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空中歩道を歩ける公園 [ブータン]


山から下りてきて、プンツォリンのタウンに入ってすぐ左手にある王立ガバナンス戦略研究研修所(RIGSS)の前の公園のリニューアルがほぼ終わり、数週間以内にローンチングが行われると、10月10日(月)のBBSが報じている。

当初予定は9月末には完成予定ということだった。報道によると、あとは仕上げ作業が少し残っているとのことだが、11日にタウンに行った際にちょっと見た感じでは、BBSのHPの写真のアングルでは確かにほとんど仕上がっているようにも見えるが、実際のところは未完成の部分がまだまだ多いという印象だ。しかも、先週から今週にかけて、滝のような雨が1日に何回も降ることがあり、なかなか思ったように作業が進められないという制約もきっとあるのだろう。

この公園の設計は、CSTの建築学科で学内コンペがあって、その優勝者のデザインが採用されたと聞く。この設計の注目ポイントは空中歩道だろう。どういうコンセプトなのかはよく知らないのだけれど、確かに話のタネに一度は歩いてみたくなる歩道だ。

数週間以内にローンチングされるとのことだが、意外と来年の花博と抱き合わせにされるかもしれない。ゲレフかプンツォリンかのいずれかだろうと言われているが、どちらになっても過去のサムドゥップジョンカルのケースを参考にするなら開催時期は来年2月下旬だろう。そして、そうなるとそこまでローンチングを引っ張って、プンツォリンで花博ということにもなるかもしれない。

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教育省の組織再編は第一弾 [ブータン]


2022年10月8日(土)のクエンセルの記事からの引用。面白いことに、この記事、ティンプーの記者ではなく、プンツォリンのラジェッシュ・ライ記者の記名である。考えられるのは、教育省関係者がプンツォリンに来ていたので彼が取材をしたのか、それともこの週はティンプーがツェチュ(大祭)の三連休があったりして、ティンプー在住の記者の人出が足りなかったか。たぶん後者だろう。ティンプーがツェチュでお休みであったとしても、プンツォリンでは普通に仕事が行われていたから。

記事の内容は、7日(木)に教育省が公表した組織改編に関するものである。要点をかいつまんで紹介すると、

◆学校教育局(DSE)とカリキュラム専門性開発局(DCPD)はDSEに統合。
(DCPDは元々パロにあった王立教育評議会(REC)で、カリキュラム開発を担当していた。)

◆DSEは、①学校カリキュラム課(SCD)、②教員開発課(TDD)、③教育リーダーシップ課(ELD)、
 ④STEMイノベーション課(SID)、 ⑤幼児教育課(ECCD)、⑥特別教育課(SEND)、
 ⑦学校連携調整課(SLD)の7課に再編(記事には「5課」とあるが、「7課」の誤りだろう。)

◆カリキュラム開発の決定権限の独立性を担保するため、外部有識者の任命に基づく、カリキュラム・
 技術諮問委員会(Curriculum and Technical Advisory Board)を設置。

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タグ:教育
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『罪の轍』 [奥田英朗]

罪の轍

罪の轍

  • 作者: 奥田英朗
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2020/02/07
  • メディア: Kindle版
内容(「BOOK」データベースより)
昭和38年。北海道礼文島で暮らす漁師手伝いの青年、宇野寛治は、窃盗事件の捜査から逃れるために身ひとつで東京に向かう。東京に行きさえすれば、明るい未来が待っていると信じていたのだ。一方、警視庁捜査一課強行班係に所属する刑事・落合昌夫は、南千住で起きた強盗殺人事件の捜査中に、子供たちから「莫迦」と呼ばれていた北国訛りの青年の噂を聞きつける――。オリンピック開催に沸く世間に取り残された孤独な魂の彷徨を、緻密な心理描写と圧倒的なリアリティで描く傑作ミステリ。
【購入(キンドル)】
2週間にわたる今回の一時帰国のフィナーレを飾る1冊。自宅を出る前にダウンロードしておき、実際に読み始めたのは羽田からバンコクまでの機中。トランジット先のバンコクでの滞在中、バンコクからパロまでの機中と読み進め、ティンプーでの滞在中にようやく読み切った。673頁という大作。一気に読まないと面白くない作品———というか、読みだしたら止まらない作品だった。

また、読み始めてみて、同じ奥田作品の1つである『オリンピックの身代金』と作品の舞台が似ていると感じた。ちょいと調べてみると、警視庁捜査1課第5係の顔ぶれはほとんど同じ。『オリンピックの身代金』の方が舞台としてはちょっと後になる。当時はまだ戦地帰りの刑事もいたようだが、一方で組織の縦割りや組織間の意地の張り合い等はすでにあって、捜査がうまく進まないという事態も度々起きていたようだ。

どちらも、1964年10月の東京五輪を背景に、大きく変貌を遂げつつある東京と、そこに労働力を輩出していた当時の地方(特に東北や北海道)の姿を描いている。時代背景を知るには面白い作品だし、当時世間を騒がせた実際の事件を絡めており(もちろん、作中で起きている事件は架空のものだが)、当時を知るにはいい作品だ。

奥田作品にはいろいろな「抽斗」があるが、「東京五輪」というのもその中の1つとして、確立された感がある。

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『「インクルーシブデザイン」という発想』 [仕事の小ネタ]

