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『60分でわかる!SDGs超入門』 [持続可能な開発]

60分でわかる!  SDGs 超入門

60分でわかる! SDGs 超入門

  • 出版社/メーカー: 技術評論社
  • 発売日: 2019/11/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

内容(「BOOK」データベースより)
ビジネス×サステナブルの決定版! なぜSDGsは注目されるのか?CSRと何が違うのか? 企業が取り組むべき理由とビジネスチャンスのある領域は? SDGs目標達成のカギを握るESG投資とは? 経営とリンクさせるツールSDG Compassについても解説。課題と目標がひと目でわかるバリューチェーンマップ付き。

先月あたりからプチブームになっている、SDGs関連書籍の読み込み。そんなにいろいろ読む気はないものの、顔を知っていて名刺交換をしたことがあるぐらいの方の著書ぐらいは目を通しておこう―――そんなシリーズの第二弾は、蟹江憲史『SDGs(持続可能な開発目標)』以上にビジネスに重心を置いた編集になっている。SDGsをメシの種にして企業コンサルタントで食っていくならこの程度のことは知っておけという内容だな。肝に銘じておこう。

ここまで思い切って「SDGsはビジネスチャンス」と謳っている本は気持ちがいい。想定読者もビジネスマンに絞り込んでいるんだろう。だから、本書にはもう1つのシリアスアクターである自治体ですら姿が薄いし、次世代を担う大学生や中高生というのも出てこない。今ビジネスやっている人が読む分にはいいが、大学生や高校生が本書を読んでSDGsをわかった気になるのはちょっとリスクがあるかも。

企業の取組みに絞っているから、自社製品のバリューチェーン全体をSDGsへの貢献で見て、リスクとチャンスを包括的に把握しようという興味深いメッセージになっている。監修者のお二人が「持続可能なサプライチェーン」という研究会で主要メンバーになっておられるのも、本書を読めば合点がゆく。この点は本書の大きな特徴なんだろう。

但し、そこに物足りなさも感じるところがある。

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『海と地域を蘇らせるプラスチック「革命」』 [持続可能な開発]

海と地域を蘇らせる プラスチック「革命」

海と地域を蘇らせる プラスチック「革命」

  • 出版社/メーカー: 日経BP
  • 発売日: 2020/05/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
プラスチックはもう使ってはいけないのか?
海洋プラスチック問題が世界的課題になるなか、ダボス会議で「21世紀のリーダー」の1人に選出され、「ブルーエコノミー」や「ゼロエミッション」の提唱者でもあるサステナビリティ分野の起業家グンター・パウリ氏が、プラスチックの生産方法と利用の仕方を変え、経済を回す新しいビジネスモデルを提言しているのが本書である。プラスチック問題の解決によって、海ばかりでなく地域も再生するシナリオを描いている。環境ジャーナリストの枝廣淳子氏が監訳した。プラスチック問題は国連のSDGs(持続可能な開発目標)にとって重要なテーマであり、ESG(環境・社会・ガバナンス)経営を進める企業にとって必須の書籍である。

海洋プラスチック問題に関する本を、折を見て読むようにしている。本書は発刊は今年の5月で、もうちょっと待たなければならないかと覚悟していたら、なんと市立図書館では一発で借りることができた。ラッキー!本書は税抜きで2,000円だが、興味深いことに、原書版の方は、今年の7月発売(日本語版より2カ月遅い!)で、電子書籍版だとなんと537円という価格が付いている。製本版でも1,773円です。ということは、1冊当たり230円は翻訳にかかった費用の回収分となり、製本版と電子書籍版の差額約1,200円分が印刷製本及び出版流通にかかる費用ということになる。

著者の印税は350円ぐらいだろうか。これが、共著者の1人が設立した財団の活動資金になるのなら、買ってもいいかなと思う。それくらい、本書での提言内容には惹かれるものがあったし、海洋にとどまらずプラスチック問題の深刻さについて、目を開かせてくれる内容となっていた。

僕たちは、毎週5グラム、クレジットカード1枚分のプラスチックを摂取していると警告している。僕らは植物連鎖の中で、水中を漂うマイクロプラスチックを魚が食べて、その魚を食べることで摂取する危険があるという考え方をしていた。しかし、人が直接摂取してしまっているプラスチックもあるという。ゾーッ。

