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再読・『流星ワゴン』 [重松清]

気が付くと、最後にブログ更新したのが1月25日。それから約2週間、全く更新できておりません。誠に申し訳ございません・・・というか、その1月25日から、土日も休みなく出勤しております。仕事がたまっていて残業が深夜に及んだという日もありましたが、どうしても休日にやらないといけない作業があったり、はたまた家にいては論文執筆に集中できないからという理由で、職場に出かけたという日もありました。今日(土曜日)も、実は事情があって出勤です。日曜日も本当は論文が15日締めと期限が迫っているため、職場に行きたいところ。ですが、会社の入居しているビルが全館停電となるらしく、その日だけは強制的に休みを取ることになります。

そんな状態なので、なかなかブログ更新している余裕がないのですが、不思議なもので、その間にブログの閲覧ランキングが結構な急落をしたのもあまり気にならなくなってきました。更新してなきゃ読まれないのは当たり前のことなので、これ自体は仕方ありません。ただ、それでもちょっと気になっているのは、アウトプットの機会を疎かにしていると、インプットの機会を確保するのも疎かになりがちであるということです。この間本を読んでいなかったわけではないのですが、明らかに読書のペースが落ちました。せっかく読んでもすぐにブログの記事にしないから、書かれていた内容を忘れてしまう。忘れてしまうから、ブログの記事がすんなり書けない、そんなのがどんどん溜まっていってしまうから、新しく読む本にもなかなか身が入らない―――そんな悪循環ですね。

そういう時には先ず小説ですね。そんなわけで、TBS日曜劇場でドラマも始まった『流星ワゴン』を久し振りに読んでみることにしました。(ここからは「~である」調で書きます。)


流星ワゴン (講談社文庫)

流星ワゴン (講談社文庫)

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2005/02/15
  • メディア: 文庫
内容紹介
38歳、秋。ある日、僕と同い歳の父親に出逢った――。僕らは、友達になれるだろうか?
死んじゃってもいいかなあ、もう……。38歳・秋。その夜、僕は、5年前に交通事故死した父子の乗る不思議なワゴンに拾われた。そして――自分と同い歳の父親に出逢った。時空を超えてワゴンがめぐる、人生の岐路になった場所への旅。やり直しは、叶えられるのか――?「本の雑誌」年間ベスト1に輝いた傑作。

いかに日曜が出勤になろうと、さすがに午後9時には帰宅している。最近、日曜夜はTBSのドラマを見て終わるというパターンが定着しており、僕としては最もテレビの前にいる確率が高い時間帯となっている。『流星ワゴン』がドラマ化されると聞いての最初の印象は、オデッセイを運転する橋本父子を考えれば親子で見ても十分面白いだろうという漠然としたポジティブ感だった。ただ、同様に10回シリーズでドラマ化された重松作品『とんび』に比べると、展開が短期間に凝縮されており、どうやったら10回ドラマに引き延ばせるのかというのも気にはなった。

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『アゲイン 28年目の甲子園』 [重松清]

アゲイン 28年目の甲子園 (集英社文庫)

アゲイン 28年目の甲子園 (集英社文庫)

  • 作者: 大森 寿美男
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2014/12/16
  • メディア: 文庫

内容(「BOOK」データベースより)
もう一度、甲子園を目指しませんか―。40代半ばの元高校球児、坂町は見知らぬ女性に突然、声を掛けられる。彼は高校時代、ある出来事が原因で甲子園への夢を絶たれていた。記憶の蓋をこじ開けるような強引な誘いに苛立ちを覚える坂町だったが、かつてのチームメイトと再会し、ぶつかり合うことで、再び自分自身と向き合うことを決意する。夢を諦めない全ての大人におくる感動の物語。

この歳で『アゲイン』と聞くと、楳図かずおが少年サンデーで連載していた漫画を連想してしまうのは私だけでしょうか(笑)。すみません、いきなり余談でした。

17日公開のこの映画、原作が重松清だということで、来週末にでも映画館に足を運ぼうかと思っている。その前に、この映画の撮影を指揮し、脚本も手がけたという大森寿美男の書き下ろした文庫版の物語を、予習のつもりで読んでみた。ちなみに、大森氏はNHK大河ドラマ『風林火山』や朝の連ドラ『てるてる家族』などの脚本を担当し、映画では『風が強く吹いている』などの脚本・監督を務めている。年齢的には僕の4つ下。つまり、この映画の主人公、坂町と同い年である。

