノイマンの生涯 (ちくま学芸文庫)

  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2021/04/12
  • メディア: 文庫
内容(「MARC」データベースより)
量子論、ゲームの理論、原水爆、コンピュータ、数値気象学…を立ち上げ、20世紀後半の科学と社会を基礎付けたユダヤ人天才科学者の足跡を追った伝記。
【MT市立図書館】
現在受講中のグローバルディプロマコースの冒頭で紹介されたのがフォン・ノイマンも関わった黎明期のコンピュータの話だったので、この際だから一度フォン・ノイマンの電気でも読んでおこうかと思って手に取った。毎度のことながら、そのセレクションは衝動的なもので、他の蔵書を借りるために市立図書館に出向いた際、何かもう一品付け加えようと思い、文庫・新書の棚を物色し、パッと目に止まったというのが実態に過ぎない。

500頁以上ある分厚い文庫。しかも、3月末でそれまで勤めていた会社を辞めたため、通勤もしなくなった。読書に充てられる通勤時間がなくなったことで、集中して読書ができるのはディプロマコースのローカルセッションに通う毎週土曜日ぐらいしかない。幸い、ここ2週間は土曜日以外にも横浜に出向いた日があったため、なんとか読み進め、4週間かけてなんとか読み切った。

とんでもなく多産な人で、多くの、今なら相互に関連性がなさそうな領域で大きな功績を残された20世紀の偉人である。今なら、アカデミー賞を最近受賞した『オッペンハイマー』でロスアラモス研究所が出てくるので、その時代背景を知る上でも参考にできる評伝だと思う。但し、僕は『オッペンハイマー』を観ていないのでわからないのだが、Wikipediaの記述を見ると、作品の登場人物リストにフォン・ノイマンの名前はないため、映画には登場していない可能性もある。その辺は、作品編成上の事情や思惑もあるのだろう。映画の方で原爆開発者の苦悩が描かれているようだが、フォン・ノイマンは「必要悪」の立場から開発には積極的に関わっていたようだから。

原水爆のことも、コンピュータのことも、ゲーム理論のことも、それぞれある程度理解していればもっと味わえる評伝だと思う。僕は断片的かつ中途半端な理解の上に立って本書を読み、このブログも書いているので、稚拙な記述があると思うがどうかお許しいただきたい。

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『これだけ!電子回路』 [仕事の小ネタ]

これだけ! 電子回路

これだけ! 電子回路

  • 作者: 石川洋平
  • 出版社/メーカー: 秀和システム
  • 発売日: 2018/11/22
  • メディア: Kindle版
内容紹介
小中学校で習う豆電球をつかった電気回路やオームの法則を覚えていますか? これらは高校物理で習う電子回路へとステップアップしていく大事な項目です。本書は、小中学校の理科で習う理科の基礎知識から再入門する電子回路の入門書です。電圧、電流、コイル、コンデンサ、オームの法則、キルヒホッフの法則といった基礎から、半導体、電子回路素子、トランジスタ、電子回路、演算増幅器までを初心者むけにやさしくざっくり解説します。
【MT市立図書館】
電子回路の勉強をしていると、小学校や中学校の理科の時間に電気について何を習ったのか、今一度教科書を読み返したいとの思いに駆られることがある。豆電球や電池の直列つなぎや並列つなぎとそれによる電流計算、電圧計算は小学校で習ったし、オームの法則や電磁石のSNのでき方は中学校で習った。そういうのを思い出してもう一度当時の状態にまでキャッチアップするだけでも今の僕にとっては大きな前進になる筈だ。しかし、当時の教科書なんか手元にないし、書店でも手に入らない。かといって、学習参考書を今さら購入する気にもなれない。さすがに、電気以外の記述も相当量含まれていて、値段もお高い学習参考書はちょっと違うだろという気がしていて…。

本書は、タイトルに「これだけ!」とあったし、まえがきにおいて、小中学校の理科で習う基礎知識から再入門すると謳っていたので、それならまあ読んでみようかということで図書館で手に取った。

