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『高杉晋作・男の値打ち』 [読書日記]

高杉晋作・男の値打ち―この“人間的魅力”を見よ!

高杉晋作・男の値打ち―この“人間的魅力”を見よ!

  • 作者: 芳岡 堂太
  • 出版社/メーカー: 三笠書房
  • 発売日: 1998/02/01
  • メディア: 単行本
内容(「MARC」データベースより)
この人のためなら、と思える人物が現れた時、歴史は大きく動く。幕末動乱の長州において、藩論を転換させ、維新の先駆けとなった高杉晋作。八方塞がりの状況を己の力で切り開いたその意志の強さと志に迫る
【MKレストランで借りる】
FAB23対応が忙し過ぎて、読書にほとんど時間が割けなかった7月。当然ながら月跨ぎですぐに紹介できるような本があったわけでもなく、しばらくはFAB23関連の報道の紹介でお茶を濁しつつ、その間に読み進めていた1冊目がようやく紹介できることとなった。

なんで今さら高杉晋作?―――そう思われるかもしれないが、以前、吉田松陰ものを読んだ後、機会があれば高杉の評伝でも読んでみたいと思ってこれまで過ごしてきた。

FAB23が終了し、日本からお越しになられていた参加者の方々をティンプーで見送り、久しぶりに一人だけになった29日(土)のお昼、市内のMKレストランに食事に出かけた。そこには以前ブータンで10年以上にわたって住んでおられたJICAの専門家の方が残して行かれた蔵書棚が今も置いてある。以前お世話になったマダムは今はお店にはあまり顔を出さなくなられていて、日本人だからと言って律義にMKレストランに通う義理も今や少なくなりつつあるが、蔵書は蔵書として借りるのもいいかもと思い、ざっと眺めてみたら高杉晋作の本があった。三笠書房と言えば自己啓発本で有名な出版社だが、気軽に読んでみるにはいいかと思い、次回ティンプーに上がるまでお借りすることにした。

普通ならこの手の評伝を読み切るのにさほど時間がかかるものではない。でも、今だからあえて告白するが、FAB23期間中のマルチタスク状態は還暦を過ぎたオジサンには超過酷なもので、自分自身の頭がパンクしたと感じたことが少なくとも二度あった。思考能力が極端に落ち、判断力も低下し、長い読み物が本当に頭に入って来ない、そんな状態に陥った。これも「燃え尽き症候群」の一種なのだろうか。

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『目の見えない人は世界をどう見ているのか』 [読書日記]

目の見えない人は世界をどう見ているのか (光文社新書)

目の見えない人は世界をどう見ているのか (光文社新書)

  • 作者: 伊藤 亜紗
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2015/05/15
  • メディア: Kindle版
内容(「BOOK」データベースより)
私たちは日々、五感―視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚―からたくさんの情報を得て生きている。なかでも視覚は特権的な位置を占め、人間が外界から得る情報の八~九割は視覚に由来すると言われている。では、私たちが最も頼っている視覚という感覚を取り除いてみると、身体は、そして世界の捉え方はどうなるのか―?美学と現代アートを専門とする著者が、視覚障害者の空間認識、感覚の使い方、体の使い方、コミュニケーションの仕方、生きるための戦略としてのユーモアなどを分析。目の見えない人の「見方」に迫りながら、「見る」ことそのものを問い直す。
【購入(キンドル)】
実は、3月に一時帰国した際の健康診断で、1項目だけ「再渡航不可」の評価をもらってしまった項目がある。それは視力であり、僕の右目は子どもの頃からあった乱視が進み過ぎ、目の前の文字も、相当大きな文字じゃないと識別できないぐらいにぼやけてしまっている。

健康診断で視力検査を受けた際、「これはどちらに向かって開いていますか?」と訊かれ、僕は思わず、「もう検査始まったんですか?」と尋ねた。それくらいぼやけてしまって、目の前が真っ白だったのである。

乱視が進んでしまうから、右目でものを見る練習をするよう、10年ぐらい前から注意を受けていた。でも、右目でものを見ろと言われても、右目だけを開けて見続けるわけにもいかない。一時は左目にアイパッチをつけてみたりもしたのだが、ぼやける右目だけでは仕事にも支障があるので、結局長続きしなかった。

左目だけは今でも視力1.2~1.5は確保できているので、そのおかげで「再赴任不可」を免れた。まあ、長期駐在もこれが最後だと思っているので、任期終了までは左目一本でなんとかやり抜きたい。

