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『何者』 [朝井リョウ]

何者

何者

  • 作者: 朝井 リョウ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/11/30
  • メディア: 単行本
内容紹介
「あんた、本当は私のこと笑ってるんでしょ」就活の情報交換をきっかけに集まった、拓人、光太郎、瑞月、理香、隆良。学生団体のリーダー、海外ボランティア、手作りの名刺……自分を生き抜くために必要なことは、何なのか。この世界を組み変える力は、どこから生まれ来るのか。影を宿しながら光に向いて進む、就活大学生の自意識をリアルにあぶりだす、書下ろし長編小説。第148回(平成24年度上半期) 直木賞受賞作品
ようやく読みました。海外出張のおみやげにしようと、書店で購入し、行きのロングフライトの機中でイッキ読みした。個人的には『少女は卒業しない』の方が好きな作品なのだが、なぜか『何者』の方が直木賞を受賞した。前回受賞できなかったので急いで書いたのかなという感じが否めなかった。

フェースブックはともかく、ツィッターは使っていないので、今回の就活学生さんたちの世界観は今ひとつよくわからなかった。ただ、インターネットの怖さというのはいろいろ感じさせられる作品である。

第1に、本書でも指摘されている通り、フェースブックやツイッターは、メルアドからアカウントをつきとめることができてしまうということ。だから、読んでほしくない人にも何を書いたか読まれてしまうリスクが高い。第2に、そういうリスクがあるから、SNS上では自分の本当の本音の部分は書けない、SNSだけでなく、ブログででも本音を洗いざらい書くことは難しいと考えるのが普通だ。なのに、本音が書けないだけに、匿名の別アカウントを設けて、そこで本音をぶちまけたい衝動にかられることはあり得るし、実際やっている人は多いかもしれない。そして、そうやって匿名だからといって安心して他人の観察などを書いていると、本人に気付かれてしまうというリスクも相当高い。

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おめでとう、リョウくん [朝井リョウ]

『桐島、部活やめるってよ』
実は作者の朝井リョウは、僕の高校(岐阜県立大垣北高校)の後輩である。読む際の動機ではなかったのだが、登場人物のセリフが妙に岐阜の方言が入っていたのが気になり、それで調べてみたところ、案の定そうだったというわけだ。北高には映画部や女子ソフトボール部はなかったので、描かれている場面をそのまま北高とその周辺の施設にあてはめて読むことは難しいけれど、作品に登場する「マック」がどこのマックを想定していたのかは容易に想像がついたし、登場人物が電車通学などしているものなら、ああこれは作者が住んでいた不破郡を想定しているんだなと想像した。
今から2年前、『桐島、部活やめるってよ』を読んで自分の母校の後輩だと知って以来、僕は朝井リョウという作家を追いかけてきた。昨年夏に小学校の同窓会が行なわれ、小学校時代についできごころで「好きだ、結婚してくれ」と放言してしまった相手の女の子から、「リョウ君は北高で娘の同級生だったので応援してね」と言われ、ますます応援にやる気が出た(笑)。

そんなリョウ君が昨日、とうとう直木賞を受賞した。
おめでとうございます!
リョウ君を勝手に応援するサポーターを自認するわりに、僕はまだ彼の最新作『何者』を読んでいないのが恥ずかしいので、至急読むようにしたいと思う。前回候補作になった『もういちど生まれる』は、個人的にはイマイチの作品だったので、逆に今回受賞作となった『何者』には期待したいところ。著者本人が20代前半であることから勢いのある作品が多い印象だが、歳を重ねるにつれて作風がどう変わっていくのか興味もある。

母校も盛り上がっているだろうな。
奥田英朗、池井戸潤、朝井リョウ…。岐阜県出身の直木賞作家が多いな。
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『少女は卒業しない』 [朝井リョウ]

少女は卒業しない

少女は卒業しない

  • 作者: 朝井 リョウ
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2012/03/05
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
今日、わたしはさよならする。図書室の先生と。退学してしまった幼馴染と。生徒会の先輩と。部内公認で付き合ってるアイツと。放課後の音楽室と。ただひとり心許せる友達と。そして、ずっと抱えてきたこの想いと―。廃校が決まった地方の高校、最後の卒業式。少女たちが迎える、7つの別れと旅立ちの物語。恋愛、友情、将来の夢、後悔、成長、希望―。青春のすべてを詰め込んだ、珠玉の連作短編集。
くどいようだが、朝井リョウ君は、世代は大きく違うけれど僕の高校の卒業生である。1980年代初頭に卒業している僕が過ごした「南舎」と呼ばれる校舎は2004年に建て替えられ、朝井君はその直後に入学している計算になるので、厳密に言えば過ごした母校のレイアウトは相当に違っている筈である。それでも、朝井君が作品で高校生活を扱えば、その文章の中に母校の思い出のかけらを探そうとしている自分に気づく。