「インクルーシブデザイン」という発想 排除しないプロセスのデザイン

「インクルーシブデザイン」という発想 排除しないプロセスのデザイン

  • 出版社/メーカー: フィルムアート社
  • 発売日: 2014/06/26
  • メディア: 単行本
内容紹介
「インクルーシブデザイン」とは、対話から本当に大切なことを発見するためのプロセスです。社会のメインストリーム(主流)にはない、エクストリーム(極端)な部分に目を向けることにより、従来のデザインでは見落としていたアイデアや可能性を明確にすることが「インクルーシブデザイン」の特徴です。そして、エクストリームから生まれたデザインを、メインストリームに新たなイノベーションとして提供する。その役割を「インクルーシブデザイン」は果たすことができます。不特定多数のための大量生産される「デザイン」は、経済的にも環境問題的にも、既に限界を迎えています。これからは、つくり手とユーザーが一体となって問題解決力に富んだデザインを創造する時代です。包含的に社会の諸問題にアプローチするプロセス、それが「インクルーシブデザイン」なのです。
【M市立図書館】
この本も、一時帰国で本邦到着早々近所の市立図書館で予約して、返却待ちとなり、借りられたのが本邦出発4日前という慌ただしさだった。読めるのかどうかがかなり怪しい状況ではあったが、空き時間を見つけては少しずつなんとか読み進め、出発前日の夕方には読み切った。

読み切りはしたものの、正直言うと、中古でもいいので1冊購入し、任国に携行したいとすら思う時があった。読み切れないからということではなく、いい本だからだ。「インクルーシブデザイン」だけでなく、「ユニバーサルデザイン」や「デザイン・フォー・オール」といった取組みについて、そうした概念が形成されてきた経緯や、その過程でのデザイナーの具体的な作品、著者の取組みなどが、わかりやすい日本語で書かれている。しかも、著者は日本での長期滞在経験や、勤務経験等があるため、日本への言及も比較的多い。訳本だというのをあまり意識せずに読める。ひょっとしたら元々日本人向けに書かれたのかもしれない。原書でJulia Cassim "Inclusion through Design"を検索しても書誌は出てこない。

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『ニューロマンサー』 [読書日記]

ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)

ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2017/04/30
  • メディア: Kindle版
内容(「BOOK」データベースより)
ケイスは、コンピュータ・カウボーイ能力を奪われた飢えた狼。だが、その能力を再生させる代償に、ヤバイ仕事をやらないかという話が舞いこんできた。きな臭さをかぎとりながらも、仕事を引き受けたケイスは、テクノロジーとバイオレンスの支配する世界へと否応なく引きずりこまれてゆく。話題のサイバーパンクSF登場!
【M市立図書館】
これも、いずれ読もうと思って「読みたい本」リストに挙げていた作品。2日で読み切った。

この作品がハヤカワSF文庫から出たのは1986年7月。ちょうど僕が三〇堂書店神田本店3階でアルバイトを始める直前だった。今となっては記憶が定かではないが、当時文庫本のSFものといったら『デューン~砂の惑星』シリーズやハインライン『夏への扉』等が平積みされていた。ウィリアム・ギブソン『ニューロマンサー』もその作品名を記憶している文庫本の1冊で、当時はSF文庫に手を出すことなど夢にも思わず、この作品名も「ニュー・ロマンサー(New Romancer)」だと思っていた。当時聴いていた菊池桃子の「BOYのテーマ」で「romancer(特定の言葉を織り込んだ願望を発声することで、その願望を現実化させる能力を持った人間のこと)」という単語だけ頭の中にインプットされていたからだ。

でも、実際は「ニューロ」と「ロマンサー」を合わせた造語neuromancerらしい。神経に働きかけて仮想現実を見せるというような話だろう。映画の『マトリックス』や『攻殻機動隊』を観てから作品を読むと、その世界観が理解しやすいかもしれない。「マトリックス」という電脳空間が実際に舞台となるし、人工知能が自我を持つ聖域の「ザイオン」、人体に埋め込んだジャックにプラグを挿して電脳空間へ移動、凄腕ハッカーの主人公が恋仲になった女戦士を通じて謎の男が率いるチームに参加するというメインキャラ達の相関などは、映画『マトリックス』と共通するらしい。

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『マインドストーム』 [仕事の小ネタ]

マインドストーム☆〔新装版〕☆: 子供,コンピューター,そして強力なアイデア

マインドストーム☆〔新装版〕☆: 子供,コンピューター,そして強力なアイデア

  • 出版社/メーカー: 未来社
  • 発売日: 1995/01/01
  • メディア: 単行本
内容(「MARC」データベースより)
「ロゴ」の生みの親パパート博士が語る「ロゴ」言語の世界。新しい知識との関係づくりに向け、コンピューターがどのように人々の助けとなるか。コンピューターと未来と教育を語る。
【M市立図書館】
彼岸の墓参りと業務での必要物資調達、それにミシン操作の経験を主目的として行った一時帰国も、いよいよ終盤となって来た。こちらからお願いして訪問した仕事の打合せの他に、派遣元に呼び出されて出頭した打合せで、某中間管理職から当事者を前にして言ってはいけない発言を聞かされ不快な気持ちにさせられたりと、いろいろあったここ数日だった。

待っているちょっとの空き時間も、地道に読書した。

本書のことを知ったのは、Sylvia Libow Martinez、Gary Stager著『作ることで学ぶ』を通じてであった。この本には、パパートが提唱した「構築主義(Constructivism)」という教育思想の形成過程をまとめた1章が収録されており、パパートの著書『マインドストーム』にも言及がされていた。構築主義の考え方を簡単に学ぶなら『作ることで学ぶ』を読むのでも十分だが、引用文献にも一応目を通したというアリバイを作っておきたかった。そこで、一時帰国の機会があれば図書館で借りて読もうとリストアップしていた。

目的がアリバイ作りだったので、論文が書きたくて精読するというフェーズではない。そういう機会があればいずれ再読することがあるかもしれないが、今回に関しては、かなりの飛ばし読みだったことを先ずお断りしておく。

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