とまあ僕自身、すでに視覚障害者の仲間入りといえるに近い状況にあるため、2015年に相当話題になった本書も、今更ながらに気になって読んでみることにした。最初から見えなかった場合と、生後のどこかの時点で視力を喪失した場合とでは、五感の感覚の使い方もたぶん違うので、「目の見えない人」の一般化はきっと難しいだろうが、それでも、視覚情報が入って来づらくなった場合、何でそれを補ったらいいのか、あるいは補うのではなく、視覚情報が入って来づらいことでメリットになることは何かとか、そういうのをあらかじめ知っておくのに、本書のような本は読んでおいてよかったと思う。

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『「日本ダメ論」のウソ』 [読書日記]

「日本ダメ論」のウソ (知的発見!BOOKS)

「日本ダメ論」のウソ (知的発見!BOOKS)

  • 作者: 上念司
  • 出版社/メーカー: イースト・プレス
  • 発売日: 2013/09/13
  • メディア: Kindle版
内容(「BOOK」データベースより)
これが、国民に隠されている「不都合な真実」だ! ベストセラー『日本は破産しない!』で注目の勝間和代の最強ブレーンが、メディアにはびこるウソを完全論破!これが「不安の正体」だ。
【Kindle Unlimited】
実は先週末に読了していたのだが、また例のSSブログの「Human Verification」というプロセスが誤作動を起こしていつまでもログインができない状態が続き、結局1週間ブログへのログインができない状態が続いてしまった。読了から日が経ちすぎると、記憶も忘却の彼方に去って行く。あまり中身についての紹介が具体的にはしづらい記事になることはお許し願いたい。

日銀批判や官僚批判、憲法改正論擁護、防衛費増額支持等———読みながら、以前読んだ『安倍晋三回顧録』にあった故・安倍総理の考えと近いのではないかと思える内容だった。この本が出たのは第二次安倍政権が発足した直後ぐらいだったようだから、本当に安倍政権支持の論陣の一翼を担っての刊行だったのだろう。浜田宏一教授に師事しているとか、高橋洋一氏、岩田規久男氏を本書の中で持ち上げておられる点も、リフレ派擁護論の論陣を担った1冊だったのだろう。

ただ、巷間言われているような「日本すごいぞ」的な要素の列挙を期待して読み始めると、そういう内容ではないので注意は必要だ。「日本はもうダメだ」と言っている人々への反論という点ではそういう内容かとは思う。タイトルがすごくミスリーディングだとは思わない。でも、「まだまだ日本も捨てたものではない」と著者は言いたいわけではなく、「日本ダメ」と言われていても、まだやるべきことがあるだろと強く反論はされている。

1人でディベートをやって、通説に対して反証できる材料を出せるかどうかを自分で考えてみろというのが本書を通じた著者の主張になっている。それ自体はその通りで、本質を見抜いて正しい判断ができるようにならないといけないのだとは思うのだけれど、あまりに安倍政権擁護が過ぎると、疑惑の部分についての1人ディベートを著者本人がやってみて、結果はどうだったのかというのも知りたくなる自分がいる。


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『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』 [読書日記]

田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」 タルマーリー発、新しい働き方と暮らし (講談社+α文庫)

田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」 タルマーリー発、新しい働き方と暮らし (講談社+α文庫)

  • 作者: 渡邉 格
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/03/17
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
「気づけば定職にもつかぬまま、30歳になろうとしていた。どんな小さなことでもいいから『ほんとうのこと』がしたい。初めて自分の心の奥底から出てきた、その声に従い、僕はパン屋になることを決めた」マルクスと天然麹菌に導かれ、「田舎のパン屋」へ。そこで実践する、働く人、地域の人に還元する経済と暮らしが、いま徐々に日本社会に広がっていく。ビール造りの場を求め、さらに鳥取・智頭町へ。新たな挑戦を綴った「文庫版あとがき」も収録。
【Kindle Unlimited】
中国山地の中に、「タルマーリー」というパン屋さんがあるというのは、テレビ番組で取り上げられたのをたまたま見ていて知った。中国地方の山間地って、結構その環境に魅入られて移住を果たす人が多い地域の1つで、僕の知人にもそういう人がいる。ネタの1つとして持っておいてもいいかもと思い、Kindle Unlimitedのラインナップを見ていて、本書を見つけて手に取ってみることにした。

僕はマルクスの『資本論』はちゃんと読んでいないため、前提としてマルクスを知らないで本書を読んだと思って欲しい。本書の著者も別にマルクスの論者なわけではないが、自分がやろうとしていることを自分なりに『資本論』の枠組みに当てはめて理論化を図ろうとされているふしがある。それが正しい『資本論』理解に基づいて論じられているのかは僕には評する力はない。ただ、マルクスをかじった程度の人からすると、著者による整理はそれなりにわかりやすくはあった。

