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『国境をこえた地域づくり』 [仕事の小ネタ]

国境をこえた地域づくり: グローカルな絆が生まれる瞬間

国境をこえた地域づくり: グローカルな絆が生まれる瞬間

  • 編著者: 西川芳昭・木全洋一郎・辰己佳寿子
  • 出版社/メーカー: 新評論
  • 発売日: 2012/03/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
出版社からのコメント
「究極のよそ者」である途上国の研修員と日本のまちの人々の対話と協働から紡ぎだされる、地域づくりと国際協力の新しい指針!

この本、発刊からあまり日が経ってない時期に入手していたのだが、編著者に学者が並んでいたこともあって、読み始める勇気をなかなか持てずに6年近くが経過してしまっていた。今年の目標はこうした長年積読状態にして根雪のようになっていた本を片付けることにあるので、何か小さなきっかけを作ってとにもかくにも読むことにしている。

本書の場合は、1月25日から延期されていた「地域おこし」に関する「大きな面談」が2月14日に再設定されたことから、自分の書棚にあった関連書籍をもう1冊ぐらい読んでおこうと思ったのが1つ、もう1つは15日に地方行政に関する別の打合せが入っているからであった。振り返ってみると1月は地域おこしに関して様々な本を読んだが、その多くは「行政をあてにしない、住民のことは民間の手で」という姿勢で論じられていたように思う。それに比べて、本書の場合は地方行政に携わる人々がわりと頻繁に出てくる。但し、行政主導での地域おこしという文脈でではなく、住民主導での地域おこしに行政側が応えるという文脈の中で出てくるのだけれど。また、行政側の特定人物が大きく取り上げられているが、これも町長や助役などの役職ででは必ずしもなく、一職員が「媒体者」になるという形での登場の仕方であった。

本書では、滋賀県甲良町、長崎県小値賀町、山口県阿武町、群馬県甘楽町の地域おこしの事例が大きく取り上げられている。どこもJICAの研修員や青年海外協力隊予備軍といった「よそ者」を受け入れ、彼らとの交流を通じて、彼ら自身の学びや行動変革だけでなく、受け入れた住民自身の気付きや行動変革も促されている。いわば国際協力を通じた地域振興が語られている。

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目標未達も許される [ブータン]

水力発電事業の進捗が経済省の業務実績に影響
Hydropower projects’ progress hamper MoEA’s performance
Kuensel、2018年2月8日、Tshering Dorji記者
http://www.kuenselonline.com/hydropower-projects-progress-hamper-moeas-performance/

農林省、年次業績評価の2目標を改訂
MoAF revises two APA targets
Kuensel、2018年2月8日、Tshering Palden記者
http://www.kuenselonline.com/moaf-revises-two-apa-targets/

教育省、年次業績評価で新たな3目標を提案
MoE proposes new targets for three APA targets
Kuensel、2018年2月9日、Yangchen C Rinzin記者
http://www.kuenselonline.com/moe-proposes-new-targets-for-three-apa-targets/

首相、外務省の業績を称賛
PM lauds foreign ministry’s performance
Kuensel、2018年2月9日、Tshering Palden記者
http://www.kuenselonline.com/pm-lauds-foreign-ministrys-performance/

公共事業省、13指標で未達のおそれ
13 indicators at risk for MoWHS
Kuensel、2018年2月9日、Phurpa Lhamo記者
http://www.kuenselonline.com/13-indicators-at-risk-for-mowhs/

2018-2-8 Kuensel.jpg

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タグ:業績評価
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『UXの時代』 [読書日記]

UXの時代――IoTとシェアリングは産業をどう変えるのか

UXの時代――IoTとシェアリングは産業をどう変えるのか

  • 作者: 松島聡
  • 出版社/メーカー: 英治出版
  • 発売日: 2016/12/06
  • メディア: 単行本
内容紹介
IoTとシェアリングは、産業を、企業を、個人を、どう変えるのか?――すべての鍵は、UX(ユーザーエクスペリエンス)にある。
▼ 5ドルPC、人差し指第二関節大のセンサー、月額数十円のMtoM通信…
IoTテクノロジーは「値段が気にならない」くらい安価で、便利で、手軽だ。
▼ UberやAirbnbは地殻変動の前触れに過ぎない。モノ、空間、仕事、輸送…
産業のあらゆるリソースがIoTで共有される、究極のリソースシェアリング社会が到来する。
▼ 垂直統制から水平協働へ――。企業・産業の枠組みを超えて協働し、
ユーザーに新しい体験を提供する、UXビジネスを創造する企業だけが生き残る。
物流改革からロボット研究、ヘルスケアイノベーション、シェアリングビジネス、トライアスロン事業までを手掛ける日本ロジスティクス大賞受賞の起業家が、今起きている変化の本質と、〈共有型経済のビジネスモデル〉を描出する。

