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『日本酒がワインを超える日』 [読書日記]

日本酒がワインを超える日

日本酒がワインを超える日

  • 作者: 渡邉久憲
  • 出版社/メーカー: クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
  • 発売日: 2021/09/28
  • メディア: Kindle版
内容紹介
読んでから、呑むか?呑んでから、読むか? 純度100%。ノンフィクションのジェットコースター経営ストーリー! 日本酒業界の売上規模が右肩下がりの状況の中、渡辺酒造店は「エンタメ化経営」で駆け上がる! いつか「日本酒がワインを超える日」を夢見て。
岐阜県にある創業151年の酒蔵・渡辺酒造店は、30年間右肩下がりの酒造業界の中で、なぜ年商約400%もの成長を実現できたのか! ? そしてなぜ、国内最多の受賞数を獲得し、世界中で数々の賞を受賞するに至ったのか? 華々しくもユーモラスな軌跡とオンリーワンの手法のエッセンスを、経営ストーリーと共に語るノンフィクションビジネス経営書。いま、日本酒に必要なのは「エンターテインメント」であるとして、渡辺酒造店が実践する「エンタメ化経営」の秘密を紐解く。
【Kindle Unlimited】
以前、十六総合研究所『「女子」に選ばれる地方』(2022年9月1日)を読んだ際、収録されている岐阜県の企業代表へのインタビューの中で、渡邉酒造が紹介されていた。その際、同社の社長が出した本についても紹介されていたので、「岐阜県推し」の一環として、いずれ読んでみようと思っていた。

Kindle Unlimitedにラインナップされたのはわりと最近なのではないか。先々週気付いたので、さっそくダウンロード。ただ、別の本(『承久の乱』)も呼んでいたし、先週は仕事の上で気の休まる日がなく、連日22時過ぎまで確実に残業していたので、睡眠不足もいいところ。読込みのペースは上がらず、200頁ちょっとの分量だったのに、読了まで時間がかかった。節の区切りが比較的こまめで、小刻みに読み進めるにはちょうど良かった。

これまで度々言及しているが、以前、飛騨古川を1泊2日で訪ねて、一合升にレーザー刻印を施すというワークショップに参加したことがある。ものが升だけに、自分だけの升を作ったら、欲しくなるのはお酒だ。そこで、ワークショップを主催して下さったFabCafe Hidaのスタッフの方に、お土産で買って帰るといい地元のお酒が何かと尋ねた。「『蓬莱』と『白真弓』ですかね~」と仰っていた。

僕はあまり日本酒に詳しくないので、日本酒を扱う専門店が近所にあっても、どの日本酒を買うかで迷ってしまう。なんとなく『獺祭』や『久保田』、『新政』等を手にすることが多いのだが、どこも岐阜県とは縁もゆかりもない。『蓬莱』『白真弓』があれば、買うよな~。

話が本の内容に踏み込んでいなくてごめんなさい。ただ、内容としてはどん底を経験した企業の復活・発展ストーリーなので、読者目線で言えば面白いし、渡邉酒店のリリースするお酒を、単に商品単体で見るのではなく、その商品開発ストーリーの一部を描いている本と捉えれば、お酒とのセットで売ることもできるのではないかと思う。若い世代の経営者によるどん底からの逆転ストーリーでだいたい取られる選択は著者のやってきたことと割と近いものがあって、どこかで聞いたことがある話だなと思うところはあった。

それでも、岐阜県推し、あるいは「蓬莱」推しの読者は、この種の書籍は無条件で読むでしょう。そういう位置付けの本なのではないかと思う。

一方で、一企業の成功譚として読む分にはいいけれど、例えば飛騨古川という地域の発展という視点では必ずしも描かれていない。その点では僕の期待していた内容とはちょっと違ったかなという気もする。

アニメ映画『君の名は。』の舞台ともされた話や、それで来訪した聖地巡礼客をゲットする話は確かに本書でも出てくるが、例えば、『白真弓』等の他の酒造所とのコラボの様子にはあまり触れられていないし、以前読んだ山田拓『外国人が熱狂するクールな田舎の作り方』で紹介された「美ら地球」さんとか、僕がワークショップでお世話になったFabCafe Hidaさんとか、飛騨古川を拠点とする様々な取組があるのに、それらとのコラボの話はなく、地域の重要アクターという立場からの記述はほとんどなかった点には物足りなさがあった。

訪れたことがあるからあえて言うが、飛騨古川ってすごくいいところだ。100年以上前には、『あゝ野麦峠』の舞台にもなった。先述の聖地巡礼も含め、いろいろな観光客がいろいろな目的で訪れて、それなりに滞在を楽しんで帰ることができるいい土地だと思う。一企業の成功譚としては本書の内容でも十分だと思う一方、地域の重要ステークホルダーとして、飛騨古川の魅力を発信するのには、ちょっとどうかな~という気がした。

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