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『人新世の「資本論」』 [持続可能な開発]

人新世の「資本論」 (集英社新書)

人新世の「資本論」 (集英社新書)

  • 作者: 斎藤幸平
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2020/10/16
  • メディア: Kindle版

【『新書大賞2021』第1位!大賞受賞作!!】
人類の経済活動が地球を破壊する「人新世」=環境危機の時代。気候変動を放置すれば、この社会は野蛮状態に陥るだろう。それを阻止するためには資本主義の際限なき利潤追求を止めなければならないが、資本主義を捨てた文明に繁栄などありうるのか。いや、危機の解決策はある。ヒントは、著者が発掘した晩期マルクスの思想の中に眠っていた。世界的に注目を浴びる俊英が、豊かな未来社会への道筋を具体的に描きだす。
【購入】
4月から5月にかけて、どこの書店に行っても店頭平積み台にデーンと陳列されていた話題の書である。個人的な印象だが、このところやたらとマルクスの『資本論』が話題に上ることが多いと感じていて、この際だから五度目の海外駐在に併せて読み込もうと思っていた古典の中に『資本論』も加えようかと考えた。しかし、マルクス『資本論』は岩波文庫版でも9巻もある。どうしても食指が伸びず、それなら代わりにマルクス解説本でお茶を濁そうと考え、駐在生活に携行する本の中に、この話題の書を加えた。

結果的にはこれで良かったと思う。マルクスも、『資本論』のような公刊されている著作物以外にも、誰かに宛てた手紙とか、その下書きとか、メモとか日記とか、読んでいた本とか、他の人がマルクスについて語っている口伝とか、その思想の全体像を理解するにはいろいろな資料があると思う。また、『資本論』第1部が出たのは1867年だが、第2部、第3部は、1883年にマルクスが没した後に、エンゲルスが遺稿をまとめて著したものだそうである。ということは、第1部発刊からの16年の間に、マルクスも当初『資本論』で書いたことから、修正したいところもあったかもしれない。エンゲルスによるまとめがあったとしても、まだカバーしきれない遺稿などは存在したかもしれない。それらを著者なりにまとめて、「人新世」と呼ばれる現代を生きる僕らに示したのが、『人新世の「資本論」』ということになる。

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