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どれに従えばいいのか? [ブータン]

五カ年計画は「標準」を見落としている:BSB
Standards overlooked in five year plans: BSB
Kuensel、2018年4月28日、Tshering Dorji記者
http://www.kuenselonline.com/standards-overlooked-in-five-year-plans-bsb/

保健省、患者の安全保障策に乗り出す
Health ministry steps up measures to ensure patient safety
Kuensel、2018年4月28日、Dechen Tshomo記者
http://www.kuenselonline.com/health-ministry-steps-up-measures-to-ensure-patient-safety/

5月28日付のクエンセルは、前回ご紹介した「壁の穴」プロジェクトの話以外にも、結構面白い記事が掲載されていて、読みごたえがある。それぞれの記事を個別で取り上げるのもよいが、相互に関連しているように見える話もあり、しかも関連しているように見えるのにそれぞれが独立して動いているのではと思わせるところがある。

例えば、上記の2つの記事には、「標準(Standard)」という言葉がキーワードとして登場する。ブータン標準局(BSB)の記事を読むと、BSBは2010年の「ブータン標準法」に基づいて設置され、それまで各政府機関が個別に定めてきた標準を統括する上位機関なのだと述べられているという。しかし、各政府機関が個別に標準を定めているケースがいまだに多く、BSBはこれを「国の標準(National Standards)」とは呼べないと批判している。BSBはまだ歴史が浅く、職員が100人ぐらいしかいない組織だと聞く。各政府機関や有識者を招いて幾つかの技術委員会を設け、そこで国の標準としての認定の審査を行っていると記事にはあるが、いかんせん事務方の人数が足りず、標準化が滞っているところも大きい。

このBSBの言う国の標準というのと別の文脈で、次の保健大臣の27日の記者懇談会での発言を読むと、保健省は保健省の「ブータン保健品質保証標準(BHSQA)」というのに基づいて患者の安全への配慮措置を実施していくと書かれている。ブログではご紹介していないが、4月上旬、ティンプーにあるジグミ・ドルジ・ワンチュク国立レファラル病院内で、同病院勤務の麻酔技師が、女性患者をレイプするという事件が起こり、その観点から患者の安全保障というのに注目が集まった。そういう文脈での話なので、院内感染防止とか、医療事故防止とか、そういう意味での患者の安全の話ではないという点での物足りなさはあるものの、保健省は保健省で標準を定めているのだというのがこれでわかる。

BSBの恨み節はGNHにも及んでおり、GNHの9つのドメイン(領域)には、何をすることがそのドメインでのGNHへの貢献につながるのかが標準として定められていないと指摘している。こんなことも含めて職員数100人の組織があれもこれもとやっていたら、全然標準化が捗らないのではないかと思う。それを定めるのが果たして必要なことなのかどうかも定かではない。

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