この伝統的民具を残すには [シルク・コットン]
【抄訳(www.DeepL.com/Translator(無料版)翻訳を筆者編集)】
ペマガツェル県ドゥンミン・ゲオッグで最も遠隔地のチオッグの1つがバンギュルである。集落の先祖たちは綿花畑で働き、衣服を自分たちで織っていた。近年はBangyul Kapa Detshenだけがその伝統を守っていたが、新型コロナウィルスの大流行で彼らもまた活動停止を余儀なくされた。そんな彼らが、現在、活動を再開している。
手作業で綿糸を加工するのは容易ではないが、それは過去のこと。新しい機械は、Bangyul Kapa Detshenの新しいマンパワーとなり、メンバーが事業に戻ってくる求心力となった。
「この機械が来てから、1年分の紡績と梳毛を1日で終わらせることができるようになりました」(タシ・チョデン会長)
「機械で梳いた綿花から糸を紡ぐのと、手作業で紡ぐのでは雲泥の差があります」(メンバーの1人、シャンキさん)
「種取りと梳毛を機械で行うと、繊度が一定した糸を紡ぐことができるんです。だから、織ったときにきれいな仕上がりになります」(メンバーの1人、ワンモさん)
こうして新しい機械は、Bangyul Kapa Detshenに希望を与えた。生産量が増え、収入を得る希望の灯りをともしたのだ。
「コロナの影響で数年間綿花の栽培ができず、製品を作ることができませんでした。今年こそは栽培を再開したい。そして、メンバーも増員しました。機械が手に入れば、他の農作業も同時に行えますから」(会長談)
このグループは、主にティンプーで糸を販売している。また、注文を受けて完成品を作ることもある。この生産者組合には現在、5人のメンバーがいるが、近々7人が加わる予定。タラヤナ財団は、2019年に村の地場製品の普及と女性のエンパワーメントを目的にこの生産者グループを結成した。同グループは2021年、APIC(地場工芸品振興機構)から自動種取り機を2台、タラヤナ財団から梳綿機を1台供与された。
サンチャイ★ブログの方では、今月あまりにも記事のアップを怠っていて、本当に申し訳ありません。今月、10本記事が上げられるのだろうかとちょっと心配になって来ました(笑)。長い連休もあるので、今週はちょっと頑張ろうかなと思っています。
先ずご紹介するのは、2月17日(金)のBBSで報じられたペマガツェルのコットン生産のニュース。ペマガツェルでBBSといえばお馴染みのティンレー・ドルジ通信員のレポート。これまで行われていた手作業が機械導入によって省力化され、コットン生産者の生活に余力をもたらしたというポジティブな内容だ。
ドゥンミン・ゲオッグというのは聞きなれないが、ペマガツェル県でコットンといったら最初に思い浮かぶのはチョンシン・ゲオッグのトンサ村だが、そこからは比較的近い。このエリアでは、APICがコットン生産クラスターの振興を図っていて、そのアプローチはまさに電気駆動の種取り機や梳綿機の導入による作業の省力化にあるので、記事の内容にはそれほど目新しいものがあるわけではない。
ただ、1つだけ書き添えるとしたら、このBBSのHPの記事に載っている2つ目の写真は、繰糸機だと思うが、この種取り(ジニング)、梳綿(カーディング)の次にある繰糸(スピニング)の工程についてはBBSの報道では何ら言及がされていない。数年前にティンプーのAPICの事務局を訪問した際、電動繰糸機のプロトタイプを見せてもらったことがあるが、APICはまだその実装にまでは至っていないのだろうか。
この繰糸機の小型化とか、うちのファブラボでもやれたら面白いのかもしれないが、現場が遠すぎるし、外国人の僕たちがリードしていては現地までの移動に制約が相当かかるので、難しいだろうなと思う。可能性があるとしたらブータン側の教職員や学生がその気になってくれることだけれど、考えてみてもそれは難しいだろうなあと苦笑せざるを得ない。
いっそのこと、ペマガツェルに近いところにファブ施設でもできたらと考えたりもするが、15分程度でも「遠い」と感じるブータンの人が、たとえシェラブツェ大学やデワタンあたりにファブラボがあったとしても、わざわざペマガツェルの奥地まで行くかといえば難しいだろうなぁ。
繰糸機の小型化電動化は面白いと思うが、もう1つ、この伝統的な民具が今後どうなっていくのかという点もやや危惧するポイントである。これらの民具は地元の男性がこさえていて、補修も彼らが行っているが、若い男性は皆、村外へ出稼ぎに出ていて、この生産・補修を担っているのはお年寄りばかり。このスキルはおそらく若い世代に継承されて行かないだろう。
こうした民具のデジタルデータ化とアーカイブ化の必要性も感じる。自動繰糸機の試作か、伝統的民具の複製による延命策か、どちらのアプローチもファブラボの施設能力ならできるような気がするのだが、現場が遠いとなかなか取組みを実現させる手段が見当たらなくて悩ましい。
今年7月にブータンがホストする第18回世界ファブラボ会議(FAB23)の目玉の1つは、こうした伝統工芸とファブの融合であるべきだと僕は思っているけれど、現場が遠すぎるとこの期間中に何かしらのインパクトを残すというのは難しい。今は答えのない問いなのだけれど、忘れないようにはしていたいと思い、本日はこの報道をご紹介した。
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