この作品、原作となっている重松清の作品というのがルポであるため、小説ということでいえば大森監督のまったくのオリジナルだと思っていい。そのあたりのことがちゃんと理解できずにこの本を読むと、読点の打ち方とか、それなりにクライマックスシーンを設けているところとか、いつもの重松作品とはちょっと違う印象を受ける。重松清の小説でちょっとツラいと感じる、これでもかこれでもかと描かれるお涙頂戴の展開は、この大森版の小説でも繰り広げられるが、登場人物の心の中の葛藤をそれほど描いていないので、僕にとってはいいさじ加減だったように思う。

坂町が高校時代に甲子園出場の夢を断たれた事件というのは、埼玉県予選の決勝前日、チームの補欠だった同級生の起こした暴力事件だった。そのために決勝戦は辞退を余儀なくされ、坂町たちの最後の夏は突然終わった。「負けるなら、ちゃんと負けろ」という言葉がひとつのキー・フレーズになっている作品だが、地区予選の決勝を、勝っても負けてもちゃんと試合をやれなかったというのが、キャプテンだった坂町をはじめ、エース高橋、キャッチャーで主砲だった山下らの悔いとして今まで引きずってきたのだろう。

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『一人っ子同盟』 [重松清]

一人っ子同盟

一人っ子同盟

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2014/09/22
  • メディア: 単行本
内容紹介
あの時のぼくたちは、「奇跡」を信じて待つことができたんだ――。両親がいて、子どもは二人。それが家族の「ふつう」だったあの頃。一人っ子で鍵っ子だったぼくとハム子は、仲良しというわけではないけれども、困ったときには助け合い、確かに、一緒に生きていたんだ。昭和40年代の団地で生きる小学校六年生の少年と少女。それぞれの抱える事情に、まっすぐ悩んでいた卒業までの日々の記憶。

なんだか久しぶりの重松作品だな。作家には、ネタの仕込みの時期と本として世に作品を出す時期というのが交互に訪れるということなのかもしれない。本書も雑誌に連載されていた小説を単行本化したものだ。

想定読者は誰なのか、不思議な作品である。小学6年生の主人公の1年間を描いているという点では、想定されるのは小学校高学年なのかもしれないが、舞台は1970年代の、伝統的な市街地の郊外に団地が出来始めた頃だし、使用されている漢字も小学生が読むにしては難しい。うちの末っ子も来年は小6なので、こういう作品にはチャレンジさせたい気持ちもやまやまだけど、舞台が舞台だけに今どきの小学生にはピンとこないところもありそうだ。

当時は2人兄弟、3人兄弟が普通で、一人っ子というのは確かに珍しかった。元々その地域に住んでいた世帯は特に家族数も多かった時代で、その郊外に建ちはじめていた団地の入居者に、核家族化が見られ始めた時期だろう。ただ、それでも一世帯に子供が1人というのはまだまだ珍しく、いたとしても、兄弟を事故や病気で亡くしたか、家庭の事情で早い時期に母子家庭になってしまったか、或いは逆に両親がともに亡くなって孤児になってしまったか、要するに「わけあり」の子だったというパターンは多かったと思う。

そして、当時はプライバシー侵害に対する意識も低かったから、クラス名簿に住所や家族構成まで詳述されているのが当たり前だった。お陰でクラスメートの家に電話をかけるのは当たり前にできたし、クラスメートの両親の名前まで僕らは知っていたから、遊びに行っても友達の親には普通に接することができた。ただ、逆に住所だけ見て親はその友達のバックグランドを判断することもできたわけで、誰々と付き合うのは要注意だとか釘を刺されたこともないことはない。住んでいる場所で、昔からの住民なのか、新参者なのかが判断できる。古くからの市街地の住民グループと、最近団地に越してきたような新参住民グループとの間には、葛藤もあったに違いない。そういうものも、この作品からは読み取れる。

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『小学五年生』 [重松清]

小学五年生

小学五年生

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
10歳もしくは11歳。男子。意外とおとなで、やっぱり子ども。人生で大事なものは、みんな、この季節にあった。笑顔と涙の少年物語、全17編。
小五の二男がGW用の読書素材として学級文庫から借りてきた本。彼は僕が重松作品の愛読者であることをよく知っており、自分で読むというよりも、オヤジに関心を持ってもらうために借りてきたのではないかと思う。このGWは意外と慌ただしく、連休の合間の平日は全て出勤、しかも長時間の残業を余儀なくされた。軽く読み進められそうな小説であったとしても1冊読み切るのはちょっと大変で、その結果が相変わらずの低いブログ更新頻度につながっている。

