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『なぜ、日本の職場は世界一ギスギスしているのか』 [仕事の小ネタ]

なぜ、日本の職場は世界一ギスギスしているのか (SB新書)

なぜ、日本の職場は世界一ギスギスしているのか (SB新書)

  • 作者: 沢渡 あまね
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2021/12/07
  • メディア: 新書
内容紹介
人間関係、生産性、やりがい、満足度……日本の職場は「ワースト1位」! ?
職場がギスギスしている……。そう思ったことはないでしょうか? 残念なことに、それは気のせいではなく、紛れもない真実です。それも日本の職場は「世界一」ギスギスしていると、国際調査で明らかになったのです。日本の職場のどこに問題があるのでしょうか? 本書では、350以上の企業・自治体・官公庁で職場コミュニケーションと組織風土の問題に向き合ってきた著者が、豊富な実例とデータを基に、職場のギスギスの原因を掘り下げ、働きやすい職場に生まれ変わるためのアイデアを提案します。
こんな職場は危険信号
●コロナ禍以前と働き方は変わらない
●誰に何を聞けばいいのかが分からない
●「〇〇さんにしか分からない仕事」がある
●部署間の連携が取れない、敵対している
●新しいことに挑戦しにくい
●雑用が多くてスキルが伸びない
●正社員と非正規社員に大きな格差がある
【購入(キンドル)】
僕がこの手の組織管理の本を本気で読んだのは、管理職になったばかりの2004年頃と、一部署を束ねる立場になった2016年頃ぐらいだろう。今はもうそんな立場は卒業しているため、自分の今の仕事には参考にもあまりなりませんでした、というのを最初にお断りしておく。

他人事のようにこう述べているわけだが、今、管理職をやっている人や、部署を統括する立場にいる人は、それが僕が知っている誰であろうとも大変だろうと同情する。小さな職場であってもスタッフ間での連携が取れてないところはあるし、管理職に現場の情報が上がっていかないし。そもそも現場にいる者の声を拾ったりもできていない。それは現場に近いところにいてある組織を外から見ていて強く感じる点だ。管理職は指揮下のスタッフ一人一人が何を思っているのか聴き取る機会も作れていないのかもしれない。

著者も、おそらく本書を執筆するにあたってあらかじめ構成を決め、それを端的に示す「ギスギス」の状況を無理やり複数項目列挙した感がある。例えば、「職場環境によるギスギス」として、①人が辞めていく、②情報が共有できない、③管理職、上司が現場を知らない、④相談や提案がしにくい一方通行のコミュニケーション、⑤誰に何を聞けばいいのかが分からない、⑥部門間の連携が取りにくい、⑦公平過ぎて不公平な働き方、⑧テレワークで仕事がはかどらない、⑨物理的環境がよくない、と9項目も挙げられている。

続く「スキル・メンタリティによるギスギス」は、①組織は集団主義、行動は個人主義の日本、②雑用が多くてスキルが伸びない、③日本特有の採用ミスマッチ、④待遇で区別される非正規社員、働かなくても大丈夫な正社員、⑤新しいことへの挑戦を阻む5教科主義と減点評価主義、⑥いまだに目立つ根性論、⑦確認が多くてイライラvsしっかりと仕事しているか不安、と、これまた7項目もある。

ギスギスしている理由をこうしていくつもの項目に分けて列挙して、各々についての処方箋が別々に述べられている。各々の原因分析も、提言内容もおそらく当たっている。正論だろう。でも、そういう、原因と処方箋が一対一対応になっているから、処方箋の数が多すぎでかえって理解しづらい。各項目は原因の分析までにとどめて、共通する処方箋をまとめて述べてくれた方がスッキリしただろう。

そもそも、これらの項目の中の1つにだけ該当し、他の項目は該当しないなんて職場はないと思う。ギスギスしていると思われる職場はたいてい複数の項目げ該当しているであろう。僕もいろいろな職場で働いたことがあるが、程度の違いこそあれ、本書で述べられていることはどこでも2つ3つは該当していた気がする。

また、同じ会社の中でも、自分が働きやすいと思った職場と、働きにくいと感じた職場があった。また、自分がどういう立場でその職場に加わっていたのかによっても、働きやすさと働きにくさを感じた両方のケースがある。また、人間関係のあやみたいなものもあって、相手との組合せが良くなくてパフォーマンスを発揮できなかったケースもあった。

本書の構成だと、部分最適な解しか提示されていないように思える。想定読者をちゃんと定義していないから、「じゃあどうしろと?」という疑問がどうしても付きまとってしまう。だから、読み物としては面白かったが、僕が今の自分の立場で何をどうできるかというとまったく参考にならない。ま、自分がかつて所属していた2003~07年頃の職場、2019~20年頃の職場、2020~21年頃の職場を振り返るのと、かつて自分が所属していた古巣の今の姿を見る眼としては幾ばくかの参考にはなったと思うが。

但し、これから社会人になっていくうちの子どもたちの職場環境は気になる。大所高所から子どもたちに何かが語れるようにしておくには、こういう本もいいのかもしれない。うちの長男がようやく内定をもらったと知らされた今だからこそ、この点は強く感じる。

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