『誰がアパレルを殺すのか』 [シルク・コットン]
内容(「BOOK」データベースより)
大きな転換期を迎えたアパレル業界。この産業を衰退に追いやった“犯人”は誰か。サプライチェーンをくまなく取材し、不振の真因を、ついに突き止めた!
ベストセラーになったビジネス書を紹介する。元々日経ビジネスの特集記事だったものを、書籍版に改訂したのだそうだ。
衣料品が売れなくなった、業況が悪化している―――これは、親交があるこの業界の方からも会って飲むたびに聞かされる最近の話であった。そういう状況の中で、どこまでCSRを頑張れるのか、業況悪化したらさっさとCSRから手を引くのか、僕には非常に気になるところだが、知人からこの話を聞かされるたびに、まあ一時的なものなのではないか、業況も、悪い時もあれば良い時もあるのではないか、などと安易に考えていたところがあった。
ところが、本書を読んでみると、話はそんなレベルではない、もっと構造的なもので、業界大手が相当ドラスティックに変わっていかないと、退出する企業が続出するのではないかと思うようになった。ショッキングなタイトルに対する著者の答えは、戦後復興期から発展を遂げてきた従来型のアパレル企業が、高度成長期からバブル期に至る過程で得た成功体験から脱却できず、思考停止に陥っているのだと述べている。
逆に、そうした成功体験を経ていない新興企業は、業界の内輪の論理にとらわれず、自由な発想でサービスを展開し、実績を上げているという。衰退したといわれるアパレル産業の中にも、生き残っていける企業はあるというのも著者の強調しているポイントだ。