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視覚障害とICT [ブータン]


昨日、僕がフォロワー登録しているOpening Your Heart To Bhutanという国際NGOのFacebookページで、「視覚障害者向けのICTは、自立生活の鍵」というメッセージとともに、ブータン視覚障害者音楽研修センターにおける3年間のトレーナー研修プログラムがローンチされたことが報じられていた。冒頭取り上げたBBSの報道はそのローンチング式典を取り上げたものである。

こういう研修センターがすでにブータンにはあるのだというのは知らなかった。支援するのは英国拠点のOpening Your Heart to Bhutanとスイスブータン協会で、たぶん訓練用の機材の提供はこれらの外国人アクターが行うのだろう。マスタートレーナーはさすがに現地調達だろう。何しろ、Sustainable Development Fee(SDF)で召し上げられる「1泊200ドル」はデカすぎる。


トレーナー研修に3年かけるとあるので、細々と続けられていくのだろうと予想される。どんなICT機材が導入されるのかには興味があって、同じような機材を現地でカスタマイズ製作できないものかと思えるので、機会があればCSTの学生を見学に連れて行きたい思い、「FabLab CST-Phuentsholing」名義でBlind Music Training Center of BhutanのFacebookページに足跡を残しておいた。


これは自分が感じていることなのだが、トレーナー研修のように少人数に対して集中的に人材育成プログラムを実施している間であれば、研修用機材は少なくて済むのでいいのだが、これをミュージシャン向けにロールアウトしていく段階になると、もっと多くの機材が必要になっていくだろう。

ただでも、研修用機材が少なくて、「研修」と言っても座学で講義ばかりやって頭でわかったことにして、それで研修修了証書を発給してしまうブータンで、本当に身につく研修機会を提供するのはとても難しい。研修は受けたことになっているのに、全然内容を理解していない修了者はけっこういる。

今回メディアで取り上げられた取組みも、トレーナー研修を謳っているうちはいい。機材もあるのならハンズオンできっちり覚えさせることは不可能ではないだろう。本当の課題はその先のロールアウトのフェーズにあり、トレーナーが教える研修に来たミュージシャンが、研修会場に揃っている機材を利用していろいろ学ぶことが可能だったとしても、彼らが音楽演奏の現場で使える機材がないと、面的に拡大は難しい。廉価で手に入り、それがちゃんと現地で修理もできるという仕組みないと、普及していかないのではないかと危惧する。

「量産」と呼べるほどの点数ではないが、現地で視覚障害ミュージシャンの自助に役立つ機材が作れる体制を作るのに、僕たちのいる施設は使っていただけるのではないかと思うのだが…。

Opening Your Heart to Bhutanのエマ・スレイドさんも、もう5年以上ブータンへの支援でご経験を積まれている。そのあたりのことはちゃんとお考えになられているのだろうと思いたい。

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