朝井君の作品はこれですべて読んだことになる。『桐島、部活やめるってよ』も高校生を扱っていたが、この処女作と今回の最新作を比べてみると、同じ連作短編という手法は採用しながらも、以前は感じていた登場人物の会話の粗さが薄れ、ちょうどイイ感じになってきたような気がする。今どきの高校生や大学生がこういう会話を日常しているのだと言われてしまえば身も蓋もないが、それでも本にする以上は節度というものもあるだろう。最新作はすべての収録作品が女子高生の視点から描かれているからか、『桐島~』とはかなり違った印象を受けた。

すべて同じ高校が舞台で、しかも中心として描かれているのは卒業式前後の数日間、後は回想シーンとして出てくるだけだ。どの作品も印象的だが、この限られた時間の間に、同時並行でこれだけの人の思いが交錯しているというのは最初は驚きでもあった。

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『星やどりの声』 [朝井リョウ]

星やどりの声

星やどりの声

  • 作者: 朝井 リョウ
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2011/10/29
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
星になったお父さんが残してくれたもの―喫茶店、ビーフシチュー、星型の天窓、絆、葛藤―そして奇跡。東京ではない海の見える町。三男三女母ひとりの早坂家は、純喫茶「星やどり」を営んでいた。家族それぞれが、悩みや葛藤を抱えながらも、母の作るビーフシチューのやさしい香りに包まれた、おだやかな毎日を過ごしていたが…。
僕の高校の後輩、朝井リョウ君の作品。朝井君お得意の連作短編の手法を採用しているが、各短編が6人兄弟の誰かの視点から描かれていて、しかもストーリーが1つの方向に収束していくので、とても読みやすかった。『チア男子!』を読んだ時に感想で述べたような、「誰の視点なのか時々わからなくなる」というような問題は、短編集なのであまり感じなかった。

こういう大家族を主人公にした小説とかテレビドラマとかアニメとかは、僕らの小学校時代にはよくあった。しかし、今のような少子高齢化の世の中では、それはものすごく奇異な設定に思える。がんで亡くならずに生きていたら今の僕ぐらいの年齢である筈の父が、建築家のようなお仕事でよく6人も子供をもうけたものだと感心する。さらに下らない突っ込みを入れるなら、長女、長男までは許せるとしても、次が双子の姉妹だったという時点で「打ち止め」にせず、さらにその下に2人の子供をもうけている。そんな財力や気力、どこから生まれてきたのだろうか。しかも、本書には祖父母というのは登場しない。つまり、残された6人の兄弟とその母、そして近所に住んでいる伯父が登場するぐらいなのである。大学を出て早々に結婚してしまった長女はともかくとして、あとの5人を育てるにはカネも時間もかかる。それが純喫茶の経営だけで暮らしていけるとは正直思えない。

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『チア男子!!』 [朝井リョウ]

チア男子!!

チア男子!!

  • 作者: 朝井 リョウ
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2010/10/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容(「BOOK」データベースより)
柔道の道場主の長男・晴希は大学1年生。姉や幼馴染の一馬と共に、幼い頃から柔道に打ち込んできた。しかし、無敗の姉と比べて自分の限界を察していた晴希は、怪我をきっかけに柔道部を退部。同じころ、一馬もまた柔道をやめる。一馬はある理由から、大学チアリーディング界初の男子のみのチーム結成を決意したのだ。それぞれに事情を抱える超個性的なメンバーが集まり、チームは学園祭での初舞台、さらには全国選手権を目指すが…。
高校の後輩、朝井リョウ君の長編小説をご紹介する。

題材から言って、僕がこの歳にして読むような小説ではないことは重々承知しているものの、母校の後輩の作品は応援したい。だからちゃんと読みました。末っ子と早めに就寝する前のひと時に。集中してイッキ読みしたわけではない。コマ切れの読み方だったので、朝井リョウ君に申し訳ないなと思いつつ…。

チアリーディングの技術的な用語が今一つよくわからず、チアの練習とか大会のシーンは相当すっ飛ばして読んだところはかなりあったが、全体的には面白かった。同世代の学生の殆どが同じ大学に通っていたとか、そういう設定は普通はあり得ない。幼い頃から柔道に取り組んできた姉と弟、そして幼馴染が、全員同じ大学に進学して同じ柔道部に籍を置くなんて設定は、普通はあり得ないだろう。また、こんなに個性派ばかりが集まって来るなんて本当にフィクションだ。読みながら、これをそのまま映画化したら結構面白いのではないかと思った。おそらく作者自身も最初から映画化想定して描いたのでは?

