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『森崎書店の日々』 [読書日記]

森崎書店の日々 (小学館文庫)

森崎書店の日々 (小学館文庫)

  • 作者: 八木沢里志
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2012/10/05
  • メディア: Kindle版
内容(「BOOK」データベースより)
貴子は交際して一年の英明から、突然、他の女性と結婚すると告げられ、失意のどん底に陥る。職場恋愛であったために、会社も辞めることに。恋人と仕事を一遍に失った貴子のところに、本の街・神保町で、古書店を経営する叔父のサトルから電話が入る。飄々とした叔父を苦手としていた貴子だったが、「店に住み込んで、仕事を手伝って欲しい」という申し出に、自然、足は神保町に向いていた。古書店街を舞台に、一人の女性の成長をユーモラスかつペーソス溢れる筆致で描く。「第三回ちよだ文学賞」大賞受賞作品。書き下ろし続編小説「桃子さんの帰還」も収録。
【Kindle Unlimited】
以前、僕は岐阜県出身の作家さんは無条件で推すと述べていたことがあったが、それに付け加えるとしたら、ファッションモデルで女優の菊池亜希子さんも推しである。僕の実家の隣り町出身であるが、彼女が生まれた時には僕はすでに東京の大学に通っていたため、縁もゆかりもない(笑)。

あの、わかりづらくて受け付けない宮本輝『朝の歓び』を読んでから、口直しにもうちょっと気分的に受入れ可能な落ち着いた小説が読みたいと思い、Kindle Unlimitedを物色したら、なんと菊池亜希子さんが表紙を飾っている『森崎書店の日々』が目に飛び込んできた。しかも、内容紹介を見ると、舞台は神田神保町だという。これは読まねば―――矢も楯もたまらずすぐに飛びついた。

菊池亜希子さんや内藤剛志さんが表紙を飾っていることからもわかる通り、本作品は映画化もされている。推しと述べておきながら言うのもなんだが、菊池亜希子さんの初主演作だったというのを初めて知った。


ついでだから2010年公開の映画の方も見ちゃった。神保町界隈の風景が懐かしくて仕方なかった。

え?Sanchaiは古本蒐集の趣味あった?―――ありません。正直言って、古書店巡りをされている人々を横目に見ながら、三省堂書店神田本店の3階でアルバイトしてました。最初は米国留学前に語学テープの販売やりながら英語のリスニングをちゃっかり勉強し、留学から戻ってからは書店店員として政治経済書籍のコーナーを担当していた。で、人生の友ができた。

当時の僕の読書は経済書が中心で、日本文学にはほとんど興味がなく、古本趣味もなかったけれど、本好きの集まる街に惹かれて集まって来ていた若者の1人だったという自覚はある。だから読書は当時から飽きずに続けていられるし、親友のK君も出版業界に身を置き、その後は「ブックコーディネーター」という仕事をナリワイにしている。お互い住んでいる土地が離れているけれど、たまに会えば当然本とか書店業界、出版業界の話題が中心になる。

本を話題にできる相手は大事にしたいと思う。当地でもふだん仕事の話しかしてなかった在留邦人の方が、かなりの読書家だと最近知り、しかも重松清作品を読んでおられるというので、先週夕食の席上で大盛り上がりした。本が好きでも、ふだん仕事上接点のある相手とそんな話題に及ぶ機会は少ないので、たま~に出会うとめちゃ嬉しい。本作品も、そういう人と出会えた感覚を味わえる。

とはいっても僕は今まであまり日本文学に関してあまり読んでこなかったから、本作品を通じて振り返った神保町の風景が、懐かしさだけでなく新鮮さも伴って、新たな魅力を知ることができた気がする。古書店巡りをして、気になった本を購入して、「さぼうる」や「ラドリオ」「ミロンガ」あたりでおいしいコーヒーを味わいながらページをめくる、そんな贅沢な時間が過ごせたら嬉しい。今の仕事を終えて、所属している会社を辞めたら、そんな過ごし方もしてみたいとワクワクする。

そして、そんな神保町の雰囲気に、なんだか菊池亜希子さんがメチャメチャ合っている。これは間髪入れずに続編も読むだろうな。
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