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象害はブータンだけじゃない(その2) [ブータン]

カンドタン村に再び象が襲来
Elephants back in Khandrothang
Rajesh Rai記者(プンツォリン)、Kuensel、2022年8月9日(火)
【ほとんど抄訳】
サムチ郡カンドタン村を複数の象が再び襲来し、昨年同様、作物を踏み荒らした。2021年冬に農園に被害をもたらした象が1頭含まれており、今年はビンロウジュやトウモロコシ畑を破壊した。8月6日未明のこと。村人は郡事務所に通報したが、被害の状況を写真に収めた以外、何もしてくれなかった。毎年象が荒しに来るのなら、もう作付けするのをやめようかと話す村人も。

人も襲うため、象を怖がらせることもできない。森林事務所の関係者は、GPS搭載の首輪をなんとか装着させて象の動きを追いかけられるようになったが、損害を食い止めることには効果を発揮できない。GPSをトラッキングしてみると、象は土曜日までは国境の向こう側にいたが、その後ブータン領内に侵入し、水田を破壊したとのこと。

一方、行政側ではダカルタールで野生動物の侵入をブロックする壁の建設を始めている。しかし、そこはドゥンカーリン村の村民が牛の放牧を行っている地域でもあるため、村人はダカルタール一帯に長壁を築くのには待ったをかけている。 .

この記事で出てくる地名はグーグルマップで検索しても全然ヒットしないが、サムチ郡(ゲオッグ)で、しかもインドと国境を接している地域だというので場所はだいたい想像がつく。西隣はシプスー郡、東隣はゴムトゥ郡となる。ちょうど、そのエリアを走った


こんな感じの地域である。最後の40秒ほどで黒い長壁が映っていると思うが、これが国境沿いに構築されている長壁であり、こういうのが延々と続いている。

7月4日に「象害はブータンだけじゃない」という記事で、ダガナ県ラモジンカ郡の象害について紹介した。ラモジンカの話には少しだけ距離感があったが、今回ご紹介した記事はサムチ郡の話であり、しかも自分自身が見てきた地域なので、こちらの方がよほど関心がある。

前回も述べた通りで、ブータンでの象害の報じられ方というのが、「国境を越えてやってくる脅威」という捉えられ方に終始しているのが僕にはずっと気になっている。ブータンの農民にとっての脅威は、おそらくインド側の農民にとっても脅威である。塀を築いて向こうから入って来れなくすればいいというNIMBY的発想ではお互いの印象は良くないだろうし、塀を壊そうとするインセンティブだってあるに違いない。

国境エリアの両国側のステークホルダー同士で、象の行動や特性について研究し、一緒に対策を考えるような枠組みってないんでしょうかね?

あるいは、象害に対する作物保険制度とか、検討できないんでしょうかね。象に田畑を荒らされるのって、よくはわからないがロシアンルーレットみたいなもので、保険による補償対象としてもいいようなものなのではないかと思うけれど、天候による作物保険制度しか聞いたことがない。

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