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シンポジウム「現代日本における人身売買問題の20年~市民社会の取組みと国の対応」 [外国人労働者]

10月15日(金)、斉藤百合子さんもパネリストに名を連ねられた「タイ女性の友」設立15周年記念シンポジウム「現代日本における人身売買問題の20年~市民社会の取り組みと国の対応」を覗いてまいりましたのでご報告したいと思います。

「タイ女性の友」は人身売買によって日本に売られてきて事件に巻き込まれてしまったタイ人女性の裁判支援、買春を奨励する本「タイ買春読本」出版社への提訴等を通じ、日本における外国人女性の人身売買問題の解決に向けて取り組んできた市民社会ネットワークです。

このネットワークが設立15周年を記念して開催した本シンポジウムでは、市民社会組織によるタイ人女性支援の取組みの歩みの紹介や、司法の立場からタイ人女性の支援を行なう弁護士の方の取り組み、アカデミクスの視点から見た犯罪のグローバル化に対する我が国の対応の評価等が発表された後、斉藤さんが、タイ人女性を送出する側の問題、帰国後に彼女達が遭遇する問題等に焦点を当ててお話をされ、最後にタイにおける市民社会の代表者による取り組みの紹介が行なわれました。

詳細をいちいち書くのも大変なので、所感を少しだけ述べます。
1.うぶなド素人的なコメントをのっけからするのは恥ずかしいですが、国内にこうした深刻な問題があるということ自体を実感するよい機会だったと思います。正直なところ、自分が何らかの形でこの問題に触れ、問題としての意識を持ってかつ何らかの行動を取らなかったら、日本の法廷に司法通訳が最近までいなかったことすら知らなかったと思います。私はアメリカで郡の裁判所のお世話になったことがあり、多くのヒスパニック系の被告が司法通訳を付けてもらっていたのを覚えています。私自身、要求すれば日本語の通訳すら付けてもらえた筈で、当たり前のことのように思っていました。翻って今の日本ですが、運転免許証の書換えで外国人ドライバーには非常に不親切な対応をしていた窓口職員に憤慨する機会はあっても、半ば人身売買的に日本に連れて来られたタイ人女性が、現状から逃れようとして図らずも起こしてしまった犯罪について、その立場を代弁してくれる通訳の必要性には思いも及びませんでした。

2.シンポジウムを通じて、15年の歳月を経て、それなりに成熟した市民活動に育ってきた「タイ女性の友」の、次の15年は何を目指すべきなのだろうかということを考えました。このネットワークは、タイと日本という二国間関係においてのみ国内のアドボカシーとタイ側でのエンパワーメント支援を行なってきたという印象を受けました。なるほど日本に入ってくる外国人労働者としてはタイは重視すべきだということはよくわかるのですが、そうした経験を、インドとか他の東南アジア諸国の市民社会との間で共有できないものかと考えます。

あいにく、私はシンポジウムの後で別の約束があって、斉藤さんに挨拶をすることもなく会場を後にしました。振り返ってみて、このシンポは出席者が勉強するという意味ではよかったけれど、この活動はどのようになったら終わりを迎えられるのかなと考えさせられるものでした。


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