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『珍夜特急1-インド・パキスタン-』 [インド]

珍夜特急1―インド・パキスタン―

珍夜特急1―インド・パキスタン―

  • 出版社/メーカー: クロサワ レタリング
  • 発売日: 2014/01/15
  • メディア: Kindle版
内容紹介
インドのカルカッタからポルトガルのロカ岬まで、ユーラシア大陸を単独バイクで横断する――。19歳の”私”は、大学の学費を費やして行ったタイ旅行でどこからともなくそんな啓示を受ける。
すぐに卒業を諦め、3年間に及ぶ準備期間を経ていよいよインドに入国した”私”は、いきなり送ったバイクを受け取れないというハプニングに見舞われる。
こんな調子で、それまで日本ですらまともなツーリングもしたことのなかった”私”が、ポルトガルまで無事に走り続けることができるのだろうか――。期間約1年、5万キロにわたるトラブルまみれの旅が、いま始まる!
個人出版の電子書籍なのか、シリーズの割には1冊当たりの単価がとても安く、冷やかし半分で第1巻を購入し、そのまま2ヶ月以上「積読」にしておいたもの。三連休でもあるし、せめてこの本ぐらいは読み切っておこうかと考えた。

明らかに沢木耕太郎の『深夜特急』をもじって付けられたタイトルだ。いいのかなぁと気になった。沢木は実際にインド・ユーラシア大陸の移動に深夜バスを多用していたので、『深夜特急』というタイトルもしっくりきたが、クロサワコウタロウの場合はバイク旅なので、少なくとも出発の地インド・カルカッタから最南端のカンニャクマリを経てゴア、アウランガバード、アグラ、デリー、アムリッツァルを経由してパキスタンに入国し、ラホールからクエッタを目指すという道のりは、夜間のバイク走行を避けている。街路灯がない中でのバイク走行が危ないからで、その判断は正しいと思うが、行く先々での「珍夜」はあっても、それが「特急」とは必ずしも結びつかない。

僕がこの本を読もうと思ったのは、インドに自分のバイクを持ち込んで旅しているからである。第2巻以降を読む気があまりない中、第1巻がインドを扱っていたから読んだというわけ。インド国内行く先々でどれだけインド人にダマされたか、興味津々で読んだ。また、誰もが知っている大都市ではなく、辛うじて名前ぐらいは聞いたことがあるという程度の中小の地方都市で、著者がどんな経験をするのかが楽しみだった。

その点ではカルカッタ(コルカタ)とブバネシュワルの対比は面白かったし、タミルナドゥ州のティルチラーパリーやマハラシュトラ州のアウランガバードでの滞在記はちょっと面白かった。でも、途中をかなり端折っている箇所も。例えば、アウランガバードからアグラまでの行程にはほとんど言及がなく、本書を読んでいると距離感がつかみにくいが、おそらく本書において最長の空白区間となっている。マディアプラデシュ州のインドールやグワリオールあたりを経由してアグラに至ったのだと予想されるが、途中ランドマークになりそうな都市がなかったからか、一気に走ってしまったという印象だ。そういう点での物足りなさは正直感じる。

さて、ポルトガルの最西端を目指した旅の始まりのインド・パキスタン編を読んで続けて第2巻以降を読む気になれたかというと、ちょっと今はその時期ではないような気がする。もう僕はこういう旅に憧れていてよいような年齢でもない。著者はゴールが迫ってくると寄り道を繰り返してゴール到達を先延ばしにしていたようだし、この旅を終えた後、今度は米州大陸を北から南に走るバイク旅を敢行している。羨ましさは感じつつも、それは彼が未だ20代と若く、自分探しを続けていてもいい年齢だったから許されたことだと思う。

その意味では、僕なんかは想定読者のターゲットゾーンから外れているように思う。僕はこれ以上は多分読まないだろうが、こういうバイク旅ご興味ある方は続けて読まれてもいいかもしれない。

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『いつまでも美しく』 [インド]

Behind the Beautiful Forevers: Life, death, and hope in a Mumbai undercity

Behind the Beautiful Forevers: Life, death, and hope in a Mumbai undercity

  • 作者: Katherine Boo
  • 出版社/メーカー: Random House
  • 発売日: 2012/02/07
  • メディア: ハードカバー

