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『コロナの時代の僕ら』 [読書日記]

コロナの時代の僕ら

コロナの時代の僕ら

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2020/04/24
  • メディア: Kindle版
内容(「BOOK」データベースより)
感染症とは僕らのさまざまな関係を侵す病だ。この災いに立ち向かうために、僕らは何をするべきだったのだろう。何をしてはいけなかったのだろう。そしてこれから、何をしたらよいのだろう。コロナの時代を生きる人々へイタリアを代表する小説家が贈る、痛切で、誠実なエッセイ集。

初めて新型コロナウィルス感染拡大を扱った本をブログで取り上げる。5月という比較的感染拡大の早い時期から書店店頭に出始め、ほとんどコロナに関する最初の1冊だったこともあって、その後もベストセラーとして書店で平積みにされているのを何度か見かけた。この手の本はなかなか買って読まないから、近所のコミセン図書室で新着本の棚に出ているのを見かけ、即断で借りることにした。

本書に収録されているエッセイのほとんどは、今年2月下旬から3月上旬という、比較的短期間に書かれている。著者はイタリア人で、少し前までイタリア人っぽい人生を目いっぱい楽しむがごとき生活を送っていた人々が、感染急拡大を受けて外出禁止を強いられ、その現実を受け止められずにいる様子が描かれていた。

文章は比較的やさしいので、2時間程度で一気に読めてしまう。コロナの感染拡大は、人の身勝手な行動のせいだと、著者はビリヤードの球の衝突を例えに主張する。きっかけを作ったのも自然と人間との接点領域の拡大によるものだった可能性だってあるし、グローバル化で人やモノが世界規模で動く世界を作ってきたのも人間である。そして、責任ある行動が求められているのに、はめを外してしまう行動に出るのも人間だし、経済活動への影響や東京五輪開催への影響を恐れて、厳格な政策が打ち出せない政府も結局人間が作ったものだ。

僕たち一人一人が、責任ある行動をとらないと、コロナの完全封じ込めなどできない。当たり前のことだけど、それが本書から学ばされた点であった。

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