『リバー』 [奥田英朗]
内容紹介【購入(キンドル)】
同一犯か? 模倣犯か? 群馬県桐生市と栃木県足利市を流れる渡良瀬川の河川敷で相次いで女性の死体が発見! 十年前の未解決連続殺人事件と酷似した手口が、街を凍らせていく。かつて容疑をかけられた男。取り調べを担当した元刑事。娘を殺され、執念深く犯人捜しを続ける父親。若手新聞記者。一風変わった犯罪心理学者。新たな容疑者たち。十年分の苦悩と悔恨は、真実を暴き出せるのか─── 人間の業と情を抉る無上の群像劇×緊迫感溢れる圧巻の犯罪小説!
年明けから、池井戸潤の短編単品ものを続けざまに読んでお茶を濁してきたが、遂に本格的な作品を紹介することになる。昨夏に発表された奥田英朗の新作を、満を持して読むことにした。新年のご祝儀だ。
656頁もある大作である。それだけにいろいろな人物を登場させ、連続殺人事件の捜査の進展とともにその人々が複雑に絡み合っていく。そして最後にはそれらがつながって、犯人逮捕へと進んでいく。容疑者の特定まではわりと早く進むが、そこからの展開が混迷を極め、ラスト100頁を切ってもまだ展開の予想がつかないという面白さ。
奥田英朗さん、こういう作品が本当に得意だなと改めて思う。
ただ、僕は作品の舞台となった渡良瀬川流域のうち、足利ぐらいしか土地勘がなく、太田や桐生には行ったことがない。このため、地点間移動がそれほど活発に行えるところなのか、また前橋や宇都宮から事件現場への移動はそうそう頻繁に行えるところなのか、そのあたりの感覚がよく理解できなかった。
多分土地勘があればもっと楽しめる作品だったに違いない。