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『スモールイズビューティフル』 [持続可能な開発]

スモール イズ ビューティフル (講談社学術文庫)

スモール イズ ビューティフル (講談社学術文庫)

  • 作者: F・アーンスト・シューマッハー
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1986/04/07
  • メディア: 文庫
内容紹介
1973年、シューマッハーが本書で警告した石油危機はたちまち現実のものとなり、本書は一躍世界のベストセラーに、そして彼は“現代の予言者”となった。現代文明の根底にある物質至上主義と科学技術の巨大信仰を痛撃しながら、体制を越えた産業社会の病根を抉ったその内容から、いまや「スモールイズビューティフル」は真に新しい人間社会への道を探る人びとの合い言葉になっている。現代の知的革新の名著、待望の新訳成る!

これまで何度か挑戦を試み、その度に跳ね返されてきた本書。先週末からインドに行く機会があり、その行きのフライトの中で読み始め、インド滞在の最初の2日間で読み切った。以前イアン・スマイリー『貧困を救うテクノロジー』をご紹介した際にも、「本書を理解する前提としてシューマッハーの『スモールイズビューティフル』を読んでおくと良いかもしれない」と書いていたので、前掲書の再読を果たしたこの8月、できるだけ間髪入れずにシューマッハーの著書にも挑戦すべきだと思っていた。今は終わってホッとしているところである。

本書はいろいろな立場の人がいろいろな読み方ができると思う。第2部第4章「原子力――救いか呪いか」なんて、福島以降論争が喧しい原発開発の可否について、シューマッハーが1967年には警鐘を鳴らしていたことがよくわかる記述になっている。また、以前クレア・ブラウン『仏教徒の経済学』をご紹介した際にも少しシューマッハーに関する引用をしたが、クレア・ブラウンの著書は『仏教徒の経済学』と銘打っている割には「持続可能な開発」全般の啓蒙書のような感じだったが、『スモールイズビューティフル』の中の第1部第4章「仏教経済学」の方はもっとシンプルに「仕事」というものの捉え方についての従来の経済学と仏教経済学というところに絞っての違いとして論じられている。

元々著者が各所で行った講演や執筆論文をまとめた本なので、取りあえずテーマに合わせて1章ずつ集中して読むというのでいいと思う。通読すると、所々記述の重複もあるし、自分の関心と必ずしも合わない章はやっぱり読みづらく、どうしても時間がかかってしまう。『貧困を救うテクノロジー』の趣旨から言って、今回の読み込みで僕が注目していたのは「中間技術」に関する記述だったので、特に第3部の最初の3章――「開発」「中間技術の開発を必要とする社会・経済問題」「二〇〇万の農村」あたりを集中的に読み、そしてマークした。

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