確かに、第6章「半導体と電子回路素子」あたりまでは小中学校の復習だという記述が続いた。挿入される図表やイラストと、本文の解説のバランスもよく、いい復習にはなったと思う。

でも、その後がいけない。本書のレビュアーのほぼ全員が指摘しているが、第7章「トランジスタと増幅回路」から突然難易度が爆上がりした。変な例えだが、シリコンダイオードの立ち上がり電圧みたいな感じ(笑)で、しかもこのシリコンダイオードの記述があるのが皮肉にも第6章第2節。このあたりから爆上がりの幕が切って落とされる。

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『八本目の槍』 [読書日記]

八本目の槍(新潮文庫)

八本目の槍(新潮文庫)

  • 作者: 今村翔吾
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2022/04/26
  • メディア: Kindle版
内容紹介
石田三成は、何を考えていたのか? そこに「戦国」の答えがある! 秀吉の配下となった八人の若者。七人は「賤ケ岳の七本槍」とよばれ、別々の道を進む。出世だけを願う者、「愛」だけを欲する者、「裏切り」だけを求められる者――。残る一人は、関ケ原ですべてを失った。この小説を読み終えたとき、その男、石田三成のことを、あなたは好きになるだろう。歴史小説最注目作家、期待の上をいく飛翔作。
【コミセン図書室】
上の本は新潮文庫版であるが、実際にコミセン図書室で借りたのは2019年7月に出た単行本の方である。なぜかこの単行本が駅前の啓文堂書店の店員お薦め本として表紙が目立つよう展示されていたので、コミセン図書室で見かけた時には四の五の言わずに手を伸ばしてしまった。書店で最初に見かけたぐらいだから新刊なのかと思っていたら、既に文庫版まで出ているとは…。

賤ケ岳の戦いにおいて羽柴秀吉の小姓として活躍した若い将校は後に「賤ケ岳七本槍」という。加藤清正、福島正則、加藤嘉明、平野長泰、脇坂安治、糟屋武則、片桐且元のことを指す。加藤清正(虎之助)、福島正則(市松)が最も有名で、小学生時代の僕が初めて読んだ歴史小説でこの2人がインプットされた。関ケ原の戦いで東軍に寝返った脇坂安治(甚内)やその戦後処理で登場する片桐且元(助作)、どちらかというと江戸初期の大名として名前がインプットされた加藤嘉明(孫六)が含まれていたのは意外だった。

残る2人、糟屋武則(助右衛門)と平野長泰(権平)に至っては、知名度では他の5人に劣るため、気を付けて見たことがない。7人とも長浜入りして城持ち大名となった秀吉が旗下の戦力増強のために長浜で集めた若者に含まれている。本作品では、この7人に、同じくこの頃に秀吉によって登用された石田三成(佐吉)を「八本目の槍」として絡めて、7人各々の視点から他の七本槍や石田佐吉との絡みを描いていく連作短編となっており、物語が大詰めに向かうにつれて、徳川家康の存在感が増す一方で、豊臣家の御曹司が淀殿や大野治長に踊らされて家の存続を不意にし、滅びとともに七本槍も加藤嘉明を除いて徐々に退場していく様を描かれている。

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『喫茶おじさん』 [読書日記]

喫茶おじさん

喫茶おじさん

  • 作者: 原田ひ香
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2023/10/12
  • メディア: Kindle版
内容紹介
人生もコーヒーも、苦いけれどうまい。松尾純一郎、バツイチ、57歳。大手ゼネコンを早期退職し、現在無職。妻子はあるが、大学二年生の娘・亜里砂が暮らすアパートへ妻の亜希子が移り住んで約半年、現在は別居中だ。再就職のあてはないし、これといった趣味もない。ふらりと入った喫茶店で、コーヒーとタマゴサンドを味わい、せっかくだからもう一軒と歩きながら思いついた。趣味は「喫茶店、それも純喫茶巡り」にしよう。東銀座、新橋、学芸大学、アメ横、渋谷、池袋、京都──「おいしいなあ」「この味、この味」コーヒーとその店の看板の味を楽しみながら各地を巡る純一郎だが、苦い過去を抱えていた。妻の反対を押し切り、退職金を使って始めた喫茶店を半年で潰していたのだ。仕事、老後、家族関係……。たくさんの問題を抱えながら、今日も純一郎は純喫茶を訪ねる。『三千円の使いかた』で大ブレイクの著者が描く、グルメ×老後×働き方!
【コミセン図書室】
先週末にコミセン図書室にフラッと出かけ、適当に選んだ1冊。初・原田ひ香作品。

