『母の待つ里』 [読書日記]
内容紹介【購入】
40年ぶりにふるさとに帰ると――。感動の傑作長編!
「きたが、きたが、けえってきたが」
40年ぶりに帰ってきたふるさとには、年老いた母が待っていた――。大手食品会社社長として孤独を感じている松永徹。退職と同時に妻から離婚された室田精一。親を看取ったばかりのベテラン女医・古賀夏生。還暦前後の悩みを抱えた3人が、懐かしい山里の家で不思議な一夜を過ごすと……。家族とは、そしてふるさととは?すべての人に贈る、感涙必至の傑作長編。ふるさとを想う人、ふるさとに帰れぬ人、ふるさとのない人。ふるさとをあなたに――。
8月末、右目の白内障手術を受けた。しばらくは車の運転はNGだと言われ、仕方ないので僕は通勤にはバスを利用している。職場は駅の西側、さらに信濃川を渡った川西にある。そして僕の宿舎は駅の東側、国道17号よりもさらに東側で、もう少し東に行くと盆地の外輪山に到達する。距離としては約7㎞。当然、この区間を1本でつなぐバス路線はない。駅でバスを乗り換えるが、乗り継ぎがうまくいかないと1時間以上かかってしまう。
そうなると、バスの車内だけでなく、バス停での待ち時間、乗り継ぎの時の待ち時間をどう過ごすかが大きな問題となる。ついでに言えば、術後の経過観察もあって眼科には毎週通わなければならないが、その待ち時間もある。
手持ち無沙汰になるので、何か小説でも読もうと考え、先週末、術後の検診で眼科に行った後、駅ビル内の書店を物色し、平積みになっている浅田次郎の新刊が目についたので買ってしまった。2年ほど前に単行本で出たらしいが、最近文庫化された。それに、8月のお盆の時期に、こんなタイトルの本を出されたら、どのようなストーリーであろうと手に取ってしまうだろう。
面白かったかと聴かれれば、面白かったことは間違いないのだが、なんか、思っていたのと違う展開だった。展開が今風なのだが、こういうビジネスが本当に存在しているのだとしたら、ちょっと悲しい気がしてしまう。あまり書くと著しくネタバレになってしまうので、これくらいにとどめておく。浅田次郎作品をそんなに読んでいるわけではないが、過去に読んだ作品とは著しく異なる。ひと言で言えば、繰り返しになるが「今風」であり、浅田次郎ってこういう作品も描くんだというのが新鮮だった。
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