でも、読むにあたって期待していたのはそういうレベルで自身がなされてきたことを一般化・正当化しようとした記述ではなく、単純に著者の御夫妻がどのように歩んで来られてきたのかというパーソナルヒストリーだったと思う。1斤400円もする食パンがなぜ売れるのか。どんな人が購入しているのか。どうやって売っているのか。同じように田舎でパン屋を開きたいと思っている人にも参考となるようなノウハウが、もっと詳らかにされていたらよかったのにと思う。

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『さらば愛しき競馬』 [読書日記]

さらば愛しき競馬(小学館新書)

さらば愛しき競馬(小学館新書)

  • 作者: 角居勝彦
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2020/11/26
  • メディア: Kindle版

内容紹介
名伯楽が40年の競馬人生で体得したもの。日本馬として初めてドバイワールドカップを制したヴィクトワールピサ、64年ぶりに牝馬のダービー馬となったウオッカ──調教師として数々の金字塔を打ち建ててきた角居勝彦氏だけに、「厩舎解散」の報せは衝撃を持って伝えられた。
「初めて馬に触れてから40年近く、競馬の世界でお世話になりました。本書では、その間に私が見たたこと感じたこと、そして勝つために努力したこと、勝つことで確信できたことなどを綴っていくつもりです。競馬に使う側の考え方や方法論を知ることで、大いに馬券検討の参考になるはずです。競馬を支えてくださったファンの方への恩返しのつもりで(中略)正直に打ち明けました」(本書「はじめに」より)
【Kindle Unlimited】
本当は、先週末の日本ダービーの直前に読み切りたかったのだけれど、全然間に合わなかった。本書は、ファン目線ではなく、調教師という当事者の目線で書かれていて、ファンが気軽に読むには少し難しさも感じた。馬券選択する際の参考にはなるところもあるかもしれないが、何しろそれほど馬券買ったりもしていない。ファンと言えるほどのファンでもないので、参考にするほどの読み方も正直できなかった。

でも、角居厩舎といったらテレビの競馬中継ではよく解説者が「さすが」と言及していた厩舎で、それだけの好成績を上げていた厩舎であった。だから、数年前に角居調教師が厩舎を解散するという報道があった時、えらい思い切ったことをされるんだなと少し驚いたのを覚えている。

競馬で好成績を上げて「名伯楽」と呼ばれる名声を打ち立て、今の競馬界のあり方に対して一家言もあり、影響力もあるような人物が、あっさりそれを手放して次のキャリアを選択される―――僕が本書に関して興味があるとしたら、その部分だったかもしれない。

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『シン・日本プロレス』 [読書日記]

シン・日本プロレス: すべてはここから始まった、総合格闘技の源流と末流

シン・日本プロレス: すべてはここから始まった、総合格闘技の源流と末流

  • 出版社/メーカー: サイゾー
  • 発売日: 2022/12/26
  • メディア: Kindle版
内容紹介
疫病と戦乱の生じさせた黒雲が世界を覆い尽くした2021年から2022年にかけて、前田の個人史に大きな節目が訪れた。自身のライフワークであるファイティングネットワーク・リングスが設立から30年、一応の閉幕から20年を迎えたのだ。22年は古巣・新日本の旗揚げ50周年にも当たる。予期せぬことではあったが、師であるアントニオ猪木に今生の別れを告げる仕儀ともなった。この機会に、前田自身の経験にあらためて斬り込んでみたい。そう考えた。幸運にも快諾が得られ、二度にわたるロングインタビューが実現。その全貌を基底とし、加筆・構成したのが本書に収めた2本の記事である。
【Kindle Unlimited】
僕の親友で、今、北の大地でブックコーディネーターという仕事をしている奴がいる。もう40年近くも続いている大学時代の友人で、バイト先で出会った。そんな彼が今、SNS上で自身の本や書店・出版業界とのつながりを歴史を回顧するメモを時々アップしていて、楽しみに読ませてもらっている。