年齢的に僕も純一郎と同じ世代だ。離婚はしていないが、会社を早期退職して、無職になったところでもある。主人公の境遇に共感して、読んでみるかとなった。それに、この齢になるとフランチャイズのカフェよりも、地域に根付いた純喫茶の方が恋しくなる。

ただ、喫茶店巡りなんていい趣味してる。地元民でもなくいろいろな土地に出かけて行って、そこで喫茶店をハシゴする―――この感覚は僕には理解しがたい。早期退職の割増の退職金を投入して、それで開いた喫茶店を範として潰し、経済的には苦しい筈の主人公が、1日に何軒も喫茶店をハシゴして、コーヒー1杯どころか、サイドメニューまで必ず注文している。しかも、繁盛している地域の喫茶店から学ぶというより、ただ単に出されたメニューを賞味して、評論家気取りの記述が続く。メモしている様子は描かれていないし、店主から話を聞き出すような描写も少ない。なんだか、安全地帯から飛来してきて、いただくものだけいただいて、サッと飛び去ってしまう、一見さんの客に近い感覚。

成功している喫茶店に学ぼうという真剣さ、切迫感、悲壮感など微塵も感じさせない。それでよく早期退職に踏み切ったなと、読んでるこちら側も呆れる。起業がうまく行かなかったのに、喫茶店巡りで現実逃避しているように思えてならない。なんか、許せない感覚にも陥る。それに呆れる家族、特に妻・亜希子の感覚は理解はできるのだが、だからといってこの妻もあまり好きになれないキャラだった。

頑張る地域の喫茶店を応援したい気持ちもわかるのだが、作品としてはちょっと好きになれないかな。

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再読『ミッドナイト・バス』 [読書日記]

ミッドナイト・バス (文春文庫)

ミッドナイト・バス (文春文庫)

  • 作者: 伊吹有喜
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2016/09/23
  • メディア: Kindle版

内容紹介
故郷に戻り、深夜バスの運転手として働く利一。子供たちも独立し、恋人との将来を考え始めた矢先、バスに乗車してきたのは、16年前に別れた妻だった。会社を辞めた長男、結婚と仕事の間で揺れる長女。人生の岐路で、忘れていた傷と向き合う家族たち。バスの乗客の人間模様を絡めながら、家族の再出発を描いた感動長篇。
【コミセン図書室】
10年ぶりの再読である。前回記事はこちらから。途中出てくるエピソードが話の本筋とどうかかわってくるのかがわからないケースもあり、読みづらい作品だったという印象だった。(今回も時間はかかった。)

その後伊吹有喜作品は何冊も読んで、他は結構いい作品も多い作家だというのはわかった。再読するにしても『ミッドナイト・バス』は違うかなと思ったが、それでも今回手に取ったのは、僕がこの、東京・池袋と新潟を結ぶ長距離バスの利用者に今後なる可能性があるからだ。

僕が今まで31年あまり過ごしてきた会社を、今年度末(つまり本日)をもって辞めるという話は、これまで何度かSSブログの中でも言及してきたが、その後何をするのかまではあまり詳述して来なかった。それは、予定通り1月から受講を開始した某グローバルディプロマコースの課題をこなすのが大変で、仕事との片手間にはできないという制約があるからで、会社を辞めても、当面は定職には就かず、この講座を生き残るのに専念したいというのが僕の希望だった。

