『安倍晋三回顧録』 [読書日記]
知られざる宰相の「孤独」「決断」「暗闘」が明かされる【購入(キンドル)】
2022年7月8日、選挙演説中に凶弾に倒れ、非業の死を遂げた安倍元首相の肉声。なぜ、憲政史上最長の政権は実現したのか。第1次政権のあっけない崩壊の後に確信したこと、米中露との駆け引き、政権を倒しに来る霞が関、党内外の反対勢力との暗闘……。乱高下する支持率と対峙し、孤独な戦いの中で、逆風を恐れず、解散して勝負に出る。この繰り返しで形勢を逆転し、回し続けた舞台裏のすべてを自ら総括した歴史的資料。オバマ、トランプ、プーチン、習近平、メルケルら各国要人との秘話も載録。あまりに機微に触れる――として一度は安倍元首相が刊行を見送った、計18回、36時間にわたる未公開インタビューを全て収録。知られざる宰相の「孤独」「決断」「暗闘」が明かされます。
好きか嫌いかの二択だったら必ず「嫌い」と答える。歴代総理経験者の中でも最も「嫌い」な部類に入る―――。ブログではあまり政治の話はしてこなかったが、正直言えば、総理時代の安倍氏にはあまりよい印象は持っていない。
それでも読むことにしたのは、メディアで登場する多くのコメンテーターが本書を言及するからである。発刊から間もない時期で、まだ最初の数節しか読んでないような段階であっても、出演していた番組でわざわざ言及した人もいた。僕が朝のウォーキングの最中に聴いている番組のキー局自体が与党寄りなので、そういうコメンテーターを多く集めている傾向がないとはいえないが(それはある意味ここ数年の番組改編で、それまで愛聴していたTBSラジオがつまらなくなったからだともいえる)、2月以降複数のコメンテーターが度々言及していたし、その番組以外の場でも耳にする機会が何度かあった。安倍氏のことをどう思っていようと、一度は彼の言い分を訊いてみるのも悪くはないか―――そんな思いで手に取り、一時帰国の最初の読書の対象とした。