怖いのは、僕らがカフェに行って使っているマドラーからでも、ガムシロップやコーヒーフレッシュのパックからでも、またコンビニで買って街中で飲んでいるペットボトルからでも、スナック菓子のパッケージからでも、料理を保存しておくタッパーからでも、食べ残しにかぶせるラップからでも、溶出したり剥がれ落ちたりしたマイクロプラスチックを摂取してしまっているということだ。歯ブラシだってそうだし、歯磨き粉も研磨用のポリマーが含まれている(そしてそれを洗面所で流してもいる)。

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『SDGs(持続可能な開発目標)』(中公新書) [持続可能な開発]

SDGs(持続可能な開発目標) (中公新書)

SDGs(持続可能な開発目標) (中公新書)

  • 作者: 蟹江 憲史
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2020/08/20
  • メディア: 新書
内容(「BOOK」データベースより)
SDGs(持続可能な開発目標)は、国連で採択された「未来のかたち」だ。健康と福祉、産業と技術革新、海の豊かさを守るなど経済・社会・環境にまたがる17の目標があり、2030年までの達成が目指されている。「だれ一人取り残されない」ために目標を設定し、達成のための具体策は裁量に任されているのが特徴だ。ポスト・コロナ時代に、企業・自治体、そして我々個人はどう行動すべきか、第一人者がSDGsのすべてを解説する。

最近、SDGsをタイトルにいただいた本を書店店頭でやたらと見かけるようになった。面白いことに、ほとんどの本がビジネス書のコーナーに配置されている。国際情勢とか各国事情のコーナーではない。

また、新聞紙上でもSDGsという言葉をやたらと目にするようになった。2015年9月にSDGsが制定された当初は、せいぜい朝日新聞か東京新聞ぐらいだったが、今や日本経済新聞では毎日のように取り上げられ、しかもSDGs絡みのビジネスサミットのようなイベント告知広告もデカデカと出ている。もっと驚いたのは、日刊工業新聞ですらSDGsの特集ページが週1回取り上げられていたことである。僕は新聞をあまり購読してないので他の全国紙はしっかりフォローしてないが、今は某Y新聞に勤めている大学時代のサークルの友人から声をかけられ、同紙が後援している高校生による海洋プラスチック問題解決の研究プロジェクトに関わらせてもらっている。

海洋プラスチック問題はちょっと脱線したが、ここで指摘したいのは、SDGs制定に最も敏感に反応した日本のアクターは企業だったという点である。それと、そんなコーナーが書店にないからあくまで印象論に過ぎないが、もう1つの重要アクターは都市を含む地方自治体であるという点も付け加えておく。

2000年のミレニアム開発目標(MDGs)の時代から国際開発目標というのを追いかけていた立場の人間としては、ビジネスセクターと自治体がSDGsにこれほど敏感に反応したというのは驚きだった。MDGsは目標の多くが開発途上国を対象としていたので、これに関心を持っていたのは国際協力に関わっていた政府(主に外務省)であり、援助機関であり、そして国際協力NGOぐらいしかなかった。それがSDGsの時代になると、政府内でも発言が目立つようになったのは環境省であり、「SDGs未来都市」を推進する内閣府である。そして、ビジネスセクターや自治体が目立つようになり、相対的に援助機関やNGOは印象として存在感が薄れた。

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Self-Sufficient City(自給自足する都市) [持続可能な開発]

The Self-Sufficient City

The Self-Sufficient City

  • 作者: Guallart, Vicente
  • 出版社/メーカー: Actar
  • 発売日: 2014/04/01
  • メディア: ハードカバー
内容紹介
インターネットは私たちの生活を変えたが、それはまだ私たちの都市を変えていない。どんな技術的革命も、ライフスタイルのいくつかの側面で同時多発的な変革を伴う。自動車と石油の時代が20世紀の都市を形作ったとすれば、21世紀は情報社会が都市を形作るといえるだろう。それは止められない進化である。しかし、基準を持ってリードしていくことが必要である。それは、人間が何世紀にもわたって蓄積してきた都市の経験を生かせるかどうか、成長が無限でなく、私たちの惑星が提供するエネルギー資源に有効期限があるということを理解しているかどうかの問題である。ヴィセンテ・ガラルトは、この魅力的なプロセスを、この本にアイデア、情報、提案を盛り込まむことで公開している。未来の建築の観察者、思想家、開拓者として、ガラルトは都市の再生を、住宅レベルから大都市レベルまで階層を分けて考察することで、都市のイノベーションの新しいエコノミーへの刺激を試みる。現地資源を自給自足的に活用し、知識や情報はグローバルにつながっているという途である。こうしたt外とつながっている自給自足は、都市とそこに住む人々をより強く、自由で、独立性を高めてゆくだろう。

