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現場に受け容れられない安全配慮 [ブータン]


【抄訳(www.DeepL.com/Translator(無料版)翻訳を筆者編集)】
労働安全衛生(OHS)は、全国の職場で懸念されている。今年7月から11月にかけて、労働人材省はティンプーだけでも37の雇用者と87の従業員にOHS規則違反の罰則を課した。同省によると、国内のOHSのレベルは懸念すべきものである。

労働省は、新型コロナウィルス感染の大流行により約2年間中断していた職場のOHS検査を再開した。再開後、同省は職場の安全性を定期的に監視している。OHS規則に違反した事業所には業務改善命令が発出され、これに従わない場合は罰則が科せられる。

同省によると、規制に違反するケースはまだ多い。同省は、従業員の労働災害により、雇用主から100万ニュルタム以上の補償が行われた。

「この国の状況を見ると、ブータンにおけるOHSに関して多くの調査がなされています」―――こう述べるのは、労働局のプンツォ・デンドゥップ上級官である。定期的な検査に加えて、同省は1,000人以上に啓発を行い、約380人にOHSに関する研修を実施してきた。外国人労働者には、入国前にオリエンテーション・プログラムを受講することを義務づけたほどだ。

にもかかわらず、職場でのOHS実践はまだ浸透していない。同省によると、安全文化の欠如や人々の考え方などの要因が、その実施を困難にしているとのこと。
《後半へ続く》

「雇用主のほとんどが、個人用保護具(PPE)が高価だと思っています。しかし、労働者に何かあった場合の補償に比べれば、PPE購入にかかる経費は非常に小さいものです」(労働省労働局ソナム・ゲレ・ドルジ技官)

「PPEの使用は不快だと言う人もいます。ヘルメットが重くて脱いでしまうという労働者もいます。また、アイプロテクターやイヤーマフを使用すると、作業の邪魔になるという声も聞かれます。だから、毎日必ず監視しています」(デザイン・アンド・ビルド社のビム・ラジ・プラダンCEO)

「防護服を着ていない人も見かけます。そんなときは、監督者が来て、PPEを使うように注意します。私たちは、PPEが私たちの安全のためにあることを理解しています」(ビルド・ブータン・プロジェクトの従業員、チャトラパティ・プラダン氏)

労働省はさらに、OHS実施には、この分野の専門家が少ないことが課題だと指摘している。

「労働省が直面している主な課題の1つは、OHSの専門家が1人しかいないことです。OHS分野で技術力を持つ人材の確保という点では、リソースが限られています」(ソナム・ゲレ・ドルジ技官)

労働省は、検査やPPE着用を義務付けるほか、今後、国内の労働安全レベルをさらに向上させる予定だ。

先日、うちの大学のラボで軽装で溶接作業をしていた専属技師が、飛び散った火花で軽いやけどを負うという出来事があった。軽症で済んだからいいものの、さすがに彼もそれに懲りてそれなりの装備をするよう、PPE購入の予算を求めてきた。そこからなんとなくわかることは、痛い目に遭わないと行動変革につながらないということだ。PPEは高いとか、着用していると身動きが取れないとか、いろいろ言い訳はあるが、それをしていなくて痛い目に遭ったことがある事業主や従業員に、その経験をしゃべってもらったらいいのにという気がする。

今は公務員制度改革の影響でどこの省庁もスタッフの欠員状態が深刻で、政策制度の執行能力が極端に落ちているのがブータンである。だから公務員だけで進めるのには限界がある。改革が進められる以前の労働省からしてOHPの担当は1人しかいなかったはず。別に省庁で専門家を揃えなくても、現場で心を改めてOHS遵守に前向きに取り組んでいる人に、罰則だけでなく報償も与えて準専門家扱いにでもしたらいいのにとも思う。

加えて、意外と頻繁に現場に足を運んでいてOHSの実施状況をモニタリングできる立場にいる人たちがいる。閣僚や政治家、援助機関のトップにいる人たちである。

大学構内で働いていて、こういう人たちがやりたがるのは学生や教員を大勢集めての演説である。若者を力づけたいという気持ちはよくわかるが、1時間以上にも及ぶ演説をぶったあと、すぐに大学をあとにして別のところに向かう。トップの人たちの意識が変わり、演説は短めにして作業現場の視察などもっと時間を割いて、OHSが履行されていない様子をじかに見てそれを指摘してくれたらいいのに。

援助機関のトップは演説はしないけれど、せっかく現場に来られるなら、OHSの履行状況を視察の1つのポイントとして見られたらいいのにというのも思う。訪問にはそれぞれ目的があって、それ以外のところはおざなりになることが多いのだが、いいところだけ見せられて満足して帰るというのではなく、OHSの履行状況も見たいとあらかじめ要望して、暗黙のメッセージを送られるだけでも、受入側の態度はちょっと変わって来るのではないだろうか。

タグ:労働 安全
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