いつまでも美しく: インド・ムンバイの スラムに生きる人びと

いつまでも美しく: インド・ムンバイの スラムに生きる人びと

  • 作者: キャサリン ブー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2014/01/24
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
ピュリッツァー賞受賞ジャーナリストが描き出すムンバイのスラムに生きる人びとの素顔。全米図書賞に輝いた傑作ノンフィクション。インド人を夫にもつアメリカ人ジャーナリストが、3年余にわたる密着取材をもとに、21世紀の大都市における貧困と格差、そのただ中で懸命に生きる人びとの姿を描く。全米ベストセラーとなり、数多くの文学賞に輝いた真実の物語。
このブログでインドを取り上げることが最近めっきり減ってしまった。読書ブログに装いを変えたのでそれ自体は致し方ないが、仕事でもインドと直接関係することが少なくなったことがインドに向き合う自分のモチベーションにも微妙な影響を与えている。

原書をわざわざ購入しておきながら、読むのをズルズル先延ばししているうちに、なんと邦訳が出版されてしまったというのが今日ご紹介の1冊。2012年8月にインドに出張した際に、空港の書店などを探して購入した原書『Behind the Beautiful Forevers』(強いて言うなら、「『永遠に美しく』の看板の向こうで」といった意味だろう)が、今年に入って早川書店から『いつまでも美しく』というタイトルで出版されていたのだ。正直この訳本が発売になっているのを知り、「やられた!」と思った。

舞台はムンバイの国際空港にほど近いスラム「アンナワディ」のお話。急速な経済発展を遂げる大都会の片隅で、3000人がひしめき合って暮らしているスラムで、元々は1990年代前半の経済自由化政策の頃に、南部タミル・ナドゥ州から出稼ぎに来た人々が住み始めた集落である。

このスラムで暮らす人々のうち、著者は4人の人物に主にスポットを当てる。1人目はムスリムのフセイン家の長男アブドゥル。ゴミの売買で家計を支え、生活も少しずつ上向きはじめている。一家はウッタル・プラデシュ州出身のムスリムで、この本の舞台となる2007年から2010年頃にかけては、マハラシュトラ州を基盤とする地方政党シブ・セナやラージ・タックライ率いるMNSが他州からの出稼ぎ労働者の排斥運動を展開していたために、警察沙汰などにならないよう、ひっそりと淡々と暮らしていた。

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インド・ハンセン病セミナー(7月16日)のご案内 [インド]

人間の安全保障展関連セミナー
底辺から社会を動かす-インドのハンセン病回復者の挑戦から学ぶこと

 ◆日時: 2013年7月16日(火曜日)19時から20時30分
 ◆会場: JICA市ヶ谷ビル 6階 セミナールーム600
 ◆主催: JICA地球ひろば 協力:日本財団
 JICA地球ひろばは、市民の皆さまに幅広く国際協力の重要性を知っていただくため、開発途上国の実情や世界の諸問題を紹介する展示や、イベント・セミナーを多数開催しています。今回は人間の安全保障展関連セミナーとしてインドのハンセン病回復者を対象とした日本財団の活動をご紹介します。
 病気にかかると、生まれ育った村から追い出される。病気が治ったのに、仕事に就けず物乞いをせざるを得ない。親がかつてハンセン病を患ったというだけで、学校から入学を断られる。そのような厳しい差別に直面している人々が、世界には現在も多く存在します。
 病原菌によって皮膚や神経が侵される「ハンセン病」。外見に変形をもたらすことから、偏見と差別の対象になりやすい病気です。1980年代に有効な治療薬が開発され、早期診断・治療がされれば後遺症も残ることはありません。しかし、医学の進歩とは別に、社会には根強い差別が残っています。
 日本財団は、ハンセン病とそれにまつわる差別をなくすための活動に1970年代から取り組んでいます。中でも世界最多の約120万人のハンセン病回復者が暮らすインドにおいて、ハンセン病回復者の経済的自立と当事者のエンパワメントに力を入れて取り組んできました。
 社会の底辺で暮らすハンセン病回復者たちがどのように立ち上がり、社会的・経済的な立場を回復し、権利を得るための活動を広げてきたのでしょうか。2年間にわたり、インド18州をまわってハンセン病回復者たちと共に活動された財団職員の粟津 知佳子氏をお招きし、その経験から学んだことをお話しいただきます。
 ◆講師: 粟津 知佳子氏(日本財団 国際協力グループ)
 【略歴】2004年上智大学卒。2004年日本財団に入職。2008年より国際協力グループ所属。
  2010年11月から2013年4月までインド・ニューデリーのササカワ・インド・ハンセン病財団へ出向。
  ハンセン病回復者の社会的・経済的自立支援と差別をなくすための啓発事業に取り組んでいる。
 ◆対象: ご興味のある方ならどなたでも
 ◆定員: 90名(先着順)
 ◆参加費: 無料
7月16日(火)夜、東京・市ヶ谷でインドのハンセン病に関するセミナーが開催される。情報拡散に協力を求められたので、この場を借りてご紹介させていただきたい。