4月に巣ごもりに突入すると同時に購入した1冊。多分オンデマンド製本なんだろうけど、段落の切り方がわかりにくく、フォントもわかりにくい。所々スペルや文法に、僕でも気づく間違いがある。どういう編集をやってたんだろうかと苦笑しながら、ダラダラと読み進めたが、枠組みとしてはとてもわかりやすく、内容は相当面白い。都市化が進むこれからの時代に、どのような都市化であるべきか、ビジョンを提示してくれている。

著者は、2014年夏にバルセロナでローンチされた「ファブ・シティ」という世界的イニシアチブの理論的支柱となった建築家で欧州最初のファブラボ「ファブラボ・バルセロナ」ができたカタロニア高度建築研究所(IAAC)の所長である。僕は「ファブ・シティ」についてはホワイトペーパーなどを読んである程度は理解しているつもりだけれど、その理論枠組みをもう少しちゃんと理解したいと思って購入に踏み切った。これだけ読み進めるのに時間を費やすと、前に書かれていたことを思い出すのも難儀だが、概念枠組みがクリアなので、後から引用する時には活用しやすいだろう。

消費するものをすべて地場で生産し、その生産に必要な知識や情報のやり取りではグローバルにつながっている都市、それが本書ではイメージされている姿である。その姿の具体的な実現に向けて、世帯レベルから、1棟のビルレベル、さらには街区レベル、近所(人の生活圏)レベル、都市全体、大都市レべル、地域レベル、そしてグローバルレベルと、いくつかの階層別で、それぞれ何にどう取り組んでいく必要があるのかを論じている。

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『教科書ではわからない ごみの戦後史』 [持続可能な開発]

教科書ではわからない ごみの戦後史

教科書ではわからない ごみの戦後史

  • 作者: 大澤 正明
  • 出版社/メーカー: 文芸社
  • 発売日: 2020/06/30
  • メディア: Kindle版

内容紹介
ヘミングウェイはなぜ缶を蹴ったのか? 隣の街と分別方法が違うのは何故か? 日本は何故焼却大国になったのだろうか? プラスチックの栄光の時と挫折の時って何? 56年前のオリンピックと東京2020はどう違うのだろうか? 使い捨てのプラスチック袋を指定袋にするのはなぜだろうか? 新しいごみ戦争が中国の動向で起こるかもしれない?――これらの解答は本書の中にあります。

仕事の関係で、著者の大澤さんを存じ上げている。ブータンのゴミ問題について、最近の事情を訊いてみたいと思い、先々週大澤さんに久しぶりに連絡をとったところ、訊きたかった情報に加えて、大澤さんが今年の3月に出されたばかりの著書を1冊送って下さった。

ブータンのゴミの話ではない。タイトルからわかる通り、この本は日本の廃棄物処理問題の近現代史の本である。確かに、教科書ではここまで詳述はされていないが、高校や大学の副読本として読まれるべき良書だと思う。

外国から訪れる人も、僕たち自身も、今の日本の姿だけを見て、ごみの分別がこれだけ進んでいて街路がきれいな日本はスゴイと思ってしまう。どうしても今の姿に引っ張られてイメージ形成をしてしまうが、1964年の東京オリンピックあたりまでは、東京の住民のごみの捨て方は相当ひどかったらしい。江戸時代の江戸の町はかなりリサイクルが進んでいたことも有名だから、その間にごみが市中に溢れるような状況が生じたのに違いない。その状況は、僕らが開発途上国の都市で見てきたものと大して変わらないから、日本人はスゴイとはとうてい思えない。

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プラゴミから3Dプリントへ [持続可能な開発]

プラスチック廃棄物のアップサイクルによる、
ゴミ収集作業員の生計と都市の持続可能性の向上

Improving wastepicker livelihoods and urban sustainability
through the upcycling of plastic waste