ただ、できれば誰かの目線に固定して描いて欲しかったと思うところもあった。基本は晴希の目線なのだが、それが時々ブレるので、読みづらいなと感じたところもある。ま、小説なんて素直に読んで感動を味わえればいいのであるけれども。


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『もういちど生まれる』 [朝井リョウ]

もういちど生まれる

もういちど生まれる

  • 作者: 朝井 リョウ
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2011/12/09
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
彼氏がいるのに、親友に想いを寄せられている。汐梨、
平凡な日常と、特徴のない自分に飽き飽きしている。翔多、
絵を通して、壊れた家族に向き合おうとする美大生。新、
美人で器用な双子の姉にコンプレックスを抱く浪人生。梢、
才能の限界を感じつつも、バイトをしながらダンス専門学校に通う。遙。
あせりと不安を力に変えた5人が踏み出す“最初の一歩”。
1年前、高校の同窓会総会の幹事学年だった僕らの代で、総会時のアトラクションで何をやったらいいかというのが話題になり、世話人の1人だった僕の元クラスメートから意見を求められたので、「朝井リョウ君か中村航君を呼んだら?」という結構無責任なコメントをしたことがある。

そう、この2人は岐阜県立大垣北高校の卒業生で、卒業31周年を迎えた僕らにとってはかなり年次が下の後輩となる。僕らの母校の卒業生には地元の経済界で名をなした先輩方が多くいらっしゃるが、プロスポーツ選手はあまり輩出していないし、ましてや小説や文学の世界で認められる人も数少ない。2人はそうした、全国的にもその名を認められた卒業生なのだ。

ただ、僕は中村航君の作品に関しては『100回泣くこと』を読んでから次の1冊がなかなか手を出せないでいる。どうもその作品の透明感が僕と合わないような気がしたからだ。朝井リョウ君の場合は、『桐島、部活やめるってよ』を最初に読み、連作短編という面白い手法で書かれているのに興味を持った。どうもこの年齢になると、自分達の高校時代、大学時代というのに思いをはせる機会が多くなる。今の高校生や大学生は僕らの頃とは違うところも多いが、朝井リョウ君の作品を読んでいて所々で感じる若者の尖がっているところは、僕らの頃も形は違っていてもあったのではないかと思う。

朝井リョウ君の作品は、これからも機会があったら読んでみたいと思う。後輩だから、変な評価はしないと思うけど。

スミマセン、作品の紹介してないですね。連作短編の面白さは、同じ人物を見るのに、異なる人の目から見るとまったく違って見えるというところにある。ただ、冒頭の作品紹介の中でも登場している翔多と遥がバイト先で同僚で、翔多が通っている大学での憧れのクラスメートと、大学に通っていない遥が、高校時代にクラスメートだったという設定は、ちょっと無理があるんじゃないかなと思ったりはした。その辺が連作短編の難しさなのかも。

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『桐島、部活やめるってよ』 [朝井リョウ]

桐島、部活やめるってよ

桐島、部活やめるってよ

  • 作者: 朝井 リョウ
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2010/02/05
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
バレー部の「頼れるキャプテン」桐島が、突然部活をやめた。それがきっかけで、田舎の県立高校に通う5人の生活に、小さな波紋が広がっていく…。野球部、バレー部、ブラスバンド部、女子ソフトボール部、映画部。部活をキーワードに、至るところでリンクする5人の物語。第22回小説すばる新人賞受賞作。
本書はおそらく発刊当時に読んだ人が多く、今さら月並みなコメントを書いてもしょうがないだろうし、重松清ならともかく、今さら高校を舞台にした作品などオジサンが読んでどうすると突っ込まれもするだろうから、ちょっと違った視点から紹介する。

実は作者の朝井リョウは、僕の高校(岐阜県立大垣北高校)の後輩である。読む際の動機ではなかったのだが、登場人物のセリフが妙に岐阜の方言が入っていたのが気になり、それで調べてみたところ、案の定そうだったというわけだ。北高には映画部や女子ソフトボール部はなかったので、描かれている場面をそのまま北高とその周辺の施設にあてはめて読むことは難しいけれど、作品に登場する「マック」がどこのマックを想定していたのかは容易に想像がついたし、登場人物が電車通学などしているものなら、ああこれは作者が住んでいた不破郡を想定しているんだなと想像した。

そういうことを楽しみながら、途中からは読むことができた。

「読書メーター」のコメント欄で、「お洒落で目立つグループにいれば「上」で、それ以外は「下」というふうに、暗黙の了解で各自が住み別けているクラスが、気持ち悪いぐらいリアル」とコメントされている方がいた。朝井君と比べたら僕は25年以上先輩なのだが、そんな僕も高校3年間過ごした各学年のクラスでそういうのが確実にあるというのを実感したし、最近見た卒業アルバムでも、3年の時のクラスの生徒の顔写真を見れば、誰と誰がつるんでいたのかは、パーマのかけ方を見てればだいたい想像がつく。但し、女子に関しては昔はスカートの丈が普通の生徒よりも長かったのが「上」のグループの人たちだった。今の北高はスカート短いのだろうか(苦笑)

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