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CSTとAMCの包括連携協定 [ブータン]


うちのカレッジのIT学科のFacebookで、昨日(9月15日)に、パロの農業機械化センター(AMC)とCSTとの間で、包括連携協定の覚書(MOU)が締結されたことが伝えられた。AMCからは、キンガ・ノルブ所長をはじめとする研究開発班の面々が出席、CST側は、チェキ・ドルジ学長以下、研究連携担当副学長、IT学科の教員が協議及び集合写真に納まった。MOU締結後、AMCの一行は、8月25日に開所したばかりの「ファブラボCST」もご訪問下さった。


このCSTとのMOU締結の模様は、AMCのFacebookでも掲載された。いずれも研究者を擁し、農業機械の研究開発を専門とするAMCと、画像診断や通信技術、アプリ開発等を専門とするCSTとの間で共同研究が進められれば、農業IoTや特殊目的ドローンの研究開発などで、新たな可能性を広げることができるだろう。そして、試作や実装にあたっては、「ファブラボCST」をプラットフォームとして使っていただけたらとても嬉しく思う。

この連携の話、実は僕ともう1人のJICAのプロジェクト短期専門家が、6月6日にAMCを訪問したことに端を発する。このブログの読者の方はご記憶かもしれないが、AMCが野生動物撃退のための「かかし」を試作したというBBSの報道を、僕のブログでも紹介したことがあったが(「電気柵のその先は」2022年4月3日)、その仕様を知りたくてキンガ所長に連絡を取り、それで実現したのが6月のAMC訪問だった。


この時に、AMCにはITの専門家がおらず、この野生動物撃退かかしの試作は、インターネットから情報を拾い集めて、AMCの若手研究員たちが自身で勉強して始めたものだというのを知った。AMCは元々、こうした試作が実装につながるまでには何度もの試作と検証のプロセスが必要であることを既に知っている。古くからの日本の技術支援の成果だ。そうした若手研究員が回すPDCAサイクルに、IT専門家から助言が欲しいと、キンガ所長から言われていた。「ドローンもいずれやりたい」と仰っていた。

その直後、CSTに戻った僕は、誘われて出席したIT学科の4年生の卒業研究発表で、野菜・果樹の生育状況を画像解析技術を使って自動診断するシステムを提案した学生グループがいたので、「なぜ野菜・果樹だけなのか」と質問した。ドローンと組み合わせれば、上空から撮影して、主要穀物もカバーできるではないかという問いだった。(実際は、ブータンの田畑はそこまで広くはないので、目視確認でできてしまうのだけれど。)この発表会の後、IT学科の先生に、「AMCもITの知見を得たがっているから、共同研究を働きかけたらどうか」と伝えた。大学は他の公的機関や地域と連携して、研究成果の社会実装を試行していく必要があると思う。

その先生が同僚2人とも語らって、7月1日にパロAMCを訪問し、キンガ所長との協議に及んだ。これも、仲介したのは僕である。で、その後の話は両機関の間でとんとん拍子で進み、9月15日のMOUへとつながっていったというわけ。

それでも、よくここまで来れたと思う。IT学科の先生に聞いたところでは、以前CSTはティンプーにある農業省系の別のシンクタンクとMOU締結準備を進めたことがあるが、農業省のどこかで手続きが止まってしまい、お蔵入りになったという。今回のAMCとのMOUも、農業省内でひっかかる可能性があったので、よくぞ1カ月半で締結に至ったものだと少々驚いた。

僕の印象では、MOUは次の行動を起こすための最初のステップに過ぎない。MOUがなければ、具体的な共同研究の案件選定にも入っていけないし、予算確保の検討も進められないと言われている。次のステップが重要で、これからも見守っていきたいと思う。というか、この先がどんどん進み、ファブラボCSTでの試作につながっていかないと、僕としては意味がない。

僕はこれから3週間任地を離れるけれど、その直前にいい知らせを聞くことができて、本当に良かった。
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