ただ、使いたいときに機械に触れる環境には身を置いていたかった。自宅には3Dプリンタなどないし、工具も揃っているわけではない。一番近くにあったファブスペースは、これまた今年度末(つまり本日)をもって営業終了ときた。前述のディプロマコースは週単位で演習課題が出され、課題への取組状況のアップデートが求められる。現状では、土曜日に横浜のファブスペースにまで足を運び、インストラクターの指導を受け、この週1回のハンズオン実習をもとにして文章化のアリバイを作っている状況だ。

だから、平日日中でも手を伸ばせばそこに機械があるという環境をどう作るかを考えながら1月2月と過ごしていたところ、新潟県内のあるファブスペースで運営スタッフの求人が出ているのを人づてで耳にした。契約期間1年なら修業のつもりで赴任してもいいかと思った。仕事の内容としても僕がブータンで2年半滞在した時にやっていたことと大きくは変わらないし。

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『電子部品が一番わかる』 [仕事の小ネタ]

電子部品が一番わかる (しくみ図解)

電子部品が一番わかる (しくみ図解)

  • 作者: 松本 光春
  • 出版社/メーカー: 技術評論社
  • 発売日: 2013/06/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
電子機器を構成する電子部品の働きと用途を細かく図解する。1章 電子部品の基礎知識/2章 抵抗/3章 コンデンサ/4章 コイルとトランス/5章 ダイオード/6章 トランジスタ/7章 その他の半導体デバイス/8章 回路基板/9章 電池/10章 マイコン関連素子/11章 その他の電子部品/12章 センサ
【MT市立図書館】
現在受講中のデジタルものづくりのブートキャンプで、先週のテーマが「電子回路工作」だったが、肝心の週1回のハンズオン実習が全然わかったという感覚になれず、実習から返った翌日、藁をもすがる思いで図書館に行き、ページをパラパラとめくった上で選んだ本の1つである。他の本も既に紹介を始めているが、先週の課題について最も参考になったのは、一昨日紹介した『電子工作の素』だと思う。ただ、次の週のテーマは「出力デバイス」、3週後には「入力デバイス」と続く。デバイスの話になっていくと、『電子工作の素』のような百科事典的本は勿論依然として有用だが、各デバイスをサラッと見開き2ページで紹介してくれる技術評論社の「一番わかる」シリーズなんかもけっこう役に立つ。電車やバスの中、外出時には携行しやすいのだ。

ただ、読みながら記述の重点が今とそぐわないと感じるところも多い。例えば、第10章「マイコン関連素子」ではPICやH8マイコンが紹介されていて、Arduinoやmicro:bitには言及もされていない。第8章「回路基板」も、ブレッドボードやユニバーサル基板はいいし、プリント基板で「アディティブ法」と「サブトラクティブ法」と方法論が紹介されていたのは嬉しかったが、そのサブトラクティブ法として先週から今週にかけて僕がやっていた「プリント基板のデジタル切削加工」には触れられていない。入門編だとはいえ、第9章「電池」の記述はかなり詳しい。全体の構成からすると、ちょっと戸惑うぐらいの詳しさだ。

もっと早く気付けよと言われそうだが、本書は刊行が2013年と古く、情報として旧いと感じる。さすがにこの手の本を10年以上アップデートせずに置いておくのは大変だ。『電子工作の素』については、今読むのが旬だと感想で書いたが、この「一番わかる」シリーズの1冊の旬は10年前だったのだろう。そう、10年前の最新情報を知るのには面白い本だな。

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『電子工作の素』 [仕事の小ネタ]

