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『死ぬほど読書』 [読書日記]

死ぬほど読書 (幻冬舎新書)

死ぬほど読書 (幻冬舎新書)

  • 作者: 丹羽 宇一郎
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2017/07/28
  • メディア: 新書
内容(「BOOK」データベースより)
もし、あなたがよりよく生きたいと望むなら、「世の中には知らないことが無数にある」と自覚することだ。すると知的好奇心が芽生え、人生は俄然、面白くなる。自分の無知に気づくには、本がうってつけだ。ただし、読み方にはコツがある。「これは重要だ」と思った箇所は、線を引くなり付箋を貼るなりして、最後にノートに書き写す。ここまで実践して、はじめて本が自分の血肉となる。伊藤忠商事前会長、元中国大使でビジネス界きっての読書家が、本の選び方、読み方、活かし方、楽しみ方を縦横無尽に語り尽くす。
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僕もそれなりに読書はしている方だと思うが、読書好きになった起源については、これまで語って来たこと以外に、もう1つ本書を読んでいて思い出したことがある。

僕は、右目の下に今でも残る傷がある。あれはテレビで『ウルトラマンエース』が放送されていた頃だから、小学3年生の12月だったと思う。急に右目の周りが腫れはじめ、実家の隣り町の市民病院に手術入院することになった。生まれて初めての入院、生まれて初めての手術。以後現在に至るまで、僕は入院をしたことがない。手術といっても麻酔で意識がとんで、目が覚めたら手術は終わってましたという代物ではない。目の下の頭蓋骨のくぼみの縁に沿ってメスを入れるもので、その感覚は今でも覚えている。

さて、術前だったか述語だったかは覚えていないが、病院の廊下で診察を待っている時、母だったか父だったか、たまたま近くに居合わせた別の男性と話をし始めた。断片的な記憶を頼りにここで述べると、その男性はどこかの本屋さんの息子さんで、お店の本を読んで育った。外国語も本を読んで覚えた。本を読むことは大きな意味がある。だから、あなたの息子さんにもたくさん本を読ませなさい―――。

母が僕をその町の市立図書館に2週間に1回連れて行ってくれるようになったのは、時系列的にはそれより後のことである。僕はよく、自分が読書好きになったのはポプラ社の古典文学全集で『太平記』や『平家物語』に出会ったからだと人には話すことが多いが、それらは小学校の図書館で借りて読んでいたもので、それ以前はというと、隣り町の市立図書館に母に連れて行かれて、最初の頃は嫌々だったのが、そこで推理小説というジャンルに出会い、コナン・ドイルのシャーロック・ホームズのシリーズや、ガストン・ルル―の『黄色い部屋の秘密』を読んだ。

今思い返すと、もし市民病院の廊下で、その男性と出会っていなければ、父も母も、僕を本が沢山置いてある場所に連れて行こうという発想には至らなかったのではないかと思う。

のっけからなんでこんな話題を取り上げたかというと、本書の著者が本屋の甥だという自身の出自を本書で明らかにしていたからである。初期条件が良かったんだろうな。勿論、初期条件などきっかけに過ぎず、読書にのめり込むには何らか特定の本との出会いがあったのではないかと思うが。

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