IoT、シェアリング、スタートアップ―――近頃流行りの言葉を組み合わせて、「UX(ユーザーエクスペリエンス)」という概念提示でまとめている本。同じような議論をチェスブロウ『OPEN INNOVATION』フォン・ピッペル『民主化するイノベーションの時代』等で見かけた気がする。著者はUXを著者独自の概念だと提示しているが、語っておられる内容は「オープン・イノベーション」や「ユーザー・イノベーション」そのものである。

その点では、議論自体に目新しいものがあったわけではない。UberやAirbnbも使い古された事例で、デジャブー感に襲われることも度々。同じような議論が何度も出てくるので、読み進めているという実感がなかなか持てない中で、とにもかくにも230頁を読み切った。

どこを切っても同じような記述が頻出するわけだが、強いて挙げれば、テクノロジーの進化で、これまで不可能だった新しいことがいろいろな分野で可能になり、これを生かした新しい製品やサービスが次々と生まれ、世の中に広まった。ネットの普及で消費者・ユーザーは膨大な情報に触れ、自分に最適で最も手ごろな商品やサービスにアクセスできるようになった。そして単なるモノやサービスではなく、それらを手段として自分たち自身の喜びや満足、すなわちUX(ユーザーエクスペリエンス)を求めるようになった。産業主導の経済は終わり、ユーザー主導の経済が始まっている――という終章の記述あたりが著者の論点かな。

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『新ヒットの方程式』 [読書日記]

新ヒットの方程式

新ヒットの方程式

  • 作者: 物延 秀
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2017/11/17
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
SNS分析の第一人者が解き明かす、ヒットの仕掛け方。SNSで話題をつくりたい方必見の、ヒットのお手本が満載!知っておきたい用語もわかる!

以前、自分の名刺代わりに本を出すという方法論があることを知ったが、本書はその典型ではないかと思う。著者はスパイスボックスという会社の副社長だが、本書で使われているソーシャルメディア発のヒットの分析に使用したツールは、同社が開発したものである。その集計ツールを使えば、なぜそれがヒットしたのかというのをエビデンスで示すことができそうだ。同社のビジネス拡大には貢献する1冊だろう。

自分が今置かれている文脈の中で、今この本を読むのがどれだけ妥当性があったのかというと、1つだけ言えるのは、著者が終盤でちらっと言及しておられる通り、アジアの開発途上国は、マスメディアが発達する前にソーシャルメディアが普及してしまったので、マーケティングの考え方もソーシャルメディア中心で行かなければならないという点だろうか。確かに、この国の場合、ブータン国営テレビ(BBS)のCM枠はあまり大きくないし、クエンセルの広告欄も、あまり有効に使われているような感じがしない。「売ろう」という熱気もあまり感じない。一方でソーシャルメディアの利用の仕方はマナーもへったくれもなくて、重要な会議の最中でもスマホに目をやっている出席者が目立つ。本気でものを売りたいなら、ソーシャルメディアをうまく駆使したマーケティングのやり方はあり得るかもしれない。勿論、「本気でものを売りたいなら」という条件が付くが。

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公共図書館の惨状 [ブータン]

予算不足が公共図書館発展の妨げに
Budget constrain stunts public library’s development
Kuensel、2018年2月5日、Karma Cheki記者
http://www.kuenselonline.com/budget-constrain-stunts-public-librarys-development/

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【ポイント】
ティンプー市内唯一の公共図書館であるジグミ・ドルジ・ワンチュク公共図書館には、蔵書、家具、機材等は揃っているが、肝心の建物が手狭で、発展の妨げになっている。創設から39年が経過するこの図書館には、現在5万冊以上の蔵書と、コンピューターも20台がある。書架や閲覧机、椅子等はあるものの、現在チュバチュにある1階建ての建物だけでは狭すぎで、現在3年間のリースで、王立ブータン大学(RUB)の敷地内に、別のスペースを借りて運営されてきた。

図書館の会員数は4000人にのぼり、2000人程度が実際には利用しているのが現状。会員の7割はクラス10(高校1年生)未満の子どもである。従って、RUBの敷地というのは子どもにとっては敷居が高く、別の独立した場所に立地する方がアクセスはしやすい。RUBとのリースは昨年で切れたが、取りあえずはリース継続の予定。

