『世界史を大きく動かした植物』 [読書日記]
内容紹介【Kindle Unlimited】
一粒の小麦から文明が生まれ、茶の魔力がアヘン戦争を起こした――。人類は植物を栽培することによって農耕をはじめ、その技術は文明を生みだした。作物の栽培は、食糧と富を生み出し、やがては国を生み出した。人々は富を奪い合って争い合い、戦争の引き金にもなった。歴史は、人々の営みによって紡がれてきたが、その営みに植物は欠くことができない。人類の歴史の影には、常に植物の存在があったのだ(本書の「はじめに」より)。 【本書の目次より】コムギ――一粒の種から文明が生まれた/イネ――稲作文化が「日本」を作った/コショウ――ヨーロッパが羨望した黒い黄金/ジャガイモ――大国アメリカを作った悪魔の植物/ワタ――「羊が生えた植物」と産業革命/チャ――アヘン戦争とカフェインの魔力/ダイズ――戦国時代の軍事食から新大陸へ/チューリップ――世界初のバブル経済と球根/サクラ――ヤマザクラと日本人の精神……
今から20年以上前、僕がまだブログというものを知らなかった時代、エリック・ドゥルシュミート『ヒンジ・ファクター』『ウェザー・ファクター』という2冊の本を読んだことがある。それぞれ、「幸運と愚行は歴史をどう変えたか 」「気象は歴史をどう変えたか」というサブタイトルが付いており、どちらも面白くて一気に読んでしまったのを覚えている。アラフォーの時代から、僕はそこそこの読書愛好家だったのだ。
それ以降も、「〇〇の世界史」という類の、何らかの切り口をもって世界史(時には日本史)を解説する本に出会うと、なんとなく読んでみたくなる自分がいる。要は歴史が好きなのだ。ましてや、そんなタイプの書籍がKindle Unlimitedで読めるとあらば、飛びつかない手はない。
本書で扱われている植物は以下の通りだ。「コムギ」「イネ」「コショウ」「トウガラシ」「ジャガイモ」「トマト」「ワタ」「チャ」「サトウキビ」「ダイズ」「タマネギ」「チューリップ」「トウモロコシ」「サクラ」———。海外駐在生活、あるいはこれまでに自分が関わった仕事の中で、接点があった植物が結構多い。「トウガラシ」「ジャガイモ」「トマト」などは中南米起源らしいし、「タマネギ」は中央アジア起源らしいが、それらをいずれも今住んでいるブータンで見かけるというのには、ちょっとしたらロマンも感じる。伝播の歴史がきっとある筈なのだ。「ワタ」はその起源と言われるインドでの仕事でお世話になった。