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『三体』 [読書日記]

三体

三体

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2019/07/04
  • メディア: ハードカバー
内容(「BOOK」データベースより)
物理学者の父を文化大革命で惨殺され、人類に絶望した中国人エリート科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)。失意の日々を過ごす彼女は、ある日、巨大パラボラアンテナを備える謎めいた軍事基地にスカウトされる。そこでは、人類の運命を左右するかもしれないプロジェクトが、極秘裏に進行していた。数十年後。ナノテク素材の研究者・汪森(ワン・ミャオ)は、ある会議に招集され、世界的な科学者が次々に自殺している事実を告げられる。その陰に見え隠れする学術団体“科学フロンティア”への潜入を引き受けた彼を、科学的にありえない怪現象“ゴースト・カウントダウン”が襲う。そして汪森が入り込む、三つの太陽を持つ異星を舞台にしたVRゲーム『三体』の驚くべき真実とは?本書に始まる“三体”三部作は、本国版が合計2100万部、英訳版が100万部以上の売上を記録。翻訳書として、またアジア圏の作品として初のヒューゴー賞長篇部門に輝いた、現代中国最大のヒット作。

1月に頑張りすぎた反動もあるのだろうが、2月に入って読書のスピードが落ちてるなと思ったので、小説読んでかさ上げしようと考えた。先週末、近所のコミセン図書室でたまたま『三体』を見かけたので、矢も楯もたまらず「確保」した。WIRED第35号で、著者の劉慈欣のインタビュー記事を読んでから、いずれ『三体』は読んでみたいと思っていたのである。

この週末、土日の1日半を費やして一気に読んでしまった。仕事の上では「現実逃避」したかったし、月曜日は出勤するけれど、最近出勤すると5割の確率で衝突する隣の席の同僚が休暇取得予定なので、気持ち穏やかに出勤することができる。その心のゆとりが小説に向かわせたところもある。また、新型コロナウィルスがパニック的状況になっているのに、マスクも入手できなない状況だから、いっそのこと週末ぐらいは人が大勢いるところに行かないようにしようかと考えた。

こういう週末は、外出を控えて小説であ~る。

集中して読めたのは、章の区切りが小刻みで、かつ翻訳が良くて読みやすかったことによると思う。物理の知識はあまりないので、読んでてどうしてもわからない記述はいたるところにあったけれど、そこは読み流して先に進んでも、ストーリーの展開を理解するのに支障はほとんどなかった。

そもそもSF小説をほとんど読まない読者が言っても説得力ないかもしれないが、科学知識の少なさが理解を妨げないという点で、SF初心者にも入りやすい作品だと思う。

それにしても驚きなのは、中国からこうした売れるSF作品が出てきたことだろう。僕は最近の日本のSFを知らないので単に印象でしか書けないが、僕自身のSF体験は中高生の頃、小松左京とか筒井康隆あたりで止まっている。ベストセラー作品って日本では出てきているのだろうか。そう考えると、こういう作家が中国から出てくるというところに、中国の勢いも感じざるを得ない。

そのうちに、中国人作家の間から、『復活の日』的な作品が出てきて欲しいなともふと感じた。

タグ:劉慈欣
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