図書館はこれまで、度々ティンプー市に対して増床の要望を行ってきたが、市は「予算不足」を理由にこれを却下してきた。建物の新設は2000年に初めて要望している。2015年の国際読書年には、政府にもアプローチを試みたが、政府も建物の新設は却下、代わりに2700万ニュルタムの予算を配分した。図書館はこれを図書や備品の拡充に投入したという。

2013年からは移動図書館も導入。1台のバンに5000冊の蔵書を搭載し、毎週日曜日に市内5カ所を巡回、各地で3時間とどまり、近隣の利用者にサービスを提供している。

ティンプー市のキンレイ・ドルジ―市長は、本紙の取材に答え、市は現在の1階建ての図書館の敷地に5階建てのビルを建設する考えだが、予算不足で具体化するには至っていないと述べた。

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『2018世界はこうなる』 [仕事の小ネタ]

2018世界はこうなる The World in 2018 (日経BPムック)

2018世界はこうなる The World in 2018 (日経BPムック)

  • 作者: 日経BP社
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2017/12/19
  • メディア: ムック
内容紹介
英Economistの別冊「The World in 2018」日本版の独占翻訳権を日経BP社が昨年に引き続き獲得、邦題「2018 世界はこうなる」として発行する。40カ国で毎年発行されている「The World in」は、クオリティと信頼性に富む世界予測として高い評価を得ている。今回は朝鮮半島や中国などアジア情勢、テクノロジーがビジネスやファイナンスに与える影響、といった日本読者の関心が高い記事を取り揃える。英語版からの翻訳記事に加え、著名な半島ウォッチャーによる寄稿など日本版オリジナル記事も用意する。読者は国際情勢、経済、産業を俯瞰した良質な情報を得られる。

年末に日本に帰って本屋さんに行った際、なんとなく手に取ってページをパラパラとめくってみて、ブータンのツェリン・トブゲイ首相の寄稿が載っていたので即買いしてしまった。日経BPの内容紹介には明記されていないが、このムックには「幸福」に関する特集も掲載されている。ここがメインで僕は購入した。

記事の項目は以下の通り。
◇今、幸せ?(Happy now?)
◇幸せの限界(Joy confined)
◇レ・ミゼラブル(Les miserables)
◇ビジネスに微笑みを(Making business smile)*トブゲイ首相の寄稿


このタイトルからもわかる通り、首相の寄稿は以前もご紹介した「ビジネスのGNH(Proposed GNH of Business)」試作の背景にある首相の問題意識を文章化した形になっている。この辺のことは昨年11月にティンプーで開かれたGNH国際会議の冒頭の首相演説の中でも聞いたことはあるが、文章になったもの、それも日本語に訳されたものは初めてだと思う。GNH研究者は日本にも何人かいらっしゃると聞くが、この寄稿は読んでおいても損はない。

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『ヒート』&『チームⅡ』 [読書日記]

ヒート (実業之日本社文庫)

ヒート (実業之日本社文庫)

  • 作者: 堂場 瞬一
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2014/06/05
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
日本男子マラソンの長期低迷傾向に歯止めをかけるべく、神奈川県知事の号令のもと新設された「東海道マラソン」。県庁職員の音無は日本陸上界の至宝・山城悟のペースメーカー役に、孤独なランナー・甲本剛を起用する。果たして世界最高記録達成はなるか。数多の人間の欲望と情熱を乗せたレースは、まさかの展開に―。箱根駅伝を描いた『チーム』の続編。


チームII (実業之日本社文庫)

チームII (実業之日本社文庫)

  • 作者: 堂場 瞬一
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2015/10/03
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
マラソン日本記録を持ち「陸上界の至宝」といわれる山城悟は、怪我と所属チームの解散危機で、引退の瀬戸際にいた。傲慢な山城に、かつて箱根駅伝を学連選抜チームとして共に走った仲間がサポートを申し出るが、彼は再起できるのか?熱き男たちの友情、葛藤、そして手に汗握る駅伝レースの行方は?スポーツ小説の金字塔『チーム』7年後の物語。