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《セミナーチラシ(クリックすると拡大表示されます)》

事前申込みは、下記のJICA地球ひろばのURLからお願いします。
http://www.jica.go.jp/hiroba/event/201307.html#a01-0716-01
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『貧乏人の経済学』著者、インドを語る [インド]

インドの大衆週刊誌INDIA TODAYの2003年4月1日号に、マサチューセッツ工科大学のアビジット・バナジー教授のインタビューが掲載されていた。「貧困者はゾンビではない(The poor are not zombies)」と題したこのインタビューは特集記事の一環で、それほど長くないので、全文訳して紹介してみようと思う。

Q:インドは現世代のうちに貧困撲滅することができるでしょうか?どのようにしたら貧困撲滅できますか?

A:私たちが貧困撲滅できないという理由などありません。それはリソースの問題などではなく、実際に現場で機能する政策の設計の問題です。私達は何人かの専門家とともに政府のオフィスの中で座って政策設計を行いますが、それを実地で試してみるようなことを決してしません。そして、失敗を絶対認めません。全国農村雇用保証制度(NREGA)の基本に立ち返ってうまくいくことを取り上げ、うまくいかないことを廃止しようというようなことも決してしません。

Q:政府の補助金制度は機能しているのでしょうか?

A:もちろんです。私が思うに、貧困は削減途上にあり、NREGAは貧困削減過程で大きな役割を果たしています。NREGAは賃金を上昇させ、貧困層に福祉をもたらしました。Indira Awaas Yojana(貧困層向け住宅供給制度)やJanani Suraksha Yojana(母性保護制度)は、それが実施が容易な制度であったことからうまく機能しています。水や肥料価格への補助金を通じた農業補助政策は逆に廃止すべきです。それよりも農民に現金給付する方が効果が期待されます。農業補助金のような極端なものを農民に与えるよりずっとましです。CNGガスや軽油、肥料といったものの価格を補助金で引き下げたところで、その最大の受益者は貧困層ではありません。

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『転換期を迎えるインド』 [インド]

転換期を迎えるインド―変化をチャンスに変える日本企業の戦略

転換期を迎えるインド―変化をチャンスに変える日本企業の戦略

  • 編者: 中島久雄・岩垂好彦
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2012/08
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
日本企業は成長と革新の「新沃野」でいかに戦うべきか。なされるべき戦略転換の実相と近未来市場の展望を克明に解説。
1つの対象を見るには、2つの異なる見方がある。コップに水が半分入っているのを見て、「こんなに水が入っている」と考える人もいれば、「これだけしか水が入っていない」と考える人もいる。若い部下を見て、「長所」を伸ばそうと考える先輩もいれば、「短所」を直そうと考える先輩もいる。1つの対象をポジティブに捉えるか、ネガティブに捉えるかは、それを見る人の基本的な立場によって異なる。

インドを対象とした場合も同様である。潜在的な巨大市場というポジティブな捉え方と、汚職や女性への暴力、差別などのダークサイドに注目する捉え方と、2通りがあると思う。本書は明らかに前者で、ダークサイドには目をつむり、日本企業に「チャンスを逃すな」と問いかけるレポート内容になっている。そして、そういう考え方の読者のニーズには十分応えられる内容だと思う。

