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『仕事にしばられない生き方』 [読書日記]

仕事にしばられない生き方 (小学館新書)

仕事にしばられない生き方 (小学館新書)

  • 作者: ヤマザキ マリ
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2018/10/03
  • メディア: 新書
内容(「BOOK」データベースより)
チリ紙交換のバイトに始まり、絵描き、大学教師、テレビリポーター、普通の勤め人等々、経験した職業は数知れず。働き方を考え続けてきた漫画家が体験を元に語る、仕事やお金との向きあい方。好きな仕事ならばどこまでもがんばるべきなのか。金にならない職業をいつまで続けるか、などについて考察。さらに、契約を軽視する日本の慣行についても言及。「働くこと」を考えるヒントが満載の体験的人生論!

『テルマエ・ロマエ』の原作者の描かれた人生論。「人生論」とあるけれど、僕はヤマザキマリの自叙伝として読ませていただいた。相当に壮絶な生き方をされている人だが、真似できるかといわれれば、多分難しいだろうなと思う。

以前、「好きな仕事ならば頑張れる」という逆の主張をされている方の本を読んだことがある。アドレナリンが出ている時は確かに多少の無理はきくというのを僕自身も経験しているので、僕にとっては腑に落ちる主張だった。ヤマザキマリさんの場合も、そうした無理の仕方をされていたようだが、それが真逆の結論に至るのは、仕事を引き受けすぎて体を壊し、家庭も崩壊寸前まで行ってしまったからである。

ふつうの人だと、好きな仕事はさせてもらえるうちが華だから来た仕事は引き受けるというような、発注者が「余人をもって代えがたし」と思ってその人のところにまでアプローチする、ずば抜けた知識や才能といったものを持った自営業主的な仕事のスタイルをそもそもあまりとらないのではないかと思う。いや、いるかもしれないけれど、僕自身が今は自営業主ではないので、この辺のことを言われても響かないのである。

むしろ、嫌な仕事であっても仕事があるだけましと考えねばならない状況にあるのではないだろうか。

個人的には、自営業主的生き方には憧れる。1年の何カ月はこの仕事、他の数カ月は別のこの仕事とか、あるいは1週間のうち何時間はこの仕事で何時間は別のこの仕事、といった具合に、自分の持ち時間を何にどう配分したらいいかを考えられたらいいと思う。老後を考えたら時間配分すべきは「仕事」ばかりじゃないとも思う。アウトプットを出すことばかりに時間を割かないで、インプットにも時間を割きたいとかも考える。(「読書してインプットしてんじゃね~か」というツッコミはあるかもしれないが。)

思うに、著者は10年以上に及ぶイタリア留学時代に相当なインプットをしてしまったので、その後体を壊すまで、アウトプットばかりへの時間配分を余儀なくされたんじゃないか。ふつうはそれほど強烈なインプットオンリーの期間はないので、そこまで独特な知識や作風を編み出すところまではたどり着けないのではないかと思う。

なので、自叙伝と割り切って拝読した。読んでおくと、彼女の作品の味わい方が増すかも。

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