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『はるか、ブレーメン』 [重松清]

はるか、ブレーメン (幻冬舎単行本)

はるか、ブレーメン (幻冬舎単行本)

  • 作者: 重松清
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2023/04/05
  • メディア: Kindle版

内容紹介
私を捨てた“お母さん”の走馬灯には、何が映っているのだろう。人生の思い出をめぐる、謎めいた旅行会社に誘われた16歳の少女のひと夏の物語。
小川春香、16歳。3歳で母に捨てられた彼女は、育ての親である祖母も亡くし、正真正銘のひとりぼっちだ。そんな彼女が出会ったのが走馬灯を描く旅をアテンドする〈ブレーメン・ツアーズ〉。お調子者の幼馴染、ナンユウととも手伝うことに。認知症を患った老婦人が、息子に絶対に言えなかった秘密。ナンユウの父が秘めていた、早世した息子への思い。様々な思い出を見た彼女は。人の記憶の奥深さを知る。そんな折、顔も覚えていない母から「会いたい」と連絡が来るのだが……。「私たちの仕事は走馬灯の絵を描くことだ。それは、人生の最後に感じるなつかしさを決めるということでもある。」
【購入(キンドル)】
今月初旬発売されたばかりのシゲマツさんの新作だ。一時帰国から任国に戻る途中、経由地のバンコクでダウンロードし、任国に戻った後、任地に戻る前にティンプーにいる間に読み切った。400頁超の長編で、読み進めるには多少のエネルギーが必要だった。

過去の重松作品の中では、『流星ワゴン』にトーンが似ていた気がする。ファンタジー要素を多めに加えている点で。ブレーメン・ツアーズのやっている、人が死ぬ間際に見るという「走馬灯」をキュレーションするような仕事が、具体的に何をどうやっているのか、情景描写がイメージしづらい点は、読みづらさにちょっと拍車をかけていた気がする。相変わらずシゲマツさんは登場人物のニックネームの付け方がイマイチだなと、「ナンユウ」のネーミングを見て感じた。はるかと同じ能力を持ったナンユウを彼女のクラスメートとして序盤から登場させたことで、そういう能力を持っている人が世の中結構いるのかと思えてきて、作品のスペシャル感を損ねたのではないかと気になった。

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タグ:幻冬舎 周防
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