URL: https://www.socialseva.org/protoprint/



プロトプリント・プロジェクトとは?
プロトプリント・プロジェクトは、廃プラスチックのリサイクルのための体系的で自立的な循環モデルを段階的に実装することにより、リサイクル部門のインフォーマル性を変革していこうという共同イニシアチブである。 具体的には、低コストの技術ソリューションをコミュニティ開発や創造的な資金動員策、官民パートナーシップ等と組み合わせて実装し、都市のゴミ収集作業員のステイタスをリサイクルのバリューチェーンの上方に引き上げ、生計を向上させることを目的としている。そうすることで、プラスチック廃棄物は都市環境の中での加工プロセスが改善され、インフォーマル部門に位置するゴミ収集作業員や廃棄物管理中小零細事業者がフォーマルなバリューチェーンに統合される動きが進むと期待される。このプロジェクトは、300万人以上の住民が暮らすプネ市を拠点としている。

2020-9-9 Protoprint01.png

プロトプリント・プロジェクトは、自主運営される廃棄物加工ユニットの発展を支えるエコシステムを地域に作ることを目指している。このユニットはゴミ収集作業員メンバーから構成され、低コストの技術ソリューションと標準化された加工技術を用いて、廃棄プラスチックをフレーク状に破砕し、このフレークをエンドユーザーに対して販売する。販売は産業セクターのパートナーとの契約に基づき、個々の作業員に公正な賃金を保証する販売価格とすることになっている。

そうする中で、各々の加工ユニットは持続的かつ複製及び規模拡大が可能なビジネスとして機能し、最終的にはインフォーマルな作業員をフォーマルな経済に統合されるところまで引き上げ、医療保険のような恩恵を得られるようにし、ビジネスセンターとして機能するよう育てていくことを目指している。

フレーク生産に加えて、プロジェクトの製品チームは、いくつかのユニットとの協働で、廃棄プラスチックのさらなるアップサイクルを図り、3Dプリンターのフィラメントのフェアトレード製品化や、その他消費財といった高付加価値の製品開発にも取り組んでいる。こうした高付加価値製品の開発と販売が、ゴミ収集作業員にさらに大きな経済的ステイタスの上昇余地を与える。

2020-9-9 Protoprint02.png

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海洋プラゴミを阻止する「緑の兵士」 [持続可能な開発]

緑の兵士は、プラゴミの海洋到達を阻止できる
A Green Army Is Ready to Keep Plastic Waste Out of the Ocean

Taylor Cass Talbott、Scientific American、2019年10月7日
https://blogs.scientificamerican.com/observations/a-green-army-is-ready-to-keep-plastic-waste-out-of-the-ocean/

【要約】
◆街のゴミの山をつついてその中から探しているものを回収する人々を「ゴミ拾い人(Waste Picker)」と呼ぶ。彼らは空き缶や空き瓶だけでなく、リサイクルやリユースを目的として広範なゴミを回収する。彼らは世界でも最も脆弱で負の烙印(スティグマ)を植え付けられた労働者だが、彼らはゴミが海洋に到達しないようにするために重要な役割も果たしている。

◆ゴミ拾い人の機能は地域によって違う。インフォーマルな労働者である場合もあれば、行政との請負契約に基づく組合を形成している場合もある。世界には、約2千万人のゴミ拾い人がいると言われている。組織化の有無を問わず、彼らは多くの都市のゴミの50~100%を管理する。その作業がなければ、ゴミはそのまま海に流れ着く。

◆多くの場合、ゴミは公共空間から排水路に流れ落ちるか、ゴミ収集サービスの届かないインフォーマル居住区に滞留する。低所得国や中所得国に暮らす20億人の人々は、自分たちの出すゴミをオープンスペースや排水路の近くに廃棄するしかない。ゴミ拾い人はこうした街区に深く入り、小規模な回収活動を行うことが可能であり、そこに市当局は事業助成を行う余地がある。

◆こうして、徐々にゴミ拾い人の組織が形成されていく。多くの組合がレジ袋や中古衣類を使って再利用可能な物品を製造・販売したり、中古品を回収して再版したりしている。パリでは、毎日20トンもの廃棄物が回収され、その日のうちに蚤の市で再版に回されている。

