『サウスバウンド』 [奥田英朗]
内容(「BOOK」データベースより)【MKレストラン文庫棚から拝借】
父は国家権力が大嫌い。どうやらその筋では有名な元過激派で、学校なんて行くなと言ったり、担任の先生にからんだり、とにかくムチャクチャだ。そんな父が突然、沖縄・西表島に移住すると言い出し、その先でも大騒動に。父はやっぱり変人なのか?それとも勇者?家族の絆、仲間の絆を描いた傑作長編。
先週末、通いつけのレストランに置かれている文庫棚を物色して、面白そうな文庫本を借りてきた。ここのレストランに書棚ごと寄贈されている書籍のほとんどは、某JICA専門家が2018年秋に当地を離任される時に置いて行かれたものだ。へ~、こういうのも読んでおられたんだという驚きもあるが、それまでにこの国におられたJICA関係者の手から手に渡ってきたものも相当ある筈で、必ずしもご本人の趣味とは限らない。ただ、岐阜県出身の作家推しの僕としては、ここの蔵書の中に奥田英朗作品を発見した時には嬉しかった。『サウスバウンド』は読んでなかったし。
ここ1カ月ほど、あまり小説を読んでいなかった。その小説、というか読書自体をおろそかにしていた。遅れてきた「五月病」とでも言おうか、期間中、気分的に相当滅入っていたし、途中ひどい下痢で体調を崩したこともある。読書に集中する気にもなかなかなれず、悪循環に陥っていた。それが少し改善の気配を見せたのが先週末、家族からの愛情の詰まった国際EMS便が、なんと1ヶ月もかかってようやく手元に届いたあたりからだと思う。遠方にいても、家族の存在は大きい。
その荷物のおかげで、借りていた『サウスバウンド』はすぐには読み始められなかったのだけれど、今週末は時間の許す限りこの奥田作品を読み、読書への集中力の回復を図ることにした。
上下巻合計すると600頁を超える超大作だが、土曜日中は仕事をしていたにも関わらず、金曜夜からの読書開始で、日曜午前中までに上下巻読了を果たした。なかなかのスピード感だと思う。小説としての娯楽性と読みやすい文体、作品を楽しみつつ読書のスピードを取り戻したい時には、奥田作品は合っている。