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『世界史を大きく動かした植物』 [読書日記]

世界史を大きく動かした植物

世界史を大きく動かした植物

  • 作者: 稲垣 栄洋
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2018/09/21
  • メディア: Kindle版
内容紹介
一粒の小麦から文明が生まれ、茶の魔力がアヘン戦争を起こした――。人類は植物を栽培することによって農耕をはじめ、その技術は文明を生みだした。作物の栽培は、食糧と富を生み出し、やがては国を生み出した。人々は富を奪い合って争い合い、戦争の引き金にもなった。歴史は、人々の営みによって紡がれてきたが、その営みに植物は欠くことができない。人類の歴史の影には、常に植物の存在があったのだ(本書の「はじめに」より)。 【本書の目次より】コムギ――一粒の種から文明が生まれた/イネ――稲作文化が「日本」を作った/コショウ――ヨーロッパが羨望した黒い黄金/ジャガイモ――大国アメリカを作った悪魔の植物/ワタ――「羊が生えた植物」と産業革命/チャ――アヘン戦争とカフェインの魔力/ダイズ――戦国時代の軍事食から新大陸へ/チューリップ――世界初のバブル経済と球根/サクラ――ヤマザクラと日本人の精神……
【Kindle Unlimited】
今から20年以上前、僕がまだブログというものを知らなかった時代、エリック・ドゥルシュミート『ヒンジ・ファクター』『ウェザー・ファクター』という2冊の本を読んだことがある。それぞれ、「幸運と愚行は歴史をどう変えたか 」「気象は歴史をどう変えたか」というサブタイトルが付いており、どちらも面白くて一気に読んでしまったのを覚えている。アラフォーの時代から、僕はそこそこの読書愛好家だったのだ。

それ以降も、「〇〇の世界史」という類の、何らかの切り口をもって世界史(時には日本史)を解説する本に出会うと、なんとなく読んでみたくなる自分がいる。要は歴史が好きなのだ。ましてや、そんなタイプの書籍がKindle Unlimitedで読めるとあらば、飛びつかない手はない。

本書で扱われている植物は以下の通りだ。「コムギ」「イネ」「コショウ」「トウガラシ」「ジャガイモ」「トマト」「ワタ」「チャ」「サトウキビ」「ダイズ」「タマネギ」「チューリップ」「トウモロコシ」「サクラ」———。海外駐在生活、あるいはこれまでに自分が関わった仕事の中で、接点があった植物が結構多い。「トウガラシ」「ジャガイモ」「トマト」などは中南米起源らしいし、「タマネギ」は中央アジア起源らしいが、それらをいずれも今住んでいるブータンで見かけるというのには、ちょっとしたらロマンも感じる。伝播の歴史がきっとある筈なのだ。「ワタ」はその起源と言われるインドでの仕事でお世話になった。

「世界史」といいつつ「日本史」に終始する章もあったのだけれど、主要作物は網羅されていて、どこが起源でそれが全世界に広まっていくプロセスそのものが世界史と非常に密接に関連していて、世界史の復習のような感じで楽しく読める。ポッドキャストで愛聴している「COTEN RADIO」では未だ扱われていないが、こういう切り口での歴史のレビューもいいかも。トウモロコシって言われてみればそうだよなと妙に納得するところがあったし、それらを発酵させて作られるお酒の歴史とかも面白そう。

欲を言えば、「ダイズ」の章に「味噌」「醤油」への言及があれだけあるのであれば、「納豆」への記述もあっても良かったのではないかと思う。また、「チャ」があるのなら「コーヒー」というのも別章建てであってもよかったのではないかとか、「チャ」との関連で「アヘン」への言及があるわりに、今でも世界に影響を相当及ぼしていると思われる「ケシ」とかへの言及が欲しいとか、どうせなら「ソバ」もあっても良かったのではないかとか、言い始めたらきりがない。

ヒンジ・ファクター―幸運と愚行は歴史をどう変えたか

ヒンジ・ファクター―幸運と愚行は歴史をどう変えたか

  • 出版社/メーカー: 東京書籍
  • 発売日: 2023/01/18
  • メディア: 単行本

ウェザー・ファクター―気象は歴史をどう変えたか

ウェザー・ファクター―気象は歴史をどう変えたか

  • 出版社/メーカー: 東京書籍
  • 発売日: 2023/01/18
  • メディア: 単行本


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