これからインド市場に参入し、先行している企業に追い付くには、先発企業と同程度の販路、製品・サービス、価格、プロモーションに追い付くために、思い切った投資で一気呵成に体制を整えるのが理想で、投資額を小出しにしてリスク分散を図るやり方は良くないという主張には頷けるものはある。(ただ、思い切った投資を上層部に説得できるだけのインド市場向け人材を長年にわたって育ててこなかったというウィークポイントが、日本企業にはあるような気がするけど。)

また、インドの富裕層が大都市だけでなく、それに次ぐ規模の都市や地方にも幅広く分散し、しかも大都市中心部の富裕層の市場は底が浅いという分析も、興味深い。そこからは、投資余力が限られているからはじめはデリー、ムンバイ、チェンナイ、バンガロールといった大都市から参入していこうという事業展開のあり方に対する批判にも繋がっていく。この辺の分析は、さすがは日本随一の民間シンクタンク・野村総研だ。

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インド女性の現実 [インド]

May You Be the Mother of a Hundred Sons

May You Be the Mother of a Hundred Sons

  • 作者: Elisabeth Bumiller
  • 出版社/メーカー: South Asia Books
  • 発売日: 1998/02/28
  • メディア: ペーパーバック

インド駐在員時代に購入したペーパーバックの中には、現在に至るまで積読状態のものが何冊かある。少しぐらい片付けないといけないと思い、2週間ほど前から読み始めた。読み始めて早々、訳本が出ているのを知った。近所の市立図書館で蔵書検索したら、入手できたので、手っ取り早く訳本から読み、必要に応じて原文を当たるという方法を取った。

本書は1998年発刊とあるが、初版刊行は1990年。実際には1980年代半ばから88年にかけて、夫のインド赴任に伴い3年間インドで生活した元ワシントンポストのレポーターが、滞在期間中に行なったインドの女性へのインタビューを再構成し、1冊の本にまとめたものである。それがいまだにペーパーバックとしてインドの書店で売られているというのだから、この本の賞味期限の長さは驚異的であり、今でもインドの女性が置かれた状況にさほど大きな変化がないということを示している。ここで書かれていることは、僕の限られたインド駐在員生活の中で知り得た女性のイメージともかなり近く、今でも説得的だと思う。インドについてジェンダー研究をやろうと思うなら、本書は必須アイテムだ。

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ジュガード・イノベーション [インド]

Jugaad Innovation: A Frugal and Flexible Approach to Innovation for the 21st Century

Jugaad Innovation: A Frugal and Flexible Approach to Innovation for the 21st Century

  • 作者: Navi Radjou, Jaideep Prabhu and Simone Ahuja
  • 出版社/メーカー: Random House, India
  • 発売日: 2012/06/01
  • メディア: ハードカバー
内容紹介
伝統的な組織の思考や行動のあり方に対して問題を投げかける1冊。フェースブックやフューチャー・グループ、GE、グーグル、ペプシコ、フィリップス、日産ルノー、シーメンス、スズロン、タタ・グループ、YES銀行といったリーディング企業は、既に「ジュガード(jugaad)」(小さな創意工夫)を実践し、独創性あるアイデアを創出して、企業の成長に繋げている。世界的規模での競争が激化し、研究開発予算が膨張を続ける中、本書では、どのようにイノベーションを起こすか、どのようにして融通性を確保するか、そしてどのようにして少ない投入でより大きな成果を挙げるかが述べられている。アフリカやインド、中国、ブラジルといった新興国のイノベーティブな企業家の事例をふんだんに盛り込んだ本書は、この複雑で資源が希少になりつつある世界をブレークスルーして成長をもたらす途を描いたものである。
今年8月下旬にインドを訪れた際、バンガロールの空港の書店で平積みになっていたので購入した。探していた本で、出張中に見つけたら買うつもりでいたのだ。11月下旬に行なわれた母校の大学院開設10周年記念行事の準備で、インドの農村開発について少し新ネタを仕入れておこうと考えて、この行事を目標に据えて直前2日ほどで集中的に読んだ。というか、インドの草の根イノベーションの事例だけ拾っておきたかったので、かなりの拾い読みだった。

