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『サーキュラー・エコノミー』 [持続可能な開発]

サーキュラー・エコノミー 企業がやるべきSDGs実践の書 (ポプラ新書)

サーキュラー・エコノミー 企業がやるべきSDGs実践の書 (ポプラ新書)

  • 作者: 中石和良
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2020/08/19
  • メディア: Kindle版
内容(「BOOK」データベースより)
「サーキュラー・エコノミー(循環型経済)」とは、環境への負荷を最小限に抑え、同時に最大限の経済効果を得るための新しい経済・産業システム。企業におけるSDGsの実践方法としても注目を集めている。本書では、先端企業による業界別の取り組みを通して、新しい発想や仕組みづくりを提案する。

先々週、知り合いから頼まれてSDGsに関する論考を書かせてもらうことになった。それまでに得ていた知識である程度は書けそうだと思ったものの、1冊ぐらい近刊書籍を読んで頭をブラッシュアップしてから書こうかと思い、先週近所のコミセン図書室で借りた。新書サイズだったし、通勤の合間に読めば2日ぐらいで読み終われるだろうと甘く見ていた。

結果。読みづらかった。「です・ます」調の書きっぷりで、一見優しそうに見えるのだが、読み始めて2日間、序論の部分だけで全然頭に入って来ず、その間に例のSDGsの原稿を書き上げてしまおうと思ったので、結局本書は間に合わなくなってしまった。原稿は先週末一気に脱稿。本書は、脱稿後、週明け2日間を費やしてようやく読み切った。アリバイ作りのように。

決して悪い本じゃない、意図は良いと思うし、書かれているのは正論だが、引っかかったのは31頁の「バタフライ・ダイアグラム」と36頁のアクセンチュアの「サーキュラー・バリューチェーン」の5つのビジネスモデルという図。この2つの理解に手間取って、先に進めなくなった。そして、ようやく理解して序章を読み終えて第1章(つまり本編)に入って行ったのだが、これが企業、それも大企業の取組み事例の紹介だった。大企業のCSRかサステナブルの担当者なら読んでて損はないだろうが、会社勤めじゃない僕にはなかなか響かなかった。

それに、超有名な大企業の取組みばかりを紹介しているけれど、それでは同業他社はどうなのというのがわからない。要は取り組めている企業と取り組めていない企業にはどこで差が生まれるのかがあまり考慮されておらず、一部の大企業がやっているから皆さんもやりましょう的な推奨のされ方に感じた。

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タグ:SDGs 自給自足
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『繁栄のパラドクス』 [仕事の小ネタ]

繁栄のパラドクス 絶望を希望に変えるイノベーションの経済学 (ハーパーコリンズ・ノンフィクション)

繁栄のパラドクス 絶望を希望に変えるイノベーションの経済学 (ハーパーコリンズ・ノンフィクション)

  • 出版社/メーカー: ハーパーコリンズ・ジャパン
  • 発売日: 2019/06/21
  • メディア: Kindle版
内容紹介
〝買えない/買わない〟が、巨大市場に変わる時――
最も成長が見込めるのは、貧困をとりまく「無」消費経済である。
C・クリステンセン教授による市場創造型イノベーション論
■アフリカではなぜ井戸は枯れ、携帯電話は普及したのか?
■日本はなぜあれだけのイノベーションを起こせたのか?
■メキシコの効率化イノベーションはなぜ繁栄をもたらさないのか?

毎年この時期になると、途上国の経済開発、社会開発の本を1、2冊は読んで、新しいネタを仕入れるよう意識している。本日ご紹介の文献もその一環だが、『イノベーションのジレンマ』という超有名な著書のあるイノベーション論の大家の遺作だから、先に述べたような意識が最初からあったわけではない。イノベーションの文脈で読み始めたのだけれど、本書は開発論に近かった。

キーワードは「無消費」と「市場創造型イノベーション」。貧困国から大きく発展を遂げた国と、これまで巨額の援助を受け取りながら発展を遂げられず相変わらず貧困にあえいでいる国との間にどんな違いがあるのかを比べてみると、発展を遂げた国は、これまで需要があるとは考えられもしなかった需要を発掘し、それに応えられるイノベーションを起こして市場を創り出すことに成功する企業が存在した国だったということらしい。

著者は、これを「市場創造型イノベーション」と呼び、「持続型イノベーション」(市場にすでに存在する解決策の改良)、「効率化イノベーション」(企業がより少ない資源でより多くのことを行えるようにする)と対比している。つまり、あとの2つのタイプが市場がすでにあることを前提とするのに対し、市場創造型イノベーションは、今は無消費状態で市場もないが、ひとたびそれが求められる状況が生まれて、かつ消費者が費用負担可能な価格で手が出るようにできれば、市場は生まれ、経済活動はさらに活発化し、そして人々の生活も豊かになるのだと主張されている。

なんだか、読んでいて「BOPビジネス」の言い換えのような気もしたが、BOPビジネスは国全体の発展の話と関連付けては論じられていなかったと記憶しているので、その点では「市場創造型イノベーション」には新規性はあるように思う。

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『恋に落ちた哲学者』 [読書日記]

恋におちた哲学者 (きゅんきゅんくる!教養 5)

恋におちた哲学者 (きゅんきゅんくる!教養 5)

  • 出版社/メーカー: 東京書籍
  • 発売日: 2013/04/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
男女3人の奇妙な共同生活、
教え子との禁断の恋、
束縛しない契約結婚、
幼少時のトラウマと淫蕩生活、
禁欲的な抑圧の反動、
患者との不倫、
ニーチェ、サルトル、ウィトゲンシュタイン、ハイデガー、ユング、バタイユ。6人の哲学者たちの濃ゆい恋愛を描くオムニバス・コミック。

週末の読書日記は、軟派な題材選択となりますがお許しを―――。

ニーチェやサルトルという哲学者の名前、僕らの世代は、彼らの業績についてはまったくわかってなくても、その名前だけは野坂昭如のサントリーウイスキーのCM(1976年)で覚えた。それが、今の子どもたちは、こういうコミックで覚えてしまうものらしい。時代は変わったなぁ。

そもそもの経緯は、今週木曜日の我が家の食卓。この日の出勤を終えて、英語でのオンラインイベント2時間に、かなりシリアスな業者向けオンライン説明会2時間を傍聴し、さすがに疲れ果てて、僕はその後の事前申し込みをしていた別のオンラインイベント2件を欠席してしまった。19時30分に帰宅して、そのまま晩御飯の食卓についたが、疲れていたこともあって、泡盛のロックで1人晩酌を始めた。

その時、何かの拍子で、高校の社会科科目の構成の話になった。僕らの世代は日本史、世界史、地理、政治経済、倫理社会。少し世代が下がる妻の世代は、公民科目が現代社会、倫理、政治経済の3科目になった。そこで、今の高校社会科では、哲学はどこで教わるのか、ハイデガーやニーチェ、サルトルはどこで取り上げられるのかというのが、食卓にいた妻と僕、高2の次男との間で話題になった。

すると、それを聴いていた大学3年生の娘が、「なんかどこかで聞いたことがある人の名前ね~」と反応し、自室にすぐに戻り、書棚をあさって探してきたのが本書である。2013年4月発刊で、娘がいつ頃この本を購入したのかは知らない。中高と漫画文化研究会で過ごした娘は、BL系の蔵書も隠し持っているらしいが、この手のイケメン男子が出てくる胸キュン系のコミックも豊富に持っている。

そういうところから、ニーチェやサルトルの名前がインプットされているのである。

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