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『十の輪をくぐる』 [読書日記]

十の輪をくぐる (小学館文庫 つ 14-1)

十の輪をくぐる (小学館文庫 つ 14-1)

  • 作者: 辻堂 ゆめ
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2023/12/06
  • メディア: 文庫
内容紹介
認知症の母が呟いた家族の「秘密」とは。
スミダスポーツで働く泰介は、認知症を患う80歳の母・万津子を自宅で介護しながら、妻と、バレーボール部でエースとして活躍する高校2年生の娘とともに暮らしている。あるとき、万津子がテレビのオリンピック特集を見て「私は……東洋の魔女」「泰介には、秘密」と呟いた。泰介は、九州から東京へ出てきた母の過去を何も知らないことに気づく。51年前。紡績工場で女工として働いていた万津子は、19歳で三井鉱山の職員と結婚。夫の暴力と子育ての難しさに悩んでいたが、幼い息子が起こしたある事件をきっかけに、家や近隣での居場所を失う。そんな彼女が、故郷を捨て、上京したのはなぜだったのか。泰介は万津子の部屋で見つけた新聞記事を頼りに、母の「秘密」を探り始める。それは同時に、泰介が日頃感じている「生きづらさ」にもつながっていて──。1964年と2020年、二つの東京五輪の時代を生きる親子の姿を三代にわたって描いた感動作。いま最も注目を集める若手作家・辻堂ゆめによる圧巻の大河小説!!
【コミセン図書室】
先週、恒例の週末帰京を行った際、時間があったのでコミセン図書室で本を3冊借りた。その時は6月8日の週末も東京に戻るつもりでいたので、貸出期間2週間なら3冊読めると見込んだのだが、その帰京が不要となったため、どうしてもこの週末に返却してしまう必要が生じた。このため、コミセン図書室で借りた3冊どころか、市立図書館で借りた4冊も軒並み返却を今週中に済ませる必要が出て来て、僕は先週末に新潟に持って帰った本を、全部今回東京に持ち帰った。実際のところ、読み終えることができたのは2冊のみ。市立図書館で借りた4冊のうち、2冊は参考書なのでまあいいとして、5冊を1週間で返却しなければいけなくなった。結局読めたのはうち2冊のみ。残る3冊は泣く泣く返却した。

本作品は作家も初めてだし、あまり期待もせずに借りた。借りた理由は、主人公・泰介が僕自身の年齢と近く、かつ母・万津子の年齢もうちの母と近いと感じたからだ。万津子は51年前に尾張一宮の紡績工場に集団就職で来て勤めていたが、うちの母もお隣りの岐阜の紡績工場に勤めていた。中卒か高卒かの違いはあるが、登場人物の設定としてちょっと共感するところがあったのだと思う。

ただ、泰介の自己中心の傍若無人ぶりは、読んでいて嫌悪感がひどすぎてつらかった。3歳の頃の泰介も、58歳の現在の泰介も、どちらもそんな調子で、本編を通じてあまりいいキャラクターとしては描かれていない。「落ち着きがない」「人の話を聞かない」「言い出したら聞かない」等は僕も小さい頃には言われたことがあったが、普通は大人になっていけば気付くだろう。そこを還暦近くまで気付くこともなく過ごしてきてしまい、家族や職場の同僚を困惑させている姿は正直引く。

そういう、読みづらさをある程度覚悟して読む必要はあると思う。

それを差し引けば、読んでよかったと思える作品だった。自分の母の紡績工場での生活とか、たぶんそうだったんだろうというのが垣間見えた気もしたし、自分自身の子どもの頃ってこうやって毎日近所の子どもたちと連れ立って遊んでいたんだよなっというのを思い出すいい機会にもなった。
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