「ジュガード(jugaad)」というヒンディー語は、このブログの過去記事の中で最もヒット数が多い『3 Idiots』(3人のおバカ)を書く際に初めて知った言葉である。その経緯からして、僕は「ジュガード」という言葉には、草の根レベルの日常の小さな問題を解決するための創意工夫というイメージなのだと勝手に考えていた。インドの農村にそんな創造性豊かな農民発明家が大勢いるというのには憧れる。外部からどんな援助をすればいいかではなく、地元で手に入る材料を用いれば生活をちょっとだけ良くすることができるという、内発性に富んだ発想だ。そうした草の根の発明の中には、うまくいけは村の問題どころか、地域や国全体の問題解決にも大きく貢献できるものもあるかもしれない。

Mitti-Cool-Refrigerator.jpgその1つの例が、粘土製の簡易冷蔵庫『ミッティクール(Mitticool)』だ。グジャラート州のテラコッタ職人が考案したこの冷蔵庫は、上部に水を入れるとその水が粘土に浸透し、その気化熱で中の食材を冷やす。原理などは簡単だ。水の入ったペットボトルを濡れタオルで巻いておくと中の水がひんやりするという発想は、インドの庶民だったら誰でも知っている。その原理を冷蔵庫に生かしたこの製品は大ヒットした。電気を使わない冷蔵庫だ。しかも材料の粘土はそこらじゅうにある。このテラコッタ職人はミッティクールがヒットしたことで、さまざまなタイプの冷蔵庫を製作・販売し始めた。今やインドでも有名なサクセスストーリーの1つである。

しかし、実用化量産化に向けては幾つかのハードルをクリアしていかなければならない。研究開発にはお金もかかるし、量産化するための設備投資にも外部資金を取り入れる必要がある。原理が簡単なだけに、意匠登録をしておかないと、類似の製品がすぐに出回る。大企業が目をつけて即量産すれば、草の根企業家はたちうちできない。

「ジュガード」の付いたタイトルを見て、僕はそんなストーリーを想像し、本を即購入したわけだ。ミッティクールのケースは、本書の第1章の冒頭で出てくる。「ジュガード=草の根発明」というイメージは、あながち的外れではない。

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日印国交60周年セミナー第2弾のご案内 [インド]

知り合いから集客を頼まれて、下記のセミナーについてご案内させていただきます。私のブログの読者で、東京周辺に在住の方がいらっしゃったら、是非会場に足を運んでやって下さい。

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申込みは、JICA地球ひろば/研究所のホームページからできるそうです。
http://jica-ri.jica.go.jp/ja/announce/post_31.html
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インド農業を改革する [インド]

Reforming Indian Agriculture: Towards Employment Generation and Poverty Reduction Essays in Honour of G K Chadha

Reforming Indian Agriculture: Towards Employment Generation and Poverty Reduction Essays in Honour of G K Chadha

  • 編者: Sankar Kumar Bhaumik
  • 出版社/メーカー: Sage Publications Pvt. Ltd
  • 発売日: 2008/08/05
  • メディア: ハードカバー
先週、母校の大学院開設10周年記念行事で、デリーにある南アジア大学のG.K.チャダ副学長が来日された。母校では2回の海外スクーリング参加が必須となっており、僕は当時関わっていた仕事との兼ね合いでインドスクーリングには参加してみたかったのだが、それはチャダ教授が現地コーディネーターを務められるからではなく、単にインドに興味があったからである。(残念ながら、初年度は印パ緊張関係悪化の影響でインドスクーリングは中止となり、翌年は僕自身のスケジュールの関係で参加できなかった。)

10年を振り返ってみると、インドスクーリング参加者はそれほど多くない。しかし、チャダ教授のインド経済学界における立場を知るにつれ、本学がチャダ教授に無理もお願いできるような関係を構築していることは、相当大きなアドバンテージであると思えてきた。幾つかのエピソードを紹介しよう。