いずれにしても、息子が読む前に息子の期待通り僕が先に読ませてもらった。小学校の学級文庫に所蔵されている重松作品としては、小四用には『くちぶえ番長』、小五用に『小学五年生』、小六用に『きみの友だち』が用意されているらしい。妥当な線と言えるだろう。

本書は確かに国語の出題に使いやすい超短編が収録されており、何事にも飽きやすい子供達には読みやすい作品かもしれない。小五の子供が何を考えているのか、何に悩んでいるのかを知るにはいい作品だと思う。でも、17編も収録されていると、読んでいるうちに今どこにいるのかわからなくなってしまうことも度々で、あまりひとつひとつの短編で印象に残ったものがない。なんだか本当につじつま合わせのためだけに読んだという印象だ。

出てくる主人公は全員男子で、女子に関してはそうした男子の目を通してしか描かれていない。そういうところは、男性作家としてのシゲマツさんの制約であろう。

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『ゼツメツ少年』 [重松清]

ゼツメツ少年

ゼツメツ少年

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/09/20
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
小説家のもとに、少年から謎の手紙が届く。「僕たちはゼツメツしてしまいます」少年2人、少女1人、生き延びるための旅が始まる―僕たちをセンセイの書いた『物語』の中に隠してほしいのです。ゼツメツ少年からの手紙は届きつづける。でも、彼らはいま、どこにいるのか。「大事なのは想像力です」手紙は繰り返す。やがて、ゼツメツ少年は、不思議な人物と次々に出会う。エミさん。ツカちゃん。ナイフさん。このひとたちは、いったい、誰―?
『ファミレス』や『みんなのうた』を読んで、「もうシゲマツは読まない方がいい」などと書いていた僕であったが、新刊が出たら出たで、なんとなくsomething newを期待して手にしてしまう。とはいえ、小説は再読する可能性が低いため、結局図書館で順番待ちして、ようやく手にするまで半年近くがかかった。

確かにsomething newは、本作品を読む限りはあったと言える。作品中に登場するゼツメツ少年3人組が小さな旅に出て逃げ込んだのは東京郊外のニュータウン。エミさん、ツカちゃん、ナイフさん―――過去にニュータウンを舞台にしてシゲマツさんが描いた長編作品の登場人物が次々と現れる。『きみの友だち』、『エイジ』、『ナイフ』等に加え、『きよしこ』、『青い鳥』あたりを読んでいると、少し懐かしさを感じるかもしれない。それぞれの登場人物が暮らした舞台は各々の作品中では別々の町だった筈だが、『ゼツメツ少年』の中では1つの町に集結している。そんなことを可能にしたのは、多分これらの登場人物が、作品中で登場するこの物語の作者でもある「センセイ」の想像に基づくからだと思う。「センセイ」がその都度書き足していく物語に、昔別の作品で登場させた人物をぶつけて少年たちに刺激を加えて、フィナーレに向けて展開していくのである。

但し、扱っているテーマは「いじめ」や「自殺」である。シゲマツさんお得意の交通事故死やガンによる病死といったものは、少年たちの肉親や姉の死といった形で、この物語が始まる前の出来事として描かれているだけである。小学校や中学校では今も陰湿ないじめが横行している実態を見せられると、残念で仕方がない。そういうものを物語にして描くのは読み手としては悲しさがあるが、メッセージは発信し続けなければならないのだろう。ただ、こういう作品を書き続けている作家の身近なところで、いじめを苦にした女子中学生の自殺や、原因究明が進まない中で心を患った父親である友人を持ってしまったシゲマツさんの無念さは、随所に伺える。きっとこの友人は重松作品を愛読し、暖かい声援を送ってくれていた人だったのだろう。

場面場面の情景を思い浮かべることは難しくはなく、読みやすい作品だと思う。ストーリー自体は追いかけやすいが、どこからどこまでがリアルな話で、どこからが「想像」の産物なのか、途中でよくわからなくなった。取りあえず流れに従って読んで、本書のメッセージが何かは大まかにはわかったけれど、なんでそうなるのかを考えはじめたら、きりがなさそうだ。
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『赤ヘル1975』 [重松清]

