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『日本人はなぜ戦争へと向かったのか』(下) [仕事の小ネタ]

NHKスペシャル 日本人はなぜ戦争へと向かったのか 下

NHKスペシャル 日本人はなぜ戦争へと向かったのか 下

  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2011/06/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
1941年、日本にはどんな選択肢があったのか―――。
太平洋戦争開戦から70年が経過し、開戦にかかわった多くの人物による日記や証言が公開されつつある。いったい何が日本人を太平洋戦争へと向かわせたのか。大きな反響を呼んだシリーズ番組の3・4回を収める下巻では、「メディアと民衆」「リーダーたちの非決定」に焦点を当て、最新の研究と資料から「開戦までの道のり」の詳細を検証する。

上巻についてブログで記した際、「仕事の一環として読む日本の近現代史の書籍は、この上下巻2冊セットでひとまず打ち止めにしておく」と冒頭で断りを入れた。下巻を読了したのは16日(日)だった。読了した時にはちょっと感慨深かった。学んでおいて損はないが、今からライフワークに仕立て上げてもっともっと勉強しようという分野でもない。

上巻では「“外交敗戦”孤立への道」「巨大組織“陸軍”暴走のメカニズム」での番組放送分のドキュメンタリーの文章化が行われたが、下巻では、「メディアと民衆―“世論”と”国益”のための報道」「指導者ー”非決定”が導いた戦争」の番組放送分の2テーマが取り上げられた。この番組のタイトルは、『日本人はなぜ戦争へと向かったのか』となっているが、なぜ「日本人」だったのかといえば、メディアによる偏向報道は、民衆の戦争支持にメディア側がなびいていった側面もあったからだということなのだろう。でも、この議論を突き詰めていくと、その前の日清・日露戦争での連勝の記憶があったからだとか、どんどん遡っていって明治時代の富国強兵あたり、さらには幕末の薩英戦争や下関戦争あたりまで行ってしまいそうな気がする。

もう1つ、それが「日本人」だったことについて思い当たるところは、戦争回避の選択肢はあった筈なのに、しかも政策決定に関わっていた人々の間にも「アメリカと戦ってもどうしても勝てない」との認識があったにも関わらず、なぜ戦争突入を止められなかったのかが描かれた「指導者」の章にもあった。「人が死ねば死ぬほど、兵は退けなくなる」という指導者の発言にたびたび言及があるが、指導者に対するプレッシャーも、国民から発せられていたものがあったのかもしれない。

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タグ:NHK
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