『指導者のエゴが才能をダメにする』 [ベースボール]
内容紹介【Kindle Unlimited】
間違いだらけの野球観を捨て、『本物の野球』を学べ/その教え方が、選手を潰す!/「投球制限」に過敏になるな/“褒める"教え、一辺倒への違和感/抽象的なアドバイスは百害あって一利なし<br> 野球競技人口が年々減少していく中、特に未来のプロ野球選手を育てる“指導者"が果たす役割は大きくなっている。選手一人一人の将来に向けて、勝ち負けだけにとらわれず、どのように教えるか。指導者としてあるべき姿、基本をまとめたのがこの1冊だ。具体的な技術論から、選手を教える上で指導者が心得るべきリーダー論まで、野村元監督の野球人生における経験をすべて凝縮した1冊になっている。
僕の贔屓の中日ドラゴンズは、今期も最下位独走中である。投手王国と言われているが、昨夜はソフトバンクとの交流戦初戦で中継ぎの橋本侑樹投手が三者連続死球というとんでもない記録を打ち立てて惨敗。交流戦すら浮上のきっかけになりそうもない状況だ。
成績不振の原因をすべて監督のせいにするつもりはないが、とはいえ、2021年秋に立浪和義氏の監督就任が報じられた後、秋季キャンプで監督自らが選手に打撃指導を始めたとの報を目にして、「やばいかも」との不安を抱いた。中村紀洋コーチも自身の打撃理論にはこだわりのある人なので、それぞれの理論が合わない時はどうなるのだろうかと思っていたら、中村コーチは一軍から二軍へと配置転換となった。
立浪監督が選手の打撃フォームに口を出しすぎるとか、彼は彼なりの「良い打者」の理想像というのがあるとか、メディアや解説者がいろいろ報じると、ヤフーコメント欄にはよく、昔ノムさんが言ったといわれる逸話がよく言及される。
曰く、選手はひとりひとり体形や体格が異なるので、1つの打撃フォームがすべての選手にとってベストの打撃フォームであるわけではない。だから、自分が特定の打撃フォームにこだわってもしょうがないし、自分には打撃指導はできない―――そんなニュアンスだったと思う。
このノムさんの逸話はどこからの引用なのかなと興味を持ち、Kindle Unlimitedの書籍リストを物色していてたまたまこの本を見つけた。このタイトルには惹かれた。まさに、立浪監督へのアンチテーゼなのではないかと思えたので、読んでみることにした。
結論から言うと、このタイトルだけで本書の内容が一貫しているわけではない。おそらくどこかのメディアでずっと連載していたものをまとめて本に編集し直したのだろう。前述の逸話も、本書の記述の中からは見出すことができなかった。1つ言えるのは、指導者目線で選手をどう育てるのかというのが一貫して論じられているという点だが、本書を読みながら、監督として、コーチをどう育てるのかというのも描けているようにも感じた。
ここまでの指導者はなかなかいないと思う。ノムさんの薫陶を受けることができた選手や指導者は幸せだなとも思う。立浪監督が現役時代や解説者時代に、どの程度ノムさんとの接点があったのかはわからないが、もうちょっと、コーチを信じて任せるとか、選手を信じて任せるとか、そういうのができないものかと思ってしまう。そもそも、解説者的談話はやめて欲しい。試合の中で、その局面でその選手を起用し、その戦術を選択したことには、監督なりの考えがあってのことだろう。それが監督の考えに基づくベストな選択であったはずだ。それがうまくいかなかったのなら、結果責任は監督が負うべきだ。
本書の中で、南海ホークスの監督時代、代打の成績がすごく良かった選手との会話のエピソードが出てくる。「自分を起用するのは監督の考えがあってのことで、その結果に対する責任は監督が負うんでしょ」と選手が考えていたという話を読むと、昨日の試合のあの場面での橋本投手の精神状態はどうだったのか興味が湧くし、そういう精神状態で登板に至るまでの過程の中で、橋本投手にかかっていた心理的圧力があったのかなかったのか、監督やコーチとどんな会話を交わしていたのか、そういったところにまで思いをはせてしまう。
結果的に橋本投手はこの一件があってファームでの再調整が宣告されてしまったが、それまで何イニングも無失点で抑えてきた彼を、この一件だけでファームに落とすという選択も、どうなんだろうか。1回の失敗も許されないというような、よからぬプレッシャーを選手にかけてしまっているようにも思えるのだが。
まあそれはともかく、以前から明言している通り、2023年シーズンまでは、僕は日本にいないから、ドラゴンズがいくら下位に低迷しようと、ファンとしては目はつむる。すべては2024年シーズンのため。2024年シーズンに強いドラゴンズを見たいから。あえて厳しいことは言わせてもらった。
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