◆そう、これは開発途上国だけでなく、先進国の問題である。瓶のデポジット制があれば、資源として地域内で活用できる。住民レベルで分別や洗浄が行われていれば、空き瓶を回収するのはもっと容易になる。

◆米国に住む私たちは、ゴミ拾い人を環境サービス提供者とは見ていないのが現実。むしろ、ゴミコンテナに施錠をしたりして、回収行為に制約を課そうという動きまである。しかし、バンクーバーの空き瓶回収プロジェクトやポートランド(オレゴン州)ウィラメット川流域でのゴミ回収事業、ニューヨーク市のゴミ回収者組織と集積センター「Sure We Can(もちろん缶を扱います)」等、行政がゴミ回収者組織と連携する事例が出始めている。

◆適切な研修や、道具、インフラ、社会保護措置、ゴミ資源への法的アクセス権限や正規契約等の支援が得られれば、ゴミ拾い人はその貢献度合いをさらに増す。我々が彼らのことをもっと研究し、理解を深めれば、正規の廃棄物管理システムに彼らを包含するのを正当化するのは簡単だ。ほとんどの都市開発計画が彼ら不在で策定されてきたが、彼らこそが最も効果的で低費用で、必要とされる廃棄物管理人で、陸地と海洋の双方を守るリサイクル推進者なのである。彼ら緑の兵士たちと、政府は手を組み、海洋プラスチック災害の解決に取り組むべきだ。

これからしばらくの間、少なくとも週1回、プラスチックゴミ問題について、気になった世界の取組みや、知り合いの方の論考等を、このブログで紹介していこうと思っている。某新聞社の後援で、高校生が海洋プラスチック問題の解決法を考えるというイベントに、何の因果かちょっと関わることになった。海洋プラスチックの問題にはほとんど造詣がないが、僕がこれまで駐在経験のある国は、いずれも廃棄物管理に課題を抱えていた。自分にとってもいい勉強だと思うので、自分なりの情報収集と、その結果をブログで開陳していくことにしたい。

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『海洋プラスチック』 [持続可能な開発]

海洋プラスチック 永遠のごみの行方 (角川新書)

海洋プラスチック 永遠のごみの行方 (角川新書)

  • 作者: 保坂 直紀
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/06/10
  • メディア: Kindle版
内容(「BOOK」データベースより)
プラスチックごみによる海洋汚染や生き物の被害が世界中で報告されるなか、日本でも2020年7月からレジ袋が有料化される。マイバッグを持つのはいいが、それは本当に意味があるのか。問題を追い続けるサイエンスライターが、永遠のごみの現状を報告し、納得感のある向き合い方を提示する。

某全国紙で記者をやっている、大学時代の友人から読むように勧められ、近所の書店を4つ回って、ようやく4つめの「最後の砦」で発見し、購入した。先週後半から読み始めたのだけれど、読了までには数日要した。

最大の理由は、今までこのテーマに関して全く予備知識がなかったこと。僕自身、海よりも山が好きな人間なので、とかく海岸や海洋の問題については疎くて、その問題をどう捉えるかという枠組み自体を持っていない。今までやってきたことと言えば、オーガニックコットン製のトートバッグを常に持ち歩いていて、コンビニやドラッグストアでちょっとした買い物をする際には、お店のビニール袋は不要と、かなり早い時期から断るようにしていたことぐらいかと思う。

お陰で、スーパー、コンビニなどのレジ袋が有料化になったからといって、特段影響を受けることはなかった。ただ、元々無料でお店が出していたレジ袋がただなわけがなくて、商品価格に上乗せされていたのだろうから、お店にとっては体のいい値上げなんだろうけど。また、本書によれば、スーパー、コンビニのレジ袋なんて、プラゴミ全体の1.7%程度にしかならないので、ちゃんと取り組んだからといって効果のほどは知れているのだが。

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『美術手帖』2020年6月号 [持続可能な開発]

美術手帖 2020年 06月号 [雑誌]

美術手帖 2020年 06月号 [雑誌]

  • 作者: 美術手帖編集部
  • 出版社/メーカー: 美術出版社
  • 発売日: 2020/05/07
  • メディア: Kindle版
内容紹介
気候変動や災害、感染症により世界中が大きな危機を迎えるいま、私たちは「自然」を搾取可能な資源と見なす態度の限界に直面しているのではないだろうか。この問題に対し、現代のアーティストたちは鋭敏な感覚で応答する。彼/彼女らが作品を通して提示する、オルタナティヴで新鮮な環境観・地球観・生命観。それを本特集では「新しいエコロジー」と呼びたい。自然環境と人間の関係にパラダイムシフトを呼び込むこれらのアートは、「生きること」とは何かという、根源的な問いをも照射するはずだ。