改訂新版 電子工作の素 作る、できる/基礎入門

改訂新版 電子工作の素 作る、できる/基礎入門

  • 作者: 後閑 哲也
  • 出版社/メーカー: 技術評論社
  • 発売日: 2021/10/26
  • メディア: Kindle版
内容紹介
部品の知識、回路図の読み方、ブレッドボードの使い方、表面実装部品のはんだ付けの仕方、デジタルマルチメータの使い方、工作道具の使い方から、加工、製作まで詳しく解説しています。工作名人のテクニックとノウハウを満載した、実際に使うための「道具」としての書物です。電子工作の素がぎっしり詰まっています。改訂版では、シングルボードコンピュータ、マイコンボードの中でも特に人気の、micro:bit、Arduino、Raspberry Piをとりあげ、使い方から活用方法、製作例まで詳しく解説してあります。入門者にもやさしく、もちろんホビーユーザ、学生、エンジニアにも満足できる一冊です。
【MT市立図書館】
今年に入ってから電子工作関連で図書館で借りられる書籍には何冊も当たっていて、ブログでも何冊か紹介している。本書を近所の市立図書館から借りてきたのも今年に入ってから二度目だが、前回1月末頃に借りた時には、百科事典チックな編集に、「今じゃない」と思った。正直、どのチャプターの記述も僕には難しいと感じたのだった。

ところが、それから2カ月近くが経過し、実際にマイコンチップを組み込んだ回路を自分で作り、プログラムの書き込みも行うようになると、僕もこの本で書かれていることがかなり理解できるようになり、自分にとって有用度がかなり高いと感じるようになった。つくづく、本にはそれを読むべきベストのタイミングがあると思う。

以前読んでみて自分に合わなかったからといって、「読みたい本」リストからは落とさない方がいい。むしろ、こういう本が理解できるようになりたいと、努力目標としてキープしておいたらいい。

1カ月後には僕は当市の市民ではなくなるため、必要な時に図書館に出かけて閲覧するとか、必要なら借り出すということができなくなってしまう。結局購入して転居先の自分の根城で蔵書として持って行た方がいいだろうなという気持ちに傾きつつある。2カ月前に読んでいたような本は入門書としてはいいが、さすがに現時点ではそんな本を座右に置いておくというわけにもいかないと思う。レファレンスブックとして、本書はお勧めだと思う。

但し、EDAツールとして本書で紹介されているEAGLEは、2026年にはサービス終了予定で、おそらくAutodesk社はEAGLEユーザーをFusionに誘導したいのだと思われる。EAGLEを使っていればFusionの機能はあらかた想像はつくと思うが。本書ではラズパイ(Raspberry Pi)もラズパイ3をもとに説明されているが、ラズパイPicoについては言及がない。シングルボードコンピュータの開発も日進月歩。解説書もあるタイミングでは最新だったとしても、時間の経過とともに記述内容が実際と合わなくなる現象はあり得る。

ということで、本書は現時点が旬だと言える。これをもっと理解できるようになりたい。そう強く思っているところだ。
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『基礎からのプリント基板製作』 [仕事の小ネタ]

基礎からのプリント基板製作: Autodeskの基板設計ソフト「EAGLE」を使う (I/O BOOKS)

基礎からのプリント基板製作: Autodeskの基板設計ソフト「EAGLE」を使う (I/O BOOKS)

  • 作者: 佐倉 正幸
  • 出版社/メーカー: 工学社
  • 発売日: 2017/05/01
  • メディア: 単行本

内容紹介
基板設計ソフトには、Autodesk社の「EAGLE」を使用し、本書では、プリント基板の基礎から始めて、基板設計ソフトの使い方、製造業者への発注方法までを解説。
【購入】
本書は2021年12月の購入である。当時ブータンに赴任中だった僕は、友人の1人であるケザン君が出身校であるジグミナムゲル工科大学(JNEC)の現役学生向けにオンラインで講義をやるというので聴講していたのだが、そのケザン君がEAGLEの機能紹介をしているのを見て、ちょっとEAGLEが勉強してみたくなった。それで購入して、家族にブータンまで送ってもらったのだが、結局駐在を終える2023年12月まで、自分自身でプリント基板を製作する機会がなかったので、積読のまま日本に持ち帰ることになった。

それが今復活を果たし、慌てて読了にまで至ったのは、先週から今週にかけて、自分で回路基板をデザインして基板の切削をやる機会があったからである。これまでも何度かご紹介しているが、現在僕は半年間のデジタルものづくり人材養成プログラムを受講中で、毎週のように近くのファブ施設でハンズオン実習を受けている。回路基板の切削は3週前に体験済みだが、今週はそもそもの回路の設計を自分でやり、基板の切削まで辿り着かねばならなかった。

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