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『笑う森』 [読書日記]


笑う森

笑う森

  • 作者: 荻原浩
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2024/05/30
  • メディア: Kindle版

内容紹介
5歳の男児が神森で行方不明になった。同じ一週間、4人の男女も森に迷い込んでいた。拭えない罪を背負う彼らの真実と贖罪。
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このブログの記事でもたびたび示唆している通り、僕は5月初旬に東京から長岡に生活拠点を移した。ただ、それ以前から始まっていた研修の実習が毎週末横浜で行われており、これに出るために5月は毎週末東京に戻り、長距離バスで横浜通いを続けた。こうソーシャルメディア上で書いていれば、本作品で出てくる拓馬のような「特定のプロ」だったら、僕の素性は一発でわかるに違いない(笑)。

幸い、横浜通いは先週で終了したので、週末の深夜バスで僕の姿を見かけることはもうあまりないと思う。今となっては笑い話で済ませられるが、横浜通いをしていた頃は、アサインメントをクリアするのに追いまくられて精神的に相当追い詰められていた。加えて、ふだん睡眠時間を削って深夜まで机にへばりついて作業していたので足腰が弱くなってもいたので、いつエコノミークラス症候群になるか心配でたまらなかった。そのくせ、5月で職場が切り替わったので、新しい健康保険証が手元に届いたのは5月20日過ぎだった。よく無事で過ごせたと思う。

さて、深夜のバスの車中では社内消灯で当然読書などはできないが、待ち時間でなら読書はできる。そのため、手が寂しいと感じた時は図書館で文庫小説を借りるか書店で新刊小説を購入してそれを旅のお供に携行するようなことも何度か行った。

荻原浩さんの新作を知ったのは、横浜通いの最後の週末だった。ふだんと違って金曜日には現地入りして実習を受けた後、週末を挟んで月曜日にも補習があったので、土日は東京の自宅で過ごした。

土曜の朝に自宅でグダグダしている状況なんて、本当に久しぶりだ。ゆっくり起きたわけではなかったが、早々に朝食を済ませてテレビで『王様のブランチ』を観た。そこで紹介されていたのが本作品で、しかも荻原さんへのインタビュー付きだった。

この5カ月間、そういう世の中の動き全般に疎かったので、全然知らなかった。ただ、わりと荻原作品は読んでいる方だったし、面白そうだったので、これも何かの縁だと思い、自宅周辺の書店で探してみて、なかったので週明けに横浜の有隣堂で見つけて1冊購入。読み始めたのは数日後であった。

疲れていて読み始めるとすぐに眠気が襲ってきて、たった数ページで寝落ちしてしまうことが続いた。なかなか読み進めることができなかった。主役となる5歳の真人はともかく、この真人が1週間森の中をさまよい歩くうちに出会った男女5人と、母親の岬と叔父の冬也―――少なくとも7人の登場人物が一人称で登場する。その分頻繁に場面が切り替わる。だから、切りのいいところで読書を中断することも容易にでき、それがペースが上がらない原因にもなったかと思う。

富士の樹海のような、木以外に何もないような場面で、さまよう真人と他の大人5人との出会いの場面を分かりやすく描くのは難しいと思う。読んでいる側でもなかなか状況をイメージしづらく、特に疲れていて集中力に欠ける状況ではますますそうなるだろう。

でも、なかなかペースが上がって来ない状況が250頁あたりまで続いた後、自分の置かれた状況が大きく変わった。ずっと緊張が強いられ、横浜通いで取り組んでいたプロジェクトが、先週金曜日にプレゼンを迎え、それがようやく終わったのだ。読書に充てられるまとまった時間ができ、最後の150頁はカフェや自室でまとめて3時間ぐらいかけ、一気に読み切った。

元々は面白い展開を持った作品だったのだ。

それを生かすも殺すも、結局のところ読む側の僕たちがどれくらいその作品を受け入れられる状況にあるのかにかかっている。つくづくそう思い知らされた。よくよく考えたら、これくらいのボリュームの作品なら、乗ってきたら2日で読み切ることすら以前はやっていたのだから。
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