さすがに「SDGs」とか「持続可能な開発」という言葉までは全面的に出てこなかったが、アートというのが僕たちに放つ問いの中には、こういうものも含まれるのだなというのが、なんとなく理解できた気がする。アートは現代社会を映す鏡みたいなものなのだ。そういう視点で今までアートを見たことがあまりなかったので、気付きを与えてくれたことには感謝する。

但し、それでも本書で紹介されている作品が、何を僕らに問いかけているのかは想像できても、なぜそのような形でまとまったのか、なぜ別の形ではいけなかったのか、そのあたりの感覚は、アートのセンスの乏しい僕にはよくわからなかった。PETボトルや廃プラスチックを使って何らかの作品に作り上げたりするのはまあまあわかるが、冒頭のオラファー・エリアソンへのインタビューからして、挿入口絵のアート作品が、なぜそれがサステナビリティに関するものなのかがなんだかよくわからなかった。

そういうテーマの展覧会が増えているのであれば、そういうのをちゃんと観て、それでもう少し感受性を養わなければいけない。但し、もうそんなのなしで50年以上生きてきてしまったオジサンが、今さらそんなこと言ってては情けない。そういうセンスを次の世代の人たちには養っていって欲しい。口だけで「持続可能な開発」の重要性を訴えるのではなく、アーティストはアーティストの世界で、ビジネスパーソンはビジネスパーソンの世界で、自分の思い描く持続可能な社会のあるべき姿を形で示していって欲しいと思う。

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『2030年の世界地図帳』 [持続可能な開発]

2030年の世界地図帳 あたらしい経済とSDGs、未来への展望

2030年の世界地図帳 あたらしい経済とSDGs、未来への展望

  • 作者: 落合 陽一
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2019/11/14
  • メディア: Kindle版
内容紹介
落合陽一がはじめて世界と未来について語る
2030年の世界を見通すSDGs。これから2030年までに何が起こるのだろう。未来を予測するためのデータには、様々なものがありますが、ひとついえるのは、これからの社会は今までとは全く違ったルールによって営まれるということ。現在の世界はどうなっているのか、これから世界はどこに向かっていくのか。SDGsの枠組みを借りながら、世界の問題点を掘り下げると同時に、今起こりつつある変化について語ります。

久しぶりにSDGsとまともに向き合った気がする。

2015年9月の制定から間もなく5年になる。以後、SDGs主流化の取組みを国連――というか国連開発計画(UNDP)が独占していた国に駐在していたりして、僕自身はSDGsと距離を置いていたのだが、2019年4月に帰国して、SDGsロゴのピンバッジを装着している通勤ビジネスマンが急増しているのには本当に驚いたし、「SDGsはビジネスチャンス」とばかりに、ビジネス書としてSDGsを扱っている本も書店店頭に並ぶようになってきた。僕自身も「Sanchaiさん、SDGsコンサルタントやったら食べていけるのに~」と言われたことがあるが、本当にそうだったようで、それを売りにしているコンサルティングサービスも急増した。

制定前の経緯を知っている者としては、この広がりは素晴らしいものだと素直に歓迎する。それでもSDGsを扱った本を読まなかったのは、自分自身でも書けたのではないかとのやっかみもあったことは認めたい。

そんな日本のSDGsは、今、新型コロナウイルス感染拡大の脅威にさらされているように思う。SDG3(すべての人に健康と福祉を)の達成が危ぶまれるからというだけではない。ビジネス界がSDGs制定時に最もポジティブに反応したということは、企業業績が悪化した場合には「それどころではない」として掲げた旗を引っ込める可能性もあるということだ。僕に近い方からも、「今はSDGsと言っても受けない」と言われた。それなら最初からSDGsで儲けようなんて考えんなよと白けてしまったが。

こんな時だからこそ、落ち着いて普遍の価値観と向き合いたいものだとも思う。近所のコミセン図書室も7月からようやく貸出業務を再開したので、そのトップバッターとして手に取ったのが、本書であった。

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