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ごみ収集車運行状況確認アプリ [ブータン]

ティンプー市のごみ収集管理アプリ
‘Thimphu Thromde Waste App’ – tracking waste collection trucks
Choni Dema記者、BBS、2022年6月6日(月)
http://www.bbs.bt/news/?p=170368
TT-waste-app.jpg
【抄訳】
ティンプー市民はごみの廃棄のために路上で長時間待たなくても済むようになる。JICAブータン事務所がごみ収集車の運行状況を確認できるモバイルアプリを導入したからだ。このアプリは、今日ローンチされた。

「ティンプー市ごみアプリ」と名付けられたこのアプリは、市内を走るごみ収集車が今どこにいるか、リアルタイムで把握できる。収集車が自宅玄関前に来るまでにどれくらい時間がかかるのか、市民は知ることができる。これは、首都の住民が長年直面してきたごみ収集のタイミングや収集日程の見える化の問題への対応策ともなる。

これまで、ごみ収集車の運行状況は、市当局とごみ収集受託企業のみが把握していた。市役所の環境担当官補佐であるレクザン・ジャイエ・ドルジさんはこう述べる。「市民から私たちに寄せられる苦情の多くは、ごみ収集車が時間通りに収集に来ないとか、来ても素通りしてしまうというものでした。こんなことが起きると、市民は怒り、ごみを自宅近くに放置し、それが野犬に荒らされて、さらに大きな問題をもたらします。」彼女は、このアプリが収集車の場所をリアルタイムで知らせ、市民は収集車が自宅の軒先に来てくれるタイミングを知ることができると述べた。

JICAブータン事務所は、このアプリの開発をブータンのIT企業に外注した。日本政府はさらに20台の新しい収集車を供与しており、市内のごみ収集の円滑かつ高頻度の実施を可能としてくれている。

これは素晴らしいですね。どういうODAスキームを使ったのかわからないが、先般供与されたごみ収集車の無償資金協力のソフトコンポーネントなのだろうか。それとも、何か別のスキームなのだろうか。

thromdeapp.jpg

このアプリのローンチの模様は、クエンセルもサラッと報じている。ウェブサイトの挿入写真や、アプリ開発したブータンのIT企業名、アプリのダウンロードの方法にまで言及しているという点ではクエンセルの方がまだましだが、記事の内容はBBSの報道の方がいいと感じる。クエンセルは無記名記事になっている。
https://kuenselonline.com/thromde-develops-an-app-to-address-waste-collection-issue/

いずれにしても、この報道から垣間見えるのは、今回無償資金協力で供与された収集車だけでなく、既存の収集車もカバーした、包括的な運行状況確認システムなのだということである。既存の収集車にもGPSは搭載されていたらしい。前の市長も市民の利便性を考えてこんなアプリを入れたいと仰っていたし、当時のJICAの所長も同じようなことを言っていた。そのアイデアを具体的に形にされた今回のアプリ開発の関係者には感謝したい。

ところで、このシステムはティンプーだけなんですかね?もしごみ収集車供与の無償資金協力と抱き合わせならプンツォリンへのロールアウトもあるのかなと期待もしたくなるが、プンツォリン市役所ではそんなアプリ開発の話は誰もしてなかったので、すぐには来ないのかも。そのうち、このアプリの開発エピソードを、JICAのコネクションでCSTの学生にも聴かせてくれたら嬉しい。

その一方で、ごみ収集車の台数を増やしたり、市民にとっての利便性を高めたりする取組みには異論はないが、これによって廃棄物管理に関する国のフラッグシッププログラムは、いったい何を目指しているのだろうかという疑問も少しだけ残った。ごみを出しやすくなることは間違いないが、減量に直接つながるものではないだろうし、市民も目の前からごみがなくなってくれれば嬉しいだろうが、別の見えない場所に移すだけでは、いずれ別の形で問題が顕在化するのではないか。

運行頻度が上がり、しかも市民がアプリ利用に誘導されれば、分別回収の普及に向けた市民へのメッセージも伝わりやすくはなって、分別回収の環境は整っていくかもしれない。分別が進めば、再利用への途も開けていくのかもしれない。そんな長期的なシナリオがもしあるとすれば、このアプリ開発もその第一歩として意義あるものといえるだろう。

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