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トブゲイ首相の国連総会演説2017 [ブータン]

我々の福祉は危機に晒されている:首相
Our wellbeing is at stake: PM
Kuensel、2017年9月25日、Rinchen Zangmo記者
http://www.kuenselonline.com/our-wellbeing-is-at-stake-pm/

2017-9-25 Tobgay.jpg

【抄訳】
ニューヨークで開催中の国連総会において、9月22日、ツェリン・トブゲイ首相が演説を行い、気候変動に対処し、貧困とテロを根絶する必要性を強調した。

首相は、内陸国山岳国であるブータンが気候変動の影響を受けやすいと述べた。 「それが、気候変動の根本的な原因ともいえる、無分別な環境劣化を我々が警戒している理由である」という。

彼は、パリ協定締約国に対し、気候変動への取組み公約を果たすよう、強く求めた。 「今こそ行動する時である。我々の幸福は瀕死の状態にあり。将来世代の生存は危険にさらされている」

彼は、ブータンの72%が森林に覆われていることにも言及した。 「我々は世界で唯一の炭素中立の国である。実際のところは、炭素吸収国となっている」と述べ、同国がクリーンな再生可能エネルギーを作り出し、輸出し、グリーン産業や有機農法に投資していると付け加えた。

また、首相は、国連が気候変動対策、貧困撲滅、世界平和と繁栄の維持に重要な役割を確実に果たすため、ブータンが他の加盟国と協力するとのコミットメントを再確認した。

首相は、世界自然保護基金(WWF)との協力で立ち上げた「生命のためのブータン(Life for Bhutan)」というプログラムが、革新的な資金調達メカニズムであることにも言及、この制度が政府が保護の全額を負担することができるまで豊かな生物多様性を保全することを可能にするものだと述べた。「気候変動との戦いは複雑で、費用がかかるものとなる」という。

さらに、彼は、多次元貧困は半減していると強調 「今後数年以内に、さらに5%に減らすことができるだろう」と付言した。

気候変動対策と同様、貧困の根絶は複雑で膨大な費用を必要とするものだと付け加えた。「 ある見通しによると、極度の貧困を撲滅するためには、1年にわずか1750億ドルしかかからないという。それは現在の世界GDPの0.32%に過ぎない。これは良い知らせである。」

首相は、国際的なテロ対策への取組みに参加するため、ブータン軍と警察官が現在、11の国連平和維持活動(PKO)に従事していると述べた。さらに彼は、世界の平和と安全は共通の懸念事項であり、共通の責任であると述べた。 「テロ集団による恐ろしい行為は、世界の平和と安全を損なうものであり、ブータンはこれらの過激派と戦うため、国際的な集団行動の要請に応えていきたい」と述べた。

最後に、首相は、持続可能な開発のための2030年アジェンダの要求に応えていくために、国連事務総長が取り組もうとする国連改革イニシアティブに対する支持を表明した。

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タグ:SDGs 国連 首相
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コミュニティ・マッピングの有効性 [ブータン]

コミュニティ・マッピングが住民参加を促す
Mapping encourages community participation
Kuensel、2017年9月14日、Phurpa Lhamo記者
http://www.kuenselonline.com/mapping-encourages-community-participation/

【ポイント】
ブータンメディア開発センター(BCMD)が9月8日、パロで開催したセミナーに、パロ教育大学と市内4つの学校が参加し、パロのコミュニティが直面する課題に対処するための事業提案が発表された。紹介された5つの事業提案は、湧き水水源の保全や学校の天蓋の補修、公共スペースにおける公衆トイレの新設、水不足問題へのソリューション、学校構内の排水システムの改善。

5つの学生・生徒グループは、7月、BCMDがパロの教員16名を対象に実施したトレーナー研修の後、研修修了者が行うコミュニティ・マッピングの始動を受けた。これに基づき、学生・生徒たちは街に繰り出し、コミュニティ・マップの作成に取り組む中で、地域の課題を炙り出し、実行可能なソリューションを検討した。

BCMD関係者によれば、こうしたボトムアップ型のアプローチは開発をより参加型に導くという。5つの事業提案は、BCMDから事業実施に向けた資金提供がなされ、実際の実施の結果は11月には報告される見込み。

なお、同セミナーには日本の関西大学の草郷孝好教授も参加、人口高齢化や農村・都市間人口移動の問題を、どのようにして日本が住民参加を促進し、農村部への住民の帰属意識を高めていったのかについて講演を行った。草郷教授によれば、日本とブータンとでは発展段階は異なるが、発展の方向性は同じだという。コミュニティ・マッピングのような取組みは、若者を教育し地域の福祉の重要性を理解させるのには有効。小さな取組みだが大きな変化をもたらすものだと強調。

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ブータンでコミュニティ・マッピングをやると聞き、教育目的にはまあいいにせよ、本当に住民参加というのがそれで促進されるのかどうかは、対象地域の特性にもかなり左右されるのではないかという気がした。どこでこれをやるのかがミソだろうが、聞けば昨年のテストでは、プナカ県ゲムカ村、ティンプー県クズチェン村(Kuzhugchen)、パロで試行されたという。訪れたことがないので確たることは言えないが、集落がバラバラで住民参加が得にくいという声も聞くブータンで、この手法がどこでも有効なのかはよくわからない。実際、この手法を取り入れてみてこれらの地域が大きく変わったのかどうかは、もうちょっと長い期間を置いてみてみないといけないのだろう。

ちなみに、関西大学の草郷孝好教授は、文科省の科研費を使ってこの研究をされている方らしい。
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-26570014/

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