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貧困県サムチ [ブータン]


【抄訳(www.DeepL.com/Translator(無料版)翻訳を筆者編集)】
農業や鉱業分野で大きな潜在力を持ち、準備が整ったインド市場への確実なアクセスが保証されていて、経済的に好調になれるはずのサムチ県が、国内3位の貧困県でもある。国家統計局(NSB)が12月31日に発表した「貧困分析レポート2022」によると、サムチの貧困率は21.9%である。

また、同レポートによると、サムチは貧困層人口が最も多い。同県には15のゲオッグ(郡)があり、国内で最も人口の多い県の1つである。ブータンの「2017年国勢調査」によると、サムチ県の総人口は62,590人である。

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サムチはなぜこのような状態になっているのだろうか―――。

県議会のニマ・ドゥクパ議長によると、県内15ゲオッグのうち、12ゲオッグはインドと国境を共有していて、しかもその国境線には抜け穴が多いという。このことは、市場へのアクセスを容易にする一方で、競争のために人々がビジネスを行う上での課題にもなっている。

「サムチはオープンな観光地ではありません。ホームステイも今のところ1軒もない。人々は農業に依存しています。」ドゥクパ議長によれば、鉱業は国の歳入に貢献しているが、地域経済に直接利益をもたらしているわけではないと付け加える。

観光が県の貧困緩和には役に立つのではという声は多い。「観光は、先進県や富裕層の多い県にとっては、水力発電事業に次ぐ主要な収入源だ」とある実業家は言う。県民がティンプーなどの都市部に移住していることも、同県が経済的にうまく機能しない理由の1つであると指摘する。さらに、国内の他地域からサムチに来て収益を上げているにもかかわらず、それを地元に還元せず、出身地域に収益を持って行ってしまうとも付け加えた。
《後半に続く》
サムチの住民の1人、ビダッシュ・チェトリさんは、この県では生姜、ターメリック、オレンジ、カルダモン、ビンロウジュなどの換金作物から収入を得る大きな可能性があると述べる。しかし、農民は生産物に対して十分な報酬を得ていないと彼は指摘する。「人々は懸命に働き、成長を指向します。でも、最終的には十分な報酬が得られていません。これは、市場はあっても、農民が直接アクセスできないからです。」

この住民はまた、サムチは唐辛子、米、小麦、キビ、トウモロコシ、キヌア、レンズ豆など多くの品種を一年中栽培できる恵まれた天候条件があるという。

サムチ県のパサン・ドルジ知事は、同県の貧困率が高い理由として、3つの点を挙げる。

サムチ県の年間平均世帯収入はNu.194,777で、ティンプー(Nu.731,292)、ガサ(Nu.676,218)、パロ(Nu.456,874)、プナカ(Nu.431,930)などと比べるとはるかに低く、その水準は国内で2番目の低さである。「年間平均世帯収入がこれだけ低いのは、野生動物の侵入による農作物への影響に起因すると考えられる」と知事は指摘する。「加えて、広大な国境線を持つため、国境を越えた家畜がもたらす農作物への被害は生産量の減少につながる。」

第2に、ここ数年、主な収入源の一つであるカルダモンの市況が、1kgあたりNu.1,500からNu.500へと大幅に下落している。同様に、カルダモンの生産量も近年、病害により大きく減少している。

第3に、農村から都市への移住率の上昇が指摘される。「サムチには生産年齢層の人口が多いが、そのほとんどが他県、特にティンプー、プンツォリン、パロに移住していく。そのため、労働力や農作業の不足が生じ、経済生産性が低くなっている。」

チェンマリからシプスに至るサムツェの下流域には広大な水田があるが、労働力不足で多くの農家が工作を放棄してしまった。野生動物、特にゾウも農家が水田耕作を恐れる理由のひとつだ。しかし、2022年は耕作が良好だった。多くの農家がこの地で水田栽培を始めた。

サムチ県では、県の貧困を緩和する打開策をいくつか特定している。知事は、貧困ライン内にある世帯の適切な評価を行う必要があると同時に、農作物や経済活動の多様化を図る必要があると述べる。「家計の貧困への介入と重要なインフラや施設をターゲットに開発する必要がある。」

問題点が多いにも関わらず、サムチの将来は明るい。ダムダム工業団地が経済的な変化をもたらすと期待されている。すでにいくつかの産業がこの団地で操業を開始している。また、より多くの貿易ルートが正式に開通し、市場のポジティブな変化をもたらすことが期待されている。サムチ~ハ間国道は、農民が新しい市場へ迂回するのに既に役立っている。さらにここ数年、サムチではいくつかの企業プロジェクトも見られるようになってきた。

クエンセル紙のプンツォリン在住レポーター、ラジェッシュ・ライ氏による記名レポート。結構長くて、それなりに取材して書き込まれた内容となっている。

1週間ほど前、ブータンの貧困に関する統計が発表された。ブータンの2022年の貧困率は全国平均で12.4%、貧困率が高い下位3県はシェムガン(41.4%)、サムドゥップジョンカル(24.7%)、そしてサムチ(21.9%)と続く。1カ月1人あたりNu 6,204以下で暮らす貧困ライン以下の世帯人数は全国で80,614人おり、うちサムチ県在住者が15.1%を占めているという。

"About 80,614 Bhutanese are poor" Kuensel, January 2nd 2023
https://kuenselonline.com/about-80614-bhutanese-are-poor/

それを受けての今回の地方からの報告ということになっている。既に十分に長い記事なので、これ以上の解説を付けるのはやめたいと思う。インドと国境を接しているから、インド市場向けの輸出産品の生産には確かに向く立地条件ではある。でも、そこで雇われている工員もインドから来ているので、結局、彼らに支払われた賃金もインドに出て行ってしまう。それを抑えようとして、事業所でのインド人労働者の雇用人数にクォータを設けると、人出不足で操業自体が立ち行かなくなる。

農作物のポテンシャルについてもそうかもしれないが、何しろ挙がっている作物がサムチ独特のものがあるわけでもない。地域のブランディングがあまり確立できていないのではないか。今回の記事を読んでいても、なんとなくそう感じる。




タグ:サムチ
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