『緋色の研究』 [読書日記]
緋色の研究 【新訳版】 シャーロック・ホームズ・シリーズ (創元推理文庫)
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2015/09/11
- メディア: Kindle版
内容(「BOOK」データベースより)【Kindle Unlimited】
異国への従軍から病み衰えて帰国した元軍医のワトスン。下宿を探していたところ、同居人を探している男を紹介され、共同生活を送ることになった。下宿先はベイカー街221番地B、相手の名はシャーロック・ホームズ―。永遠の名コンビとなるふたりが初めて手がけるのは、アメリカ人旅行者の奇怪な殺人事件。その背後にひろがる、長く哀しい物語とは。ホームズ初登場の記念碑的長編。
このブログを始めたのは2005年2月。それから随分と多くの本をご紹介してきたが、コナンドイルのシャーロック・ホームズのシリーズを取り上げたことは一度もない。それから遡ることさらに10年前——1993~94年頃、僕は新潮文庫版のホームズ・シリーズを全巻読破したことがある。すべて東京の自宅に蔵書として置いてある。この時期二度出張でロンドンに立ち寄る機会があり、空いた時間でベイカー街221番地にも訪れた。ロンドン滞在を盛り上げようと思い、事前にシリーズを立て続けに読んだのである。(ついでに言うと、アガサ・クリスティの『ねずみとり』も読んだ。で、劇場で観た。)
以前、何かの拍子にこのブログでも書いたことがあるが、僕の読書人としての原点は、ポプラ社の古典文学全集と確か集英社だったと思うが推理小説全集だった。推理小説といっても広いが、人から勧められた「怪盗ルパン」は全然受け付けず、「名探偵ホームズ」にはハマった。最初は『バスカヴィル家の犬』だったと思う。ハマった後は小学校の図書館や隣町の市立図書館で借りて読むのがもっぱらだったが、初めて貰った図書券を使って自分で買ったのは『恐怖の谷』だった。(またついでに言うと、大学生になって初めて読み切った英語のペーパーバックも『Valley of Fear』だった。)
ただ、なぜだかわからないが、ホームズとワトソンの名コンビの登場第一作となる『緋色の研究』は、後回しにすることが多く、内容に関してほとんど記憶になかった。
それが、ほぼ50年の歳月を越えて、Kindle Unlimitedのおすすめの1冊として、突如僕の前に現れた。僕だって暇なわけではないが、小説のダウンロードで課金されるのも良しとできず、Kindle Unlimitedならばということで、今回は東京創元社版のホームズものを、第一作から時系列で読んでみようかと思い立った。
30年前も、おそらく「20年ぶり」なんて感慨に浸りながらシリーズを濫読していた筈である。こういうのって、何年かに1回巡ってくるものなのかも。
新潮文庫版とは訳者が違うが、とても読みやすかった。一気にというわけにはいかなかったけれど、前半のロンドン編、中盤のアメリカ・ユタ編、終盤のロンドンでの事件終結と、三部ぐらいで構成され、それぞれが何章かに分かれていて、区切って読むのにも向いている。たぶん短編集ももっとその傾向があるだろう。それは構成の話だが、翻訳もわかりやすく、スラスラ読めて好感が持てた。
お馴染みのストーリーなので内容にはあまり踏み込まないが、これからしばらくの間、息抜きといったらホームズもので楽しませてもらおうかと思っている。
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