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『里山産業論』 [仕事の小ネタ]

里山産業論  「食の戦略」が六次産業を超える (角川新書)

里山産業論 「食の戦略」が六次産業を超える (角川新書)

  • 作者: 金丸 弘美
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2015/12/10
  • メディア: 新書
内容(「BOOK」データベースより)
「食の戦略」で人も地域も社会も豊かになる! 地域のブランディングを成立させ、お金も地元に落とせるのは補助金でも工場でもなく、その地の“食文化”である。それこそが人材を育成し、雇用も生みだしていくのだ。「食の戦略」で育まれた人は、都市にとっても創造的な人物として得難い存在となる。ロングセラー『田舎力』の著者が放つ、新産業論。

「里山」と付けば売れるという本かと思いながら、でも気になって1冊買ってブータンに持ち帰った。理由は『宮本常一 旅の手帖-愛しき島々』のケースと同じ。本書第5章「食文化を仕掛ける」の前半部分が、島根県隠岐諸島の海士町に関する記述だったからだ。昨年何組かの視察チームがブータンから海士町を訪れていて、うち2人ほどが見てきたことをクエンセルに寄稿しているが、それを読むだけでは彼らが海士町で何を見てきたのかという全体像がよくわからなかった。それを補う上で、本書の第5章前半の記述は非常に参考になった。この部分を全文英訳しても、結構説明に使えそうなコンテンツになると思う。

以上が購入の同期だったのだが、同じ視察旅行のことについては、本書第1章にやや慎重な記述もあった。第1章「日本の根強い誤解と失敗」では、その通り、これまで我々が地域おこしの取組みの中で犯してきた失敗のパターンを列挙したもので、「産品を出す側の都合のよいようになっていて、買う側の視点が抜けていた」(p.19)とか、「専門用語の使いすぎ」という中で例示されていた「エコツーリズム」(p.31)とか、「売れない伝統工芸」(p.37)とか、今のブータンの観光振興や中小零細企業振興等の取組みを見ていて同じく感じるところの指摘も多かったが、中でも耳の痛い指摘は、「うわべだけの視察、補助金で失敗」(p.51)だった。

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