赤ヘル1975

赤ヘル1975

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/11/28
  • メディア: 単行本
内容紹介
1975年――昭和50年。広島カープの帽子が紺から赤に変わり、原爆投下から30年が経った年、一人の少年が東京から引っ越してきた。やんちゃな野球少年・ヤス、新聞記者志望のユキオ、そして頼りない父親に連れられてきた東京の少年・マナブ。カープは開幕10試合を終えて4勝6敗。まだ誰も奇跡のはじまりに気づいていない頃、子供たちの物語は幕を開ける。
『ファミレス』を読んで、いい加減重松ファンを辞めようかとも思った僕であったが、前言を撤回する。同じ広島を舞台にしていても、『ファミレス』よりも本書はずっと良い。シゲマツさんの新境地を開いたかなとも思える。むしろ、中国地方出身のシゲマツさんが、作品の中で広島カープや原爆を取り上げてこなかったことが不思議でならない。(勿論、最近東日本大震災を絡めた作品の中で福島第一原発の事故の話にも言及し始めている重松作品の傾向の中で、昨年の広島カープの躍進があって、こんな作品が生まれてきたのかもしれないが。)

昭和50年(1975年)というのは、広島に原爆が投下されてからちょうど30年、そして、広島カープがチームカラーを赤に変更した最初の年であり、古葉監督の下で球団創設史上初のリーグ優勝を成し遂げた記念すべき年である。主人公のヤス、ユキオ、マナブの3人は中学1年生だが、僕はこの年小学6年生で、前年にリーグ優勝を果たした中日ドラゴンズを翌年も応援しつつ、赤ヘル軍団とのデッドヒートの末に敗れた1975年のことは、覚えていないわけがない。とりわけ、ドラゴンズは池谷投手にはやられまくったからなぁ。

本書は、この中1生三人を核としてストーリーが展開していくが、それはカープのリーグ戦の展開ともシンクロし、今のカープを応援するファンの皆さまにとっても、赤ヘル軍団の初優勝がどんな様子だったのかを思い起こすという意味で貴重な読み物とも言えるだろう。当時の広島市民の雰囲気が非常によく描かれているし、また山本浩二のそっくりさんが現れたり、初優勝が決まる試合が平日のデーゲームだったりして、職場の人々だけでなく、学校で学んでいる生徒の中にも、仮病を使ったり、親類の不幸などをでっち上げて、優勝決定のシーンを見守ったりしていたらしい。昨年の東北楽天イーグルスのパリーグ優勝、CS優勝、日本シリーズ優勝決定時の東北って、それに近い様子だったのかなと想像してみたくなる。

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『ファミレス』 [重松清]

ファミレス

ファミレス

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2013/07/23
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
妻と別居中の雑誌編集長・一博と、息子がいる妻と再婚した惣菜屋の康文は幼なじみ。料理を通して友人となった中学教師の陽平は子ども2人が家を巣立ち“新婚”に。3・11から1年後のGWを控え、ともに50歳前後で、まさに人生の折り返し地点を迎えたオヤジ3人組を待っていた運命とは?夫婦、親子、友人…人と人とのつながりを、メシをつくって食べることを通して、コメディータッチで描き出した最新長篇。
今月上旬、『みんなのうた』を読んで、「重松作品はそろそろ潮時か」なんて感想をこのブログでも書いていたにも関わらず、性懲りもなくまたシゲマツに手を出してしまった。図書館で予約していてようやく順番が回ってきたということなので、お許しいただければと…。

この作品は、日経新聞夕刊でずっと連載していたものだ。重松ファンだと言いながら、僕はこの新聞でのこま切れ連載小説を読むのが大の苦手で、この作品も一度は挑戦してはみたものの、1話を読んだだけでは登場人物が誰なのかがわからず、感情移入も全くできずに挫折してしまった経緯がある。新聞の連載小説は第一話から読み続けないといけないものなのだ。

それが6回X51週続くのだから、その分量たるや大したもので、上下二段組みにしても400頁近くあってとにかく長い。僕はこう見えても忙しい身分なので、読み終えるのに4日もかかってしまった。ただ、新聞の連載だから一応お話自体もある程度はこま切れになっており、読書を中断して栞を挟みやすい、それでいて読書再開してもそこまでの展開を忘れていて読み始めに難儀するということはない。

