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マジですか?外国人教師受入再開 [ブータン]


【抄訳(www.DeepL.com/Translator(無料版)翻訳を筆者編集)
2022年は、2021年の2倍以上となる868人の教員が退職し、過去最多の退職者数となった。868人のうち、校長・教頭24人を含む正規教員の自主退職は434人。うち323人は契約が終了した契約教師で、50人は年金退職、37人は解雇か死亡だった。2021年の正規教員の自主退職は224人だったのに対して、2022年の正規教員の自主退職434人は過去最高。

若い教員もいるが、経験豊富で教科の専門家でもある教員も多く、最も痛いのはこうした正規教員の喪失である。その多くはSTEM分野の教員である。

教育大臣は、2023年1月までにもっと多くの教師が辞めてしまう可能性があることを懸念している。2023年については、先に契約満了した323名の教員が査定後に再募集されるため、教員数についてはどうにかなるかもしれないが、何名が戻って働きたいかはまだわからないという。教育省は、ブータン公務員試験を通じて467人の新任教師を採用した。
《後半に続く》

2023年1月7日付のタブロイド紙The Bhutaneseが扱っていた第一面記事である。教員が退職する傾向は前からあったが、パンデミック後の移動制限緩和やオーストラリア政府のビザ発給再開などもあって、2022年が過去最大となるだろうというのは予想はされていたと思う。でも、教育省が外国人教員採用を検討とヘッドラインにあったのには驚いた。

STEM科目の教員が多いと記事にはあるが、おそらく「IT」を教えていた教員の退職数だけを集計したものと思われる。ブータンでは「STEM=IT」という捉えられ方が一般的で、理科や算数、アートなど、他の科目にSTEM要素を加える取組みまでは行われていない。

2023年の退職教員数がこのままであれば、2024年度には、特にSTEM科目で外国人教師を採用する可能性があると大臣は示唆した。国際的な採用はプランBであるが、現在の傾向が続き、ブータン人教員が確保できない場合は、国際的な採用以外の選択肢はないという。重要なポストに訓練を受けていない教員を採用することはできない。

ブータンの教育は、外国人教員が中心だった時代から現地採用へと移行したが、このままでは教育省は専門科目の教育格差を外国人教員で埋めることを余儀なくされることでしょう。

教育省は、なぜこれほど多くの教員が辞めていくのかについての調査は行っていないが、大臣が辞めていく教員の何人かと話をしたところでは、オーストラリアは、さらに研究を進め、経験を積み、高い報酬で働く機会を与え、子供たちに良い教育を与え、さらなる機会を探求する機会を与えてくれるからだと述べているとのこと。公務員制度改革によって悪影響を受けたわけではないので、それが原因ではないことははっきりしたという。政府が給与を上げ、教員であることに誇りを持たせてくれたので、辞めることに罪悪感を覚えたという教員も実際にいたと大臣は述べた。

2022年の教員数は9,860人。退職した868人を差し引くと、約9,000人の教員が残っていることになる。過去に教師が退職した理由は、仕事量の多さ、研修の機会や専門的能力の開発不足、指導力の低さ、労働条件、キャリアアップの難しさなどが挙げられている。

教員が辞めていく理由として挙げられていることのうち、「仕事量の多さ」については頷けるところがある。生徒の活動が学校によって決められている部分が大きく、その分教員の関与が求められているのだろう。「研修の機会の少なさ」については、たぶん教員に求められる期待値に対して教員自身の能力が付いていっていないという懸念の反映だと思われるが、僕の印象としては教員の研修機会はむしろ多い方だ。

それはともかくとして、本題の外国人の教員採用の件だが、記事の中でも触れられている通り、ブータンは長年にわたって教員の内製化をずっと進めてきただけに、その政策を反転させるような大きな話だ。

青年海外協力隊を増やすいいチャンスだと思われるかもしれないが、辞めていく教員数の規模感からいって、年間の新規派遣数が20人程度しかない協力隊が要請に応じきれるとは思えないし、要請から実際の派遣までに2年は要する協力隊のサイクルも、教育省のニーズには合っていない。さらに、前述の通り、こうなってくるとブータンの教育評価制度にどっぷり浸かる形になるので、一人一人の教員に課せられる業務の負荷が、これまでの体育教師や美術教師の比ではなくなってくるかもしれない。

STEM科目の教員はどこの国だって確保しておきたいだろうから、ベテラン教員の採用はそんなに簡単ではないだろうと思う。それじゃあ若い人はどうかとなるが、そこはブータン政府側で外国人労働者の資格要件の緩和が必要になる。

どうせなら…ということで、1つ2つ私案をここで披露しておく。興味があったら誰かがリサーチして下さってもいい。僕はもう年齢的に自分自身では推進できないと思っているので。

第一に、思い切ってSTEM教育の定義を見直して、STEM教育的要素を他の科目でも取り込むこと。前述の通り、この国では「STEM=コーディング=IT」となっているから、STEM教育といえばITという科目でITの教員が教えればいいということになっている。そこをこの際だから見直したらという提案である。コンピューターラボをIT以外の科目の教員にも開放し、他の教科でもラボを使用することも検討する。要するに、ITの先生の穴を、他の先生でもカバーできる体制にするのである。

でも、それだけでは肝心のITの知見を持った教員の不在は完全には埋められない。そこで第二に考えられるのが、「STEM教育科目の外注」である。県単位ぐらいでそれを外注し、受注者が週単位ぐらいで各学校を巡回し、STEM教育科目を集中的に行い、併せてコンピュータラボのメンテナンスも行う。他の科目の教員がSTEM教育科目を多少かじってみて、わからない点もこの際だから助言する。そういう巡回を、1学期中に1校あたり2~3回行える形のクラスターを作る。報酬は受注者にちゃんと払う。

この提案の最大のボトルネックは、教育省が払うことができる報酬単価が著しく安いと思われる点である。まさか外国人教員をブータン人並みの報酬で雇おうと考えているとは思えないが、ちゃんとした報酬で迎える用意があるというのなら、むしろそのお金をブータン人に回して、これを雇用機会として活用すべきだと思う。

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