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農村からの人口流出の経済損失 [ブータン]

健康と農村開発に関するセミナー開催される
Seminar held on health and rural development
Kuensel、2018年12月13日、スタッフ通信員
http://www.kuenselonline.com/seminar-held-on-health-and-rural-development/
2018-12-13 Kuensel.jpg

人口流出がどのように農業に脅威となるか
How migration threatens agriculture
Kuensel、2018年12月10日、Phurpa Lhamo記者
http://www.kuenselonline.com/how-migration-threatens-agriculture/

12月7日(金)、京都大学東南アジア研究センターCSEASは、王立ブータン大学(RUB)と共催で、第42回東南アジアセミナーというのを開催した。7日はRUB本部で開催されたセミナーで、8日以降はフィールドワークが行われている。セミナーにはCSEASと関係が深い東南アジア各国の若手研究者も参加し、フィールドワークにも同行して、初めてのブータン農村調査を行っている。

12月13日のクエンセルの記事は、全行程を終えた後のプレスリリースだと思うが、10日の記事は7日のセミナーでの発表の中からピックアップされたものだと思う。シェラブツェ大学のタシ・ドルジ講師がタシガン県バルシャム・ゲオッグ(郡)で行った調査で、同ゲオッグの農民の半数以上が人口流出に伴う労働力不足が農業にとっての大きな課題だと回答したと報告している。

バルシャムは、タシガン県内でもとりわけ「グントン(gungtong)」と呼ばれる空き家が多い地域である。ゲオッグ内の集落の中には、残留する世帯数の方が少なくて、多くの家が損壊し農地が荒れ放題となっているところもあるという。ゲオッグ内の所有地の7.45%が耕作放棄地だという。2015年から17年にかけて、トウモロコシとコメという主要穀物の生産高は同ゲオッグ内では増えた。しかし、タシ・ドルジ講師の推計では、同ゲオッグの生産可能規模からすると、トウモロコシで104.9トン、コメで32.3トン分の耕作が放棄されており、合計460万ニュルタム分の損失を生じているという。

人口流出は、現金の送金や現物移転の形で地域に還元され、1年間で140万ニュルタム相当が戻ってくるとの試算がある。これにより借入金返済や新規事業立ち上げ、農業、家屋新築、子女教育等に充てられているが、それでも460万ニュルタムの損失分を補うことはできず、逆に320万ニュルタムの損失を生んでいる。「この傾向が続けば、地域社会にとっては大きな脅威となっていく」とタシ・ドルジ講師は警鐘を鳴らしている。

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