ただ、1年間の連載を想定していたからか登場人物が多く、固有名詞付きで登場する人がざっと数えただけで20人を超えるので、ごちゃつき感は相当にある。いつも正論ばかりを述べる堅物からヘタレまで、食材選びから手間ひまかけておいしい料理をこしらえる人から柿の種やベビースターラーメンを利用して小手先だけどでもおいしいという料理を作る「プロ」まで、そして、単に空腹を満たすだけならコンビニ、ファミレスで十分という若者から、食事は一緒に食べる人がいてお腹だけでなく心も満たしてくれると考える人もいる。いろいろな座標軸を定めて登場人物をそこに置いてみると、極端から極端へと登場人物が大きく分散しており、考え方や行動の仕方が多様であることでストーリーにいい味を出しているような気がしないでもない。

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『みんなのうた』 [重松清]

みんなのうた (角川文庫)

みんなのうた (角川文庫)

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2013/08/24
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
東大を目指して上京するも、3浪の末、夢破れて帰郷したレイコさん。傷心の彼女を迎えるのは、個性豊かな森原家の面々と、弟のタカツグが店長をつとめるカラオケボックス『ウッド・フィールズ』だった。このまま田舎のしがらみに搦めとられて言い訳ばかりの人生を過ごすのか―レイコさんのヘコんだ心を、ふるさとの四季はどんなふうに迎え、包み込んでくれるのか…。文庫オリジナル感動長編!
読書ブログと銘打ちながら、今週は更新がすっかり疎かになっている。その間読んでいた本も何冊かあって紹介したいネタは揃っているのだが、僕がもっぱらブログ記事を書くのに充てている午前3時30分から5時までの時間帯、すっきりと目覚めることができず、書く時間を作れずにここまで来てしまった。

目覚めがすっきりしない理由は、夜の寝つきが極端に悪いからである。僕は今週火曜日から木曜日まで、3日連続で夜に10kmのジョギングをやった。来週末に久しぶりのマラソン(10kmの部)を走るので、その追い込みで走る頻度を増やしてここまで来てるのだが、これをもっぱら夜20時から21時の時間帯で行なうと、なんだか神経が昂って、なかなか眠りに落ちない。僕は朝3時30分に起きるのに夜は22時には就寝するのを日課にしているが、なかなか眠りにつけないので、目覚ましの時刻を少し遅めに設定せざるを得ないのである。それがブログ更新時間のなさに繋がっている。

などとひとしきり言い訳した後で、今週読んだ本のうち、軽いものから先ず感想を述べていきたいと思う。

非常にレアなケースだが、8月の新刊を市立図書館で借りることができた。今回学んだのは、新刊本には貸出開始日が設定されており、それは発売開始日から約3週間後だということだ。相当に早めに予約を入れていたので、1番目か2番目ぐらいで現物にありつけた。人気あるだろうから、さっさと読んだ。感想は―――。

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『星のかけら』 [重松清]

星のかけら (新潮文庫)

星のかけら (新潮文庫)

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/06/26
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
それを持っていれば、どんなにキツいことがあっても耐えられるというお守り「星のかけら」。ウワサでは誰かが亡くなった交通事故現場に落ちているらしい。いじめにあっている小学六年生のユウキは、星のかけらを探しにいった夜、不思議な女の子、フミちゃんに出会う―。生きるって、死ぬって、一体どういうこと?命の意味に触れ、少しずつおとなに近づいていく少年たちの物語。
一時は作品充填中だったシゲマツさん、去年ぐらいから新刊本が増えた気がする。各所で行なっていた連載が終了し、1つの作品としてまとめて発表されたりするケースが結構多い。中には、単行本化せずにいきなり文庫本として発売されたものもある。

『星のかけら』は、小学館の子供向け月刊誌『小学六年生』に1年間連載されたのを集めた長編である。6章構成になっているので、半年間の連載だったか、あるいは2カ月分を1章として、1年間連載されたのかもしれない。内容的にも想定読者は小学校高学年であることは間違いないので、単行本化するよりは最初から文庫化してしまう方が、コスパはいいかもしれない。いずれにせよいきなり文庫化された作品だ。

一度店頭で立ち読みしたが、明らかに子供向けの作品だったので、購入する気になれずにいた。今回、意外と早く図書館の予約の順番が回ってきたので、軽く読んでみた。200頁ぐらいのボリュームだが、その気になれば2時間弱で読み切ることは可能だろう。