僕たちは同い年で、立場は違ったけれど、同じ神田の大型書店の同じフロアで働いていた。1984年秋から85年初夏頃までのことだったと思う。当時、僕は週刊プロレスや東スポの読者であったが、彼は週刊ゴング派だった。しかも、どちらかというと新日本プロレスの方のファンであった。全日本プロレスもハンセン、ブロディ、「スーパーフライ」ジミー・スヌーカなんかが活躍していた華々しい時代で、僕も当時住んでいた寮の先輩たちに誘われ、全日の試合観戦に行ったことは何度かあるが、それでも毎週金曜夜8時の「ワールドプロレスリング」は、先輩の部屋で欠かさず観て、その後『ふぞろいの林檎たち』や『必殺』シリーズ、さらには『タモリ倶楽部』に至るまで、先輩の部屋に入り浸っていた。

僕たちが大学2年の頃にIWGPは始まっている。その前年ぐらいに、前田日明は「10種類のスープレックス」と「フライングニールキック」を売りに、新日マットに登場していたと記憶している。その頃から週プロのムックが出はじめていて、それらを買うのに、バイトで稼いだお金を投入していた。

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『ヒルは木から落ちてこない。ぼくらのヤマビル研究記』 [読書日記]

ヒルは木から落ちてこない。 ぼくらのヤマビル研究記

ヒルは木から落ちてこない。 ぼくらのヤマビル研究記

  • 出版社/メーカー: 山と渓谷社
  • 発売日: 2021/08/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
嫌われ者の「ヤマビル」の研究に愛をもって取り組む子どもたちが常識に挑む物語。各地で増え続けているヤマビル。山だけでなく里でも被害が増えています。知らない間に血を吸う嫌われ者のヤマビル。そんなヤマビルの生態研究に挑む小中学生がいます! その名も子どもヤマビル研究会。彼らは、山でヤマビルの数を数え、ときに自らの血を吸わせて育て、そして、解剖までするのです。そんな彼らが解き明かしてきたヤマビルの生態の数々を紹介します。そして、「ヤマビルはとてもかわいいいきものです」とまで言い切る、いききとした子どもたちの感受性に驚嘆する1冊です。
【Kindle Unlimited】
海抜300メートルのCST構内で暮らしていて、何が嫌かというと、時々ヤマビルに遭遇することである。海抜2,000メートルのゲドゥに昔配属されていた協力隊員の方に話を聞くと、朝起きると頭から血が出ていたとか、職場である学校に行くと、頭髪の隙間にヤマビルを乗せた状態で来ている生徒を見かけたという。1997年頃、仕事でネパール・ポカラ近郊の山の中を歩いていて、その日の宿泊先でトレッキングシューズを脱いだらソックスが血で染まっていたとか、翌日石畳の歩道を歩いていて、石の上で上半身(?)を鎌のようにもたげて「おいでおいで」としているヤマビルを何匹も見かけて血の気が引き、急いで駆け抜けたとか、ヤマビルに関してはトラウマになるような経験もしていて、それがあるのでブータン南部に駐在することになった時も、最大の脅威といったらヤマビルだった。(それに比べたら、サソリもアリもキングコブラも全然許せる。)

今月はここまで順調に読書量を伸ばしていて、次に何を読もうかとKindle Unlimitedの書籍を物色していて、見つけたのがこの1冊だった。三重県の菰野町周辺で、毎年月1回ぐらいのペースで集まり、山にいっぱいいるヤマビルを材料に、ヤマビルの生態研究を続けているグループがあるらしい。「子どもヤマビル研究会」という。小学校の理科の先生が、「子どもが主体を発動する授業のあり方」をテーマに長年研究を重ね、2011年に設立した地域の研究会だそうだ。その後ずっとその活動記録をアメブロで公開し続けておられるようだ。

ヤマビルアレルギーを克服するには、先ずヤマビルを知らねば―――そう思った僕は、さっそくダウンロードして読んでみることにした。

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『ヤラセと情熱 水曜スペシャル『川口浩探検隊』の真実』 [読書日記]

ヤラセと情熱 水曜スペシャル「川口浩探検隊」の真実

ヤラセと情熱 水曜スペシャル「川口浩探検隊」の真実

  • 作者: プチ鹿島
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2023/01/12
  • メディア: Kindle版
内容紹介
70年代後半から80年代にかけ、世界を股にかけ、未知の生物や未踏の秘境を求めた男たち。それが川口浩探検隊。ヤラセだとのそしりを受け、一笑に付されることもあったこの番組の「真実」を捜し求めるノンフィクション。当時の隊員たちは、どのような信念で制作し、視聴者である我々はこの番組をどのように解釈してきたのか。そして、ヤラセとは何か、演出とは何か。当事者の証言から、テレビの本質にまで踏み込む危険な探検録。
【購入(キンドル)】
なんだか、調子が乗らない日々が続いている。眼前にやるべきことは山積していて、正直自分1人の手に負えないぐらいなのに、先ず何から手に付けていいのかがわからない。帰宅したらしたで、仕事から解放されて、日本で買ってきた本でも読んで読書して過ごすべきなのだろうけれど、読書にも身が入らない。