前作『チーム』を読んだのはいつだったかなと調べてみたら、7年前の1月だった。当時あまりランニングはしてなかったのだが、長男を連れ立って久々に3キロのマラソンを走る前に、景気づけのために読んだと当時のブログには書かれてあった。作品の舞台となった箱根駅伝から7年後、学連選抜チームの監督、メンバーのその後の姿が描かれた続編が『チームⅡ』となるが、その間にもう1つ、同じ登場人物の何名かがでてくる『ヒート』という作品もある。この3作品、勝手に「山城悟サーガ」と命名しよう(笑)。

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もうかるシェア経済(週刊エコノミスト) [仕事の小ネタ]

週刊エコノミスト 2017年08月08日号 [雑誌]

週刊エコノミスト 2017年08月08日号 [雑誌]

  • 出版社/メーカー: 毎日新聞出版
  • 発売日: 2017/07/31
  • メディア: Kindle版
内容紹介(特集部分のみ)
〔特集〕もうかるシェア経済
個人のモノ、空間、スキル 人生を変える起爆剤に/ポルシェを1万円でレンタル 過疎地も相乗りで助け合い/「家事で稼ぐ時代 副業で「生きがい」見いだす/(金融を変える)映画も料理も資金調達/注目企業5分野40社/Q&Aでわかるシェアリング・エコノミー/(国内シェア経済)市場規模は1兆1800億円/民泊新法で企業が続々参入/(中国)シェア利用が個人の「信用」創造/(東南アジア)グラブ、オラなど地元企業が躍進/(米国)医者と患者をつなぐウーバー型モデル/(不安定な雇用)急増する「クラウドワーカー」/労働の「価格破壊」が続く

少し前に『はじめようシェアリングビジネス』というムックをご紹介し、その中で「ビジネス」という言葉を使ったことへの違和感を述べた。「ビジネス」という以上は、プラットフォーム提供者としてのビジネスか、他者が提供してくれたプラットフォーム上で行うビジネスか、どちらのことを言いたいのかが不明で、いろいろなシェアリングビジネスがあることはわかったけど、自分が「ビジネス」をやりたいと思うのかといえばそうではなく、むしろ少額の利用料を払って「かゆいところに手が届く」ようなサービスを受けたいという程度で十分であるように思えた。ライドシェアなんて、利用できればマイカーを買う必要もないわけで、経済的には助かるし、車の台数の抑制にもなるので、社会全体にとってもメリットがありそうだ。

だから、「シェアリングビジネス」と言われることには違和感はあるが、「シェアリングエコノミー」とか「シェア経済」と言われるのはすんなりと受け容れられる。半年も前の週刊エコノミストの特集だが、今の経済のトレンドを客観的に捉え、参加や起業云々の慫慂にまでは踏み込んでいない編集には、前述のムックよりも好感は持てた。

面白いなと思ったのは、この特集の最初の記事「個人のモノ、空間、スキル 人生は社会を変える起爆剤に」の冒頭で出てきたホームアウェイ社とせとうちDMOの提携。つかみでこれが出てきたので、カバー範囲がムックよりも広いと直感した。

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これからの5年間(ティンプー) [ブータン]

住宅、水問題がティンプーの最優先課題―報告書指摘
Housing, water issues top priorities for Thimphu, finds report
Kuensel、2018年1月24日、Phurpa Lhamo記者
http://www.kuenselonline.com/housing-water-issues-top-priorities-for-thimphu-finds-report/

【ポイント】
ティンプー市がまとめた構造計画(TSP)に対する戦略的環境アセスメント(SEA)報告書のドラフトがこのほど公表された。SEAは、公共事業省、全国環境委員会(NEC)、GNH委員会の共同作業として2017年6月から始まり、最終報告書は今年6月には完成する予定。1月23日に開催された公聴会で、ドラフトの概要が明らかになった。

この中で、ティンプー市は2017年現在99,655人だった総人口が今後10年間で16万人に増加し、1日310万リットルの水が不足するとの予測が提示されている。現在でも同市では、1日24時間水供給を受けているのは全世帯の30%程度しかない。残りの70%は、1日3時間から8時間の時間給水しか受けられない。このため、報告書は、水源の保全、節水への市民の啓発、既存配水網の強化、ティンプー水安全計画の実施などを提言。

SEAでは、インフラ開発、居住環境、財・サービス供給、廃棄物、交通、障害物リスク、資源活用状況等が評価対象とされた。

報告書では、10年後の市の総人口が16万人の場合と20万人の場合の2つのシナリオを想定。最悪シナリオの場合、固形廃棄物排出量は現在の1日99トンから124トンに増加、車両台数は43,843台から87,989台へと倍増する。市民5人につき2台保有の計算。

2018-1-24 Kuensel01.jpg

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