①チャダ教授は、インドにおける農業経済学の第一人者で、マンモハン・シン首相の経済顧問も務めておられた。

②2008年だったと思うが、世銀が「成長と開発に関する報告書(Growth Report)」を発表し、世界各地で報告書のブックローンチを行なったことがある。デリーでもローンチが行なわれたので、僕は興味本位でセミナーに出席した。発表者は2001年のノーベル経済学賞受賞者であるマイケル・スペンス教授だ。そのセミナーで、来賓席の最前列に座り、多くの来賓の方々と握手を交わしていたのがチャダ教授だった。

③これはある年のインドスクーリング参加者から訊いた情報だが、その方は日本の公用旅券を所持しており、インド入国のビザを事前取得せず、入国時に取得することを考えていたらしい。日本からインドに渡航する人にはお馴染みの話だが、インドのビザ政策は朝令暮改状態で、入国時に発給なんてことはほとんどあり得ない。その受講生は国外退去の瀬戸際に追いやられた。別室でいろいろ事情聴取を受ける中で、彼は、デリーでの連絡先として、チャダ教授の名前を口にしたらしい。すると、空港係官の応対ぶりが急変し、ビザが即発給されたという。

僕自身は、インドスクーリングを経ずに修士課程を修了したが、縁あってデリーで駐在する機会があり、2008年のインドスクーリングは、オブザーバー参加を許していただいた。スクーリングは、ネルー大学(JNU)での連続講義とフィールドワークから成り、講師の先生方やフィールドに同行して下さる先生方は全てチャダ教授から声がかかって選ばれている。2008年の時には、インド労働経済学会の当時の会長だったT.S.パポーラ教授や、少数民族関係省の諮問委員会である「多様化社会委員会(Diversity Commission)」の委員長を務めておられたアミターブ・クンドゥ教授が含まれていた。僕が当時最も感銘を受けたのはクンドゥ教授の「都市ガバナンス」に関する講義だった。驚いたことに、クンドゥ教授は、2010年に僕がインドを離任する際に開いた謝恩夕食会にお越し下さった。今年のフィールドワークには、ネパールのB.R.バッタライ現首相のJNU留学当時の論文指導教官だったアティヤ・ハビーブ・キドウェイ教授が同行されたと聞く。

そのチャダ教授から薦められて、個人的に購入したのがこの1冊である。この論文集は、教授の薫陶を受けたインド人研究者や盟友が寄稿して編集されたもので、「インド農業を改革する」という主題の後に、「チャダ教授に敬意を表して」とひとこと添えられている。ただ、何しろ600頁近くもある大部な論文集だけに、最初の1頁を開くのに相当な勇気が必要だった。

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日印国交60周年セミナー第1弾のご案内 [インド]

知り合いから集客を頼まれて、下記のセミナーについてご案内させていただきます。私のブログの読者で、東京周辺に在住の方がいらっしゃったら、是非会場に足を運んでやって下さい。

JICA地球ひろば日本インド国交60周年関連セミナー
演題1:「草の根海外協力―インド農村に40年生きて―」
     牧野 一穂氏(NPO法人「アーシャ=アジアの農民と歩む会」理事長)
演題2:「お母さんと赤ちゃんの相談役VHV(農村保健ボランティア)が
   起こす村落女性のエンパワーメント」

     三浦 孝子氏(保健師、助産師、開業助産院「たんぽぽ母乳育児相談室」主催)

  日時:11月29日(木)18時30分から20時15分
  場所:JICA市ヶ谷ビル 6階 セミナールーム600
  定員:90名(先着順)
  住所: 東京都新宿区市谷本村町10-5
  会場への行き方:
    JR中央線・総武線 「市ヶ谷」 徒歩10分
    都営地下鉄新宿線 「市ヶ谷」A1番出口 徒歩10分
    東京メトロ有楽町線・南北線 「市ヶ谷」4番/6番出口 徒歩10分
  地図:http://www.jica.go.jp/hiroba/about/map.html
  主催:JICA地球ひろば
  申込:下記まで電話またはEメールにて、お名前、連絡先・ご所属を お知らせください。
     ホーム―ページからもお申込みいただけます。
  問合・申込先:JICA地球ひろば 地球案内デスク (tel:0120-767278 、
       e-mail:chikyuhiroba@jica.go.jp)

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