なんだか、ちょっと精神的には落ち込んでいます。理由はわからないのだけれど、なにか、モヤモヤという感じが抜けない。

それでも何か、読書のスピードを上げられる本を1冊読みたいと思った。小説もいいのだけれど、これもなんとなく、知人が編集者をやっている双葉社の刊行物でもトライするかと、ふとダウンロードしたのが本日の1冊。

テレビ朝日の水曜スペシャル「川口浩探検隊」シリーズは、1978年3月が第1回放映で、1985年11月の第45回で放映が終了している。僕が中学3年の春から、大学4年の秋までをカバーしている。本書の筆者は僕よりも7歳年下なので、始まりから終わりまで熱狂してシリーズを見ていた口なのだろうが、僕自身は大学受験に向けて超朝型勉強を始めた高校2年時以降、大学時代はテレビもない生活をしていたので、水スぺをかじり付きで見ていた記憶があまりない。せいぜい、中3から高1にかけての2年間、シリーズでも最初の10本程度の記憶である。

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『みんなの民俗学』 [読書日記]

みんなの民俗学 (平凡社新書0960)

みんなの民俗学 (平凡社新書0960)

  • 作者: 島村 恭則
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2020/11/13
  • メディア: Kindle版

内容(「BOOK」データベースより)
民俗学が田舎の風習を調べるだけの学問というのは誤解だ。キャンパスの七不思議やわが家のルール、喫茶店モーニングやB級グルメといった現代の日常も、民俗学の視点で探ることができる。本書ではこれらの身近なものをヴァナキュラーと呼んで“現代民俗学”の研究対象とした。発祥の経緯やその後の広がりを、数々のユニークなフィールドワークで明らかにする。
【MS市立図書館】
早いもので、僕が一時帰国してから既に2週間が経過した。この時期の一時帰国は、例年よりも長く見られたサクラを楽しむことができた。しかし、この時期はスギ花粉がひと段落する一方で、ヒノキやハンノキの花粉がピークを迎えるため、僕はお隣りの神社のハンノキの花粉に過剰反応し、東京にいたこれまでの10日間は、連日鼻水と喘息に似た症状に悩まされ続けている。

そんな中、これまで2カ月間の読書のできなさを取り返すため、しばらくの間「読みたい本」リストに挙げてあった本を、近所の図書館で片っ端から借りて、連日読み続けている。

本書もそんな1冊だ。新書なだけに、よほどキンドルでダウンロードしてブータン滞在中に読んでしまおうと思ったかわからない。でも、図書館に行けば待ち時間ゼロですぐに借りられるタイプの書籍だとわかっていたので、ここまで取りあえずは我慢してきた。

本書の印象をひと言で言ってしまえば、以前熱狂的に読みまくった宮本常一を、現代版のテーマに落とし込んで読んでいるような感覚に捉われた。もし宮本常一が今世紀を生きておられたら、同じようなテーマを見出して、その土地に住む人ひとりひとりのライフヒストリーを聴き取って、同じような語り口調で描かれていただろう。

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『流星と稲妻』 [読書日記]

流星と稲妻

流星と稲妻

  • 作者: 落合 由佳
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/09/13
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
熊のような巨体の阿久津善太は、授業で、もう一人の剣道経験者、蓮見宝と模範試合をすることになるが、小柄でおどおどしている宝に、あざやかに「抜き胴」を決められてしまった。クラスの中では「根性なしとビビり」と、からかわれている善太と宝は、剣を交えるうちに互いをかけがえのないライバルとして意識するようになっていく。
【MS市立図書館】
有名な野間道場が近くにある講談社から、剣道を題材にした子ども文学作品が出た。僕が読書メーターでフォローしている読者さんが、最近読了したとして挙げておられた1冊で、僕もそれにより本作品の存在を知った。

うちの末っ子は小6になってから剣道を辞めてしまったので、こういう作品を読ませる機会は逸してしまったが、小学生のお子様がいらして剣道をされている親御さんなら、おススメしたい作品だと思う。こういう、的確な助言と指導ができる絹先生のような先生がいらっしゃる道場は少ないのではないかと思われるが、勝ち負けじゃなく、人としての成長機会を与えてくれる剣道の良さを味わえる作品である。

こういう作品を読むこと自体、僕自身が少しばかり剣道に未練を感じている証拠なのかもしれない。

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