さっさと読んでしまった上で感想を述べるなら、我が家の3人の子供たちのうち、かろうじてまだ小学生(四年生)である次男ぐらいにはいずれ読んでほしいと思う。既に彼は重松作品『くちぶえ番長』を読んでいる。これも『小学四年生』(五年生かも)で連載された後で文庫化された作品で、ちょうどいい学年で年相応の作品としてこれを読むことができた。この夏休みの宿題として最低1000頁以上本を読むという課題を課せられていた次男は、昨日ようやくこれをクリアしたが、他に終わっていない宿題もあるため、『星のかけら』をすぐに読んでみたらとは勧められない。まあ、彼が五年か六年になるまで待ってもいいかもしれない。

「生きてるひとは、みんな、自分の力で歩いていかないと、だめなの」というフミちゃんの言葉が、いちばん大きなメッセージだろう。シゲマツさんが小学生向け月刊誌に書く作品は、今のご時世を反映して、いじめられている子供といじめている子供に対するシゲマツさんの強い思いが込められていると思う。

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『また次の春へ』 [重松清]

また次の春へ

また次の春へ

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2013/03/09
  • メディア: 単行本
内容紹介
終わりから、始まる。厄災で断ち切られたもの、それでもまた巡り来るもの。
喪失の悲しみと、再生への祈りを描く、7つの小さな物語。
小学3年生、母を亡くした夜に父がつくってくれた“わが家"のトン汁を、避難所の炊き出しでつくった僕。
東京でもどかしい思いを抱え、二カ月後に縁のあった被災地を訪れた主婦マチ子さん。
あの日に同級生を喪った高校1年生の早苗さん。
ふるさとを穢され、避難指示の中で開かれたお盆の夏祭りで逡巡するノブさん。
かつての教え子が亡くなったことを知り、仮設住宅に遺族を訪ねていく先生。
行方不明の両親の死亡届を出せないまま、自分の運命を引き受けていこうとする洋行――。
未曽有の被害をもたらし、日本中が揺れた東日本大震災――。
それぞれの位置から、それぞれの距離から、再生への光と家族を描いた珠玉の短篇集。
市立図書館で長いことウェイティングになっていた本が、このところ立て続けに自分の順番が回って来るようになった。僕の後にも多くの人がウェイティングになっていると思うと、ユーザーの権利としての2週間をまるまる手元に置いて有効に使うよりも、一刻も早く読んで返却し、次の人に回した方がいい。善良な小市民の僕はそう考える。

シゲマツさんの新機軸かな、という気がした短編集である。元々シゲマツさんは身近な人の死がもたらす自分や周囲の人々への影響、心の変化を描くケースが多い作家だった。父親か母親が心筋梗塞や脳溢血、事故などで突然帰らぬ人になったとか、クラスメートの自殺とか、その人の記憶がその時点でストップしてしまうのに対し、残された人々の時間はどんどん経過していく、そのギャップを描くことが多かった。もう1つは癌による親友や家族の死で、宣告を受けてから「その日」を迎えるまでに少しばかりの時間が残される場合、当事者は何を考え、残される人々に何を残そうとするのかを描いた作品が多い。

いずれも「死」を扱った作品で、自分がその当事者だったとしたら、やっぱりそう考えるだろう、そう行動するだろうという共感を抱くことがかなり多い。僕自身は作品を読んでそれほど泣いた経験はないが、一般には重松清は「泣かせる作家」という評価を受けている。

そんなシゲマツさんが、被災地の人々や、被災地を離れて東京に住んでいた人々を描いたらどんな作品を書けるだろうか。そんなことを以前から思っていた。

これまでの重松作品では、死が本人と周囲の人々の時間をストップさせるという描き方が多かったが、今回ご紹介する短編集では、災害は、犠牲になった方々だけでなく、残された人々の大切な過去すらも失わせる。起きたことは仕方がない、未来を見据えて頑張っていきましょうと言われても、今までそこで暮らしてきたという記録を全て押し流されたり、そこに戻ることが許されなかったりするのは簡単には受け入れがたい。また、同じ被災地といっても、高台の新興住宅地と沿岸の古い市街地とでは住民の被災の程度も違うし、中学高校を卒業してずっとそこに残って働いている人と、上京して大学に通い、そこで家族までもうけた人とでは、現実の捉え方が違う。個々の当事者とその家族にとって状況が異なるため、それをきめ細かく拾い上げてその心情を言葉に残しておく取組みは、もっともっと必要だと思う。

この作品集を読みながら、シゲマツさんには、震災や原発事故に直接的間接的に影響を受けた人々の心情を言葉に起こした作品